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試合レポート

強風が描き出した前後半のコントラスト。早々の3失点を取り返せず

 

台風13号の影響で強風が吹き渡った14日夜のポカリスエットスタジアム鳴門。風のあおりを受けた試合展開で、後半に築いたチャンスをものに出来なかった。

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風下での開始1分、渡に先制弾を許す

青木駿人とブラウンノア賢信を出場停止で欠く徳島。まずはその攻守の要とも言える2人の欠場により、徳島のメンバーが読みづらかった。フォーメーションも3-5-2なのか3-4-2-1なのか、そして誰がどのポジションに入るのか。
 
片野坂知宏監督によると、永木亮太が最終ラインに入ることは前節からの継続で予想できたが、児玉駿斗、岩尾憲、鹿沼直生の3人が同時に先発することは想定外だったようだ。キックオフまで中盤の構成が読めず、選手たちにはまず相手の状態を見極めるよう言い含めて試合に入った。
 
コイントスに勝った大分は、エンドを入れ替えて風下を取る。指揮官は「自分の判断だった」と、試合後にそれを悔やんだ。「まずは風下で風の影響を受けても前半は慎重に入りながら、しっかりと守備のところと攻撃のところを粘り強くしのぎ、後半勝負という狙いだった。そしていま、この流れを変えなくてはならない中で、エンドを変え流れを変えようとも考えていた」
 
だが、徳島と風の勢いが優った。風上に立つと試合開始直後に前への勢いを醸す徳島。山口竜弥の対角のフィードを野嶽惇也がクリアしたが、ボールは風に押されて十分に前へと飛ばない。こぼれ球に詰めた渡大生にすかさず右足を振り抜かれ、これは濵田太郎が横っ跳びで掻き出したのだが、ペナルティエリア内でそれを拾った柿谷曜一朗が渡に送り、今度は左足でゴールネットを揺らされた。

 

前半だけで3点ビハインドに

相手の陣形と配置を見極める間もない失点。さらに3分には2失点目を喫した。児玉のパスをペナルティエリア外で受けたエウシーニョが、コースを見極めて左足シュート。大分の選手は寄せることも出来ずにそれを受け入れることになった。
 
徳島のキャプテンマークを巻いた永木が明かすところによると、徳島側もコイントスに勝ったら風下を取る予定だったという。皮肉なことに大分が勝って風下を選んだことで、徳島の電光石火の2得点が生まれてしまった。
 
大分は向かい風を受けてボールを前進させることが出来ない。プレー精度も著しく低下した。徳島のビルドアップに対して前線からのプレッシングを試みるも、巧みに立ち位置を取られてまったくハマらず。23分には裏に抜けるエウシーニョを児玉が見逃さず配球すると、エウシーニョの折り返しに鹿沼が飛び込んで、徳島が3点目を挙げる。
 
大量失点の流れは、飲水タイムの修正でなんとか食い止めた。片野坂監督は5-3-2のブロックを築くよう選手たちに指示し、鮎川峻と髙橋大悟の2トップに相手を制限させながらミドルブロックで流動的な攻撃に対応して、チームはやや落ち着きを取り戻す。相手が3点のリードを得て矛を収めたこともあり、前半の終盤にはようやく大分も相手陣でチャンスを構築することが出来た。

 

風上の後半早々、大悟の移籍後初ゴール

エンドが代わり今度は大分が風上に立った後半は一転した展開となる。3点を追って割り切ったかたちでゴール前へとボールを送るようになると早速の46分、濵田のフィードに抜け出した髙橋が左足でシュート。これは田中颯にキャッチされたが、その髙橋が48分に、自らの加入後初ゴールで1点を返した。弓場将輝とのパス交換で相手を引きつけた野嶽が前線へと配球。鮎川が頭で落とし野村直輝が繋いで、中へ潜りながら宇津元伸弥から高橋へ。今度は右足で確実にゴールネットを揺らした。
 
後半の早い時間に良好なコンビネーションプレーで1点を返したことで、追加点への期待が生まれた。ここからは大分の時間が続く。だが、CKにクロス、ミドルシュートと攻めながらなかなかゴールを割ることが出来ない。
 
60分、増田功作監督が渡を村上悠緋に、永木をカイケに交代。1分後には片野坂監督も宇津元をベンチに下げ、ペレイラを右CBに投入。吉田真那斗を一列上げ、松尾勇佑が左WBに入った。
 
62分には保田堅心が推進力を生かしてシュートにまで持ち込むが、カイケにブロックされ田中に抑えられる。72分、大分は鮎川と髙橋を屋敷優成と池田廉に2枚替えした。広範囲を動きながら潤滑剤となる池田のプレースタイルにより、大分の攻撃に変化が生まれる。

 

追加点を奪えず今季初の3連敗

2点差を追って攻め続ける大分だが、最後の精度と強度が足りない。72分には吉田のロングスローの流れから安藤智哉がシュートするが相手にブロックされた。
 
81分、徳島はエウシーニョをターレスに、柿谷を坪井清志郎にチェンジ。84分には大分が野村を木許太賀、松尾を茂平に交代した。
 
強い追い風もあり、87分の吉田のロングスローの場面には濵田も上がってのパワープレーを敢行するが、徳島も中を固めてやらせてくれず。安藤のシュートは惜しくもサイドネットを揺らすにとどまった。安藤はその後も前線に残る。
 
89分、鹿沼を杉本太郎に代えて徳島が時計を進める。90分の保田のシュートは田中に防がれた。その後に得たFKを弓場が蹴り、反応した保田が再び狙うが、今度の弾道は枠の右に逸れた。
 
4本のシュートを放った保田をはじめ、髙橋と安藤が2本ずつ、松尾、弓場、野村が1本ずつと、終わってみればシュート数は相手の6本の倍近い11本。相手に大量リードを許したことも試合を難しくしたが、やはり追い風で攻め続けた中、追加点が欲しかった。
 
チームはこれで今季初の3連敗。残留争いは厳しい様相を増してきたが、自力で勝点を積み続けて逃げ切りたいところ。鮎川、池田、屋敷、茂らのコンディションがさらに上がることにも期待しつつ、残り7試合に懸ける。

渡大生、古巣相手のゴールは徳島のJ2通算900得点目&ホーム通算500得点目だった