立ち位置で主導権を握られて2失点。後半は修正を施すも今季初黒星
狙いを持って入った試合だったが、立ち上がりからすべてにおいて相手に上回られた。後半はテコ入れして追撃したが、前半の2失点が最後まで重くのしかかった。
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ポジショニングだけで狙いを封じられる
初めてのキューアンドエースタジアムみやぎでの試合。大分にとっては今季初のアウェイゲーム、仙台はホーム開幕戦と、いろいろな条件が重なりつつ迎えた一戦だった。
開幕直前に負傷していた野嶽惇也が復帰して今季初先発で天笠泰輝とボランチに。プレシーズンにはこのコンビでしっかり組織を作れている好感触があったため、期待も高かった。前節までの2試合でボランチを務めた榊原彗悟は池田廉と2シャドーを組む。プレシーズンマッチ・宮崎戦で課題の多く出た組み合わせだったが、片野坂知宏監督は「仙台さんの矢印を折れるメンバーを」と、この布陣を選択し、流動的に動くようにと指示していた。
一方の仙台も前節までとはメンバーを変え、2トップにはエロンと荒木駿太を並べた。ボランチも今節は鎌田大夢と武田英寿のコンビ。2人が巧みな立ち位置を取って大分のシャドーのプレスを回避しつつ、前線の機動力を生かして巧みに足元と背後を使い分けた。
3-4-2-1の大分と4-4-2の仙台、どちらがミスマッチを上手く使えるかという噛み合わせで、ほぼポジショニングの時点で仙台に主導権を握られたかたちに。2シャドーの位置が下がり有馬幸太郎が孤立して、攻守両面で狙いを表現できない時間が続いた。
迷いの中で前半のうちに2失点
守備をハメきれない大分は困惑する。前からハメに行けば背後を突かれ、構えれば自由にボールを動かされた。対策する間もなく、8分にミスから失点。𠮷田真那斗の自陣でのパスミスを奪われて攻められ、あっという間にエロンにゴールネットを揺らされた。
15分には有馬が倒されて得たFKを榊原が蹴り𠮷田のクロスにデルランが頭で合わせたがワウkの上。22分には榊原がシュートを試みたが林彰洋にキャッチされた。だが、その1分後には2失点目。エロンのパスを受けた相良竜之介への寄せが甘くなった隙を突かれ、豪快なミドルシュートをお見舞いされた。
鎌田と武田の落ち着いたゲームメイクに翻弄され、流動的な相手を捕まえきれずに迷いながらすべてが中途半端になっている印象。ロストしてカウンターを受けたりオフサイドでしのいだりしながら、0-2で試合を折り返す。
後半は清武投入で戦況改善を図る
片野坂監督は池田を清武弘嗣に代えて後半をスタート。清武を最前線で駆け引きさせつつ有馬との距離感よく立ち回るかたちにシステムを変更し、榊原と野嶽、天笠を並べた。清武がメリハリをつけながら顔を出すことで攻撃にリズムが生まれ、ボールが前に運ばれはじめる。一方で2点リードという余裕を持つ仙台は、急ぐことなく守備意識を高めた。
60分には野嶽に代えて野村直輝を投入し、さらなる活性化を図る。65分にはポゼッションから右サイドを崩し、榊原が中に潜って自らシュートを放ったが枠の左に逸れた。ゴール前を固める相手に、69分には藤原優大がミドルシュート。70分には𠮷田がシュートして林にキャッチされ、71分にはペレイラのクロスに有馬が合わせて枠を捉えきれず。
流れが大分へと傾きかけていた71分、森山佳郎監督は相良とエロンをオナイウ情滋と宮崎鴻に交代。サイドの勢いを維持し、前がかりになる大分の背後に明確なターゲットを置いた。
なおも追撃を続ける大分だが、仙台も中を固めてクロスやCKに対応。こぼれ球に反応した榊原のシュートは枠上へと逸れる。
4バックに変更しての追撃も実らず
宮崎とともに梅木翼もベンチスタートさせた仙台。高さのある2人があとから入ってくることを考えると、大分としてはペレイラとデルランを下げづらいところではあったが、2点を追う展開のまま終盤に差し掛かり、74分、片野坂監督はペレイラと茂平に代えて有働夢叶と薩川淳貴を投入し、4バックに変更して追撃にパワーをかけた。
清武、𠮷田、有働の右サイドでの崩しや有働のロングスローからの𠮷田の反転シュートなど、見応えのある追撃となる。ボールが回るようになったことを受け、片野坂監督はさらに81分には有馬に代えて鮎川峻。フレッシュなFWはスルーパスからの裏抜けや流動的なコンビネーションに期待されたが、仙台も同時に武田と荒木を松井蓮之と梅木翼 に変更。中盤の守備力を高めつつ、ターゲットを2枚にして背後へのボールを誘った。83分には梅木がロングシュートで3点目を狙うが、これは枠の右。仙台は86分、石尾陸登を奥山政幸に代えて、悠々と逃げ切り態勢を取った。
攻め続けた大分だったが、フィニッシュの精度を欠いてネットを揺らすことは出来ず。相手の6本より多い8本のシュートは実らず、最後まで2失点が大きく響いて、相手に効率的に勝利を収められてしまった。
追撃時の手応えをさらに高めていけるか
メンバー選考の時点で、またキックオフ直後から相手の中盤での駆け引きを見た際にも、研究して対策されていることが一目瞭然な前半だった。ここまでの2試合では3バックの相手に対しマークもシンプルで勢いを出しやすかったが、今節は戦術的な段階から相手に上回られたかたちになった。
プレシーズンにキーマンだった野嶽が開幕直前に離脱し、最初の2試合を榊原のボランチで戦ったことも、ある意味では不運だった。榊原は榊原の長所を発揮して1勝1分という成果を挙げているが、ボールを落ち着かせて野村や清武を生かしながらゲームを組み立てる仕事は、プレシーズンの期間には野嶽のほうがフィットしていた。
そういった選手起用の機微も影響しながら、まんまと相手にしてやられた試合。残念な敗戦となったが、後半最初からプレーした清武がさすがのクオリティーで前半の課題を修正していったこと、また周囲の選手たちもそれに追随できていたことを収穫として、この経験を無駄にせず今後への戦いに繋げていくのみだ。
