TORITENトリテン

試合レポート

2-0完勝で勝ち取ったJ2残留。ベースで秋田を上回り最後まで一体感を切らさず

 

激しいバトルが予想された秋田戦で、臆せずに真っ向勝負に挑んだ。勝点を積むための割り切りの下、攻守に一体感を持って戦えた試合だった。

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立ち上がりからゴールへの矢印を強く描く

前節の水戸戦から、リスクを負わず手数をかけずに前線へと配球する戦法を採用しているチーム。だが、今節対戦する秋田は、もとより素早く前線にボールを送ってゴール前でパワーを発揮するスタイルを貫いている。そんな相手に対し、この戦い方が果たして通用するのか。そんな不安も少しばかり抱きながら、試合当日を迎えた。
 
公開トレーニング後の囲み取材では「相手の土俵には乗りたくない」と話していた片野坂知宏監督。だが、試合までに「同じ土俵に乗りたくはなかったのだが、もう乗らざるを得ない状況だと思って」と腹を括ったようだ。肉弾戦以上の流血戦も厭わず「とにかく今日は勝利への執念というものを見せてくれ」と選手たちの背を押して、ピッチに送り出したという。
 
キックオフ直後から、ゴールへの矢印を強く描いたのは大分だった。3分に屋敷優成がクロスを送って相手にブロックされ、5分には屋敷のロングスローを安藤智哉が頭で逸らし、鮎川峻がシュートを放ってポストに嫌われる。11分には野村直輝の右CKからペレイラがシュートするが相手に阻まれた。16分には梶谷政仁にサイドを突破され小野原和哉にシュートを許すがムン・キョンゴンがセーブした。

 

ベース部分で秋田を上回って2点リード

労を惜しまずスプリントを繰り返すことでコンパクトな距離感を維持しながら、守備では協力してボールを奪い、セカンドボール対応で相手を上回って、シンプルに攻撃へと切り替えていく。そんな迷いのないプレーで相手を押し込み、セットプレーも含めて複数のチャンスを築きながら、なかなか得点できずに時間が流れた前半。
 
先制点は30分に生まれた。立ち上がりからキック精度などにやや不安定さを見せていた相手守護神の様子に、「そういう雰囲気があった」と鮎川はチャンスを狙っていた。安藤からの大きな山なりのロングボールに鮎川が走り込むより早く岡﨑亮平が山田元気にバックパス。なんでもないシーンに思われたが山田がこれをファンブルすると、チェイシングを続けていた鮎川がそのこぼれ球に詰めてマイボールにし、悠々とゴールに流し込んだ。
 
35分には追加点。相手陣左サイドで得たFKを野村が送り、ファーで安藤が落として屋敷がクロス。鮎川のフリックを受けたペレイラが浮き球を送ると、デルランが左足ボレーでネットを揺らした。

 

最後は相手の猛追をボランチ優大で退けた

前半アディショナルタイムにシュートを打った際、ピッチに倒れ込んだ鮎川に代わり、後半頭からはキャプテンの渡邉新太がピッチに入る。52分には野嶽惇也と野村のコンビネーションで左サイドを攻略し野嶽がシュートするが蜂須賀孝治にブロックされた。その流れからの左CKで放った野嶽のシュートは枠の右へ。
 
63分、秋田は才藤龍治と畑潤基を水谷拓磨と河村慶人に2枚替え。戦況回復を期すが、大分は保田堅心や屋敷のドリブル突破からセットプレーを獲得するなど、秋田を押し込み続ける。72分には大分が野嶽と屋敷を吉田真那斗と宇津元伸弥に交代。1分後には秋田が小野原と小松蓮を大石竜平と中村亮太に代えた。
 
85分には両軍ベンチが同時に動く。大分は野村を池田廉、秋田は佐藤を喜岡佳太に代えてシステム変更し、攻防は終盤へとなだれ込んでいった。そこからの秋田の追撃は持ち前の迫力満点。弓場将輝や吉田が体を張る中、河野貴志のシュートは枠の右に逸れ、中村と岡崎のシュートが立て続けに枠に弾かれる。水谷のシュートをデルランがブロックし、喜岡のシュートは吉田が跳ね返した。
 
89分、片野坂監督は弓場に代えて藤原優大をピッチに送り込んだ。そのままボランチに配置して守備に高さを加え、逃げ切りの態勢を取る。6分のアディショナルタイムも集中を切らさず守り切って、0-2のままタイムアップ。栃木が清水に0-1で敗れたため、この瞬間に大分のJ2残留が確定した。