TORITENトリテン

特別なコンテンツを貴方に

トリテンでは、ここでしか見られないとっておきのクラブコンテンツを提供いたします。試合では見ることのできない選手の素顔、ゲーム解説、特別インタビューなど盛りだくさんの内容です。是非ご利用ください!

有料コンテンツのご紹介
試合レポート

前節に続き課題満載でスコアレスドロー。攻撃面の改善は急務

 

昨季J2残留争いに巻き込まれた同士の対戦。内容的には明暗くっきりながらともに勝点1ずつを積んだことが、今後にどう響いていくか。

試合情報はこちら

 

水戸の矢印にラインを押し下げられる

大分は前節のアウェイ仙台戦から先発2人を、水戸は前節のホーム愛媛戦から先発5人を入れ替えてのマッチアップ。水戸のメンバー変更は前節の負傷者に加えて対大分戦術を見越してのもので、大分のそれは前節の課題修正と対水戸戦術に備えたもの。前節、仙台に現状の弱点を炙り出されたかたちの大分にとっては、今節も4-4-2を採用する堅守の相手に対し、課題を克服できたかどうかが試される一戦でもあった。
 
5-4-1のミドルブロックを構える守備は、前節、相手にスペースを自在に使われたことを踏まえてやや慎重な入り。水戸がダブルボランチの1枚にゲームメイクに長けた長尾優斗を配置してきたのも前節の仙台戦を分析しての施策だったかもしれない。パスコースを切りながら水戸の攻撃に対応するが、津久井匠海と齋藤俊輔の両SHの仕掛けや、初の古巣戦となった渡邉新太と多田圭佑の2トップの機動力にじりじりとラインを押し下げられ、ボールを奪っても切り替えの早いハイプレスを前に押し返すことが出来ない。試合は早々に水戸ペースへと傾れた。

 

新太を止めた太郎のファインセーブ

ドリブルとパスワークを織り交ぜながら大分ゴールに迫る水戸。23分にはエリア内でボールを動かし、最後はエリア手前から長尾がシュートするが枠の左へ。大分は27分、中盤で榊原彗悟が相手のパスをカットするとカウンターを発動。有馬幸太郎に託して榊原と有働夢叶が追走したが、エリア内に入ったところで相手に対応された。
 
32分には齋藤が狙って濵田太郎にキャッチされ、34分には渡邉のシュートのディフレクションを、これも濵田が取り押さえた。42分にはコンビネーションで守備網を崩され、ゴール前で一瞬フリーになった渡邉に右足を振り抜かれたが、濵田がファインセーブでこの大きなピンチを防ぐ。
 
苦しい状況の大分がようやく攻撃の形を作れたのは前半アディショナルタイム。水戸のスローインの流れから多田がドリブルを仕掛けたところで天笠泰輝と榊原が協力してボールを奪うと、清武弘嗣、有働と繋いで最後は有馬幸太郎がシュート。枠の左に逸れたが、おそらく5-4のブロックからこういうカウンターを繰り出すのが、今節のチームの狙いだった。

 

ベンチワークの駆け引きも状況はあまり変わらず

水戸は齋藤を山本隼大に代えて後半をスタート。やや積極的な立ち位置を取ろうとする大分は47分にペレイラのパスを受けた有働がシュートしてサイドネットを揺らすが、そのあとは再び水戸に攻められる時間が多くなり、この試合での大分のシュートは前半アディショナルタイムの有馬と、この有働の2本のみにとどまった。
 
58分、片野坂知宏監督は有働を鮎川峻、清武を野村直輝に2枚替え。水戸の勢いがやや落ちたこともあり、野村がピッチを奔走しながら起点を作り好機へと繋いだ。65分には森直樹監督が津久井を沖田空、多田を草野侑己に代えて流れを大分へと傾けさせまいとする。同時に片野坂監督はペレイラを松尾勇佑に代え、𠮷田真那斗をCBに下げて松尾を右WBに配置した。73分には森監督が山﨑希一を前田椋介に交代。
 
ベンチワークの駆け引きが続いた中、大分は榊原のインターセプトから、水戸はクロスやセットプレーから好機を生み出すが、どちらも精度不足や相手の守備対応によりゴールには繋がらない。
 
83分に水戸が長尾を碇明日麻に代え、86分に大分が茂平を薩川淳貴、有馬を伊佐耕平に代えて、両軍は交代カードを使い切った。最終盤は水戸がセットプレーで立て続けに得点機を築くも、すべて大分に跳ね返されて試合は0-0のまま終了した。

 

相手に対策された現状、次の一手は

勝点1は得たものの、内容的にはほとんど守備しか出来なかった完全な負け試合。この日の吉田哲朗主審は3分の接触プレーの場面で少し逡巡したあとに有馬にイエローカードを提示し、それがリズムを狂わせたのか終始、ジャッジに不安定さが見えた。頻繁なホイッスルがトランジションの応酬にストップをかけ、攻守の入れ替わりの面白さを半減させたとも言える。特にカウンターチャンスを企図していた大分にとっては、まさにここからカウンター発動というタイミングで相手のファウルを流してもらえずという不運なシーンもあり、試合終了後には両軍がともにジャッジへのモヤモヤ感を残すかたちとなった。

ただ、大分の攻撃が成立しづらかった課題はそれとは別問題。前節の仙台戦から特に、相手は地上戦でペレイラとデルランのストロングポイントを出させずウィークポイントばかりを際立たせ、ハイプレスで2人の足元を狙った。受ける態勢のボランチやシャドー、スペースへと走り出したWBにパスを出せず苦し紛れに蹴り出すばかりで、セカンドボールはことごとく相手に回収される。WBの𠮷田と茂も彼らのサポートで高い位置を取ることが出来ず、最終ラインは5枚のままでズルズルと下がる一方だった。

心強いはずの2人の助っ人が相手の対策に遭い穴になってしまっている現状を、どう打破するか。次節の相手・山口もアグレッシブなハイプレスを強みとする中で、有効な改善策を、ピッチとベンチの両面から探ることが急務だ。

そして「なんとか勝点1を取れた大分」と「前節に続き勝点2を逃した水戸」は、それぞれ勝点1を積んだことで前節より順位をひとつずつ上げた。そんな順位争いのアヤも味方につけながら、早く戦いの形を定めていきたい。

特別なコンテンツを貴方に

トリテンでは、ここでしか見られないとっておきのクラブコンテンツを提供いたします。試合では見ることのできない選手の素顔、ゲーム解説、特別インタビューなど盛りだくさんの内容です。是非ご利用ください!

有料コンテンツのご紹介