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試合レポート

課題改善は見えた、が、結果は物足りないドロー。終盤の試合運びには未熟さも

 

前節までの攻撃面の課題克服がテーマとなった今節。システム変更が奏功して選手同士の繋がりが見えもしたが、押している状況から拙攻が響き流れを手放して1-1のドローに終わった。

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課題克服をテーマに取り組んだ3-5-2

前々節の仙台戦で攻撃面の課題が炙り出され、前節の水戸戦でも修正できずにシュート2本に終わった。その課題克服をテーマに取り組んだ今節。チームは先発に昨秋の大怪我から復帰した伊佐耕平を加え、有馬幸太郎と前線に並べた3-5-2で山口に挑んだ。一方の山口は前節の大宮戦から先発1人を変更。今節は山本駿亮を、有田稜と2トップに並べた。
 
前日から降り続いた雨のせいで、ピッチはところどころ水飛沫の上がるコンディション。その様子を窺うかのように、最初は互いにシンプルな入りを見せる。その中でも大分のシステム変更が課題克服に奏功していることはすぐに見て取れた。前節までは有馬だけだった前線でのチェイシングにプレス職人の伊佐耕平が加わることで守備のスイッチが明確になり、布陣がコンパクトに保たれて選手間の繋がりが生まれていた。有馬と伊佐がメリハリをつけてターゲットとなったり裏抜けを狙ったりしつつ、相手のサイド攻撃に対しても山口の右SB亀川諒史がインサイドから裏抜けを狙うところを、大分の左サイドが連係して阻みに行く。
 
ただ、互いに慎重な両軍はともに攻撃が相手ブロックの外回しになりがち。昨季までは激しくハイプレスをかけてきていた山口も、今季は新戦力・成岡輝瑠のゲームコントロールで効率的な守備に切り替えており、コースを切られては相手の背後を狙う駆け引きが続いた。

 

悪くない中、不運な失点でビハインドに

12分にはスローインの流れから宇津元伸弥のクロスのこぼれ球を𠮷田真那斗がボレーシュートしてニック・マルスマンにキャッチされる。𠮷田は13分にもFKの流れからシュートを放つが、これも相手にブロックされた。21分には𠮷田のクロスから有馬がシュートして枠の右。濵田太郎のクロス対応あり、榊原彗悟のインターセプトあり、天笠泰輝のプレスバックあり、伊佐のポストプレーありと、攻守両面でのひとつひとつのプレーが、前節からの修正を感じさせる。
 
だが、やや惜しいシーンも作りつつ、38分、先制点は相手に奪われた。1本目の右CKは掻き出したのだが、2本目の右CKのシーン。ゴール前を固めてはいたのだが、混戦の攻防の中、末永透瑛のシュートのブロックに入ったところ不運なディフレクションで弾道は濵田の手を越えてゴールネットを揺らした。
 
ビハインドの難しい状況になった中、43分には山口にアクシデント。右サイドの攻撃をややこしくしていた亀川が負傷し、板倉洸に交代することになった。

 

積極性を増した組織的攻撃からの榊原同点弾

後半の立ち上がり、大分は伊佐がさらに積極性を増してチームの勢いをリード。野村直輝とのコンビネーションで宇津元がクロスを送るなどチャンスを立て続けに築いていた52分、ビッグチャンスを作った。野村からの大きなサイドチェンジを受けた𠮷田が仕掛けてグラウンダークロスを送ると相手を背負った有馬がそれを落とす。走り込んできた野村のシュートは惜しくも枠の上へと逸れたが、同サイドに圧縮してくる山口に対しサイドチェンジでチャンスを切り開いていこうというチームの狙いが表現された場面だった。野村の対応に出ようとする成岡を咄嗟に宇津元がブロックする献身的なプレーも含め、前節まではなかなか見られなかった組織的攻撃が、今節は複数回見られた。
 
そんな組織的攻撃が結実したのが、56分の榊原の同点弾のシーンだ。山口の連動したプレスをかわしながら左サイドから前進し、有馬の落としを伊佐が榊原に託す。逆サイドで𠮷田が受けそうなそぶりを見せたことで相手がつられた一瞬の隙を突き、榊原は左にカットインして左足を振り抜いた。ペナルティエリア手前から距離はあったが、たっぷりと水を含んで滑るピッチも利用しながら、シュートはマルスマンの指先を掠めてゴールへと転がり込んだ。

 

激しい采配合戦も終盤はともに拙攻に

逆転へと持ち込みたい片野坂知宏監督は60分に宇津元を薩川淳貴に交代。宇津元も好調だったのだが、より攻撃的にシフトする狙いだったと思われる。追いつかれた山口も攻撃の勢いを強めた。68分、岡庭愁人のアーリークロスを山本に頭で折り返され有田にシュートを許した。この日、ペレイラに代わって右CBに入っていた野嶽惇也が決死のブロックで枠の右へと逸らさせ九死に一生を得たが、勝利を目指し前がかりになったチームは、デルランの攻め上がったあとをカバーすることを怠って、このようなピンチを招くことになった。
 
71分には志垣良監督が横山を野寄和哉、山本を小林成豪に2枚替え。73分には片野坂監督が野村を池田廉に、伊佐を鮎川峻に代えて、互いに勝点3を狙う態勢を取った。76分には志垣監督が三沢直人を田邉光平に、有田を古川大悟にとベンチワークの駆け引きが続く。
 
前がかりになる大分の背後へと大きくボールを蹴り出して小林の個人技突破に期待する山口に対応すべく、片野坂監督は84分、野嶽を戸根一誓に交代。同時に疲労した有馬を有働夢叶に代えてゴールを狙うが、相手を押し込んだ状態は作れていても、交代で入った選手たちがいまひとつ機能せず、チャンスらしいチャンスを作ることが出来ない。勝利を目指し合う両軍の攻撃は、最後は大雑把な応酬になってしまった。ともに拙攻でゴールをこじ開けることは出来ず、試合は1-1で終了。勝点1ずつを積み、前節から順位を落とす結果となった。

 

手応えを結果に繋げていくのみ

「低調な内容ながら粘り強く無失点に抑えた」前節から、「課題改善の手応えはあるが追いついた後の試合運びが未熟」だった今節へ。前節までの深刻な課題からの前進はそれだけでも大きな要素だが、やはり終盤の内容からは「勝ちきれる試合を分けた」という印象が否めない。特に野村がベンチに下がってからは攻撃のアイデアや強度にも物足りなさが感じられた。
 
とはいえ、やるべきことはここからこの手応えを結果へと繋げていくのみ。伊佐の復活や榊原の加入後初ゴール、野嶽の右CB起用などポジティブな要素も数えられた今節。試合後の指揮官や選手たちのコメントも、前節までに比べてぐっと具体性が増しており、好転への糸口を掴めそうな様子が感じられた。片野坂監督に好調な戦力をしっかりと見極めてもらいつつ、次節はホームに、またもアグレッシブな藤枝を迎える。

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