TORITENトリテン

試合レポート

覚悟を問われた一戦。新たな要素も見えたが結果は0-3での黒星

 

負傷と出場停止による厳しい台所事情により、新たな配置と組み合わせも試された今節。ボックス内にまで攻め込む回数は増えたが、結果は0-3での敗戦となった。

試合情報はこちら

 

9試合ぶりにGK濵田が復帰

前節の千葉に続き今節は山形と、好調な相手をホーム連戦で迎えた日。これ以上負けが込めばさらに残留争いへと巻き込まれかねないという状況で、ゴール裏サポーターはいつもと異なる応援スタイルを敢行してチームの奮起を煽った。
 
選手たちもそれに応えたい思いはあったはずだ。今節、片野坂知宏監督はGKをムン・キョンゴンから濵田太郎へとスイッチした。このシフトは自ずと戦術ニュアンスの変更へと繋がる。指揮官自身が試合後に明かしてくれたように「(ビルドアップの上手い)ムンだとディフェンス陣がムンに頼ってしまい、千葉戦はそれでボールが前に進まなかった」という側面が大きな理由だ。ムンに比べるとポゼッションは得意ではない濵田は逆にロングフィードを武器としており、今節はとにかく相手陣にボールを運びたい意識が、スカッドからもプレーからも読み取れた。
 
山形は前節、負傷で欠場していたディサロ燦シルヴァーノが先発復帰。右にはイサカ・ゼイン、左には國分伸太郎が張り、トップ下に土居聖真とタレントが並んだ。中央が右サイドに流れ左サイドはローテーションで崩す流動的な攻撃は、夏以降にクオリティーを高めており、やはりこの試合でも立ち上がりから優勢をものにした。

 

粘り強く戦う中で28分に失点

5分にはこぼれ球から放った小西雄大のシュートが枠を外れる。9分、イサカのクロスは香川勇気がブロック。10分、髙江麗央の右CKに合わせた安部崇士のヘディングシュートも枠の上。
 
粘り強くしのぎつつ大分も12分には松尾勇佑と吉田真那斗のコンビネーションから右CKを獲得すると、その流れから2次・3次攻撃を仕掛け、最後は安藤智哉のシュートが相手にブロックされた。15分には香川のグラウンダーのミドルシュートがわずかに枠の右。
 
20分にはディサロのシュートを濱田が阻み、22分には小西のミドルシュートが枠上へと、山形も攻めながらなかなか得点には至らず。27分にはイサカの仕掛けから土居聖真がシュートしたが、これも濵田が処理した。
 
だが、28分、その土居に先制点を奪われる。背後への浮き球を巧みに収めての左足シュートは一度は濱田が防いだのだが、そのこぼれ球を今度は右足で狙われ、弾道はカバーに入った吉田に当たって不運なかたちでゴールへと吸い込まれた。

 

負傷の伊佐に代わり鮎川の1トップ

32分には吉田とともにボールを奪った髙橋大悟が持ち上がってクロスを送るが、わずかに伊佐耕平に届かず。だが、前線からの守備とロングフィードのターゲットとして存在感を放っていた伊佐が負傷し、交代を余儀なくされる。41分、代わって1トップに入ったのは公式戦では初となる鮎川峻だった。
 
45分にも相手を押し込んで分厚い攻撃から安藤がシュートを放つが、これも枠を捉えきれず、1点ビハインドで折り返す。
 
後半立ち上がりには立て続けに大分がチャンスを築いた。48分、宇津元伸弥がドリブルで持ち上がるがクロスは後藤雅明にキャッチされる。50分には鮎川が起点を作り髙橋から展開した松尾がクロスを送ったが、ゴール前に走り込んだ保田堅心と鮎川は、相手も水際を固める中、シュートには至らなかった。52分にも松尾のクロスのこぼれ球に野村直輝が詰める場面。ゴール前にまで運ぶシーンを複数作り、反攻へと士気を高める。

 

香川の退場後もカウンターから好機

だが、59分にアクシデント。自陣ゴール前でボールを受けた香川がイサカのプレスを受け、ボールを奪われて対応したところでDOGSOと判定され一発退場となった。それで与えたゴール正面からのFK。國分が少し動かしたところから小西が放ったグラウンダーシュートは、壁がブラインドとなったこともあり濵田の指先をすり抜けてゴール右隅へと転がり込む。
 
数的不利で2点差となったことを受けて片野坂監督は髙橋と中川をベンチに下げ、デルランと弓場将輝を投入。右から松尾、吉田、安藤、デルラン、宇津元の5バックの前にアンカー弓場、その前に保田と野村、最前線に鮎川という5-3-1の布陣で、山形のサイド攻撃を封じつつカウンターを狙った。
 
67分には宇津元のシュートが後藤雅にクリアされたところを松尾が狙って枠上へ。その直後には渡邉晋監督が土居を高橋潤哉にチェンジした。山形もイサカのシュートが精度を欠くなど、激しい攻防が続く。
 
残り時間を考えて71分、片野坂監督は野村と松尾を池田廉と屋敷優成に2枚替え。右から吉田、安藤、デルラン、宇津元の4バックにアンカー弓場、その前に保田と池田、前線は鮎川と屋敷の2トップの形として、リスクを負って攻撃に出た。

 

FKから3失点目。踏みとどまりたい

76分には渡邉監督が高江を松本凪生、ディサロを後藤優介、國分を氣田亮真に3枚替えして布陣の鮮度を保つ。
 
79分には鮎川が起点を作り保田のシュートが枠の右。84分には背後へ抜け出した鮎川が後藤雅と1対1の場面を迎えるが、この日安定感抜群だった相手守護神はシュートを許してくれなかった。87分、左サイドで与えたFKを後藤優が蹴り、ファーでイサカがマークについていたデルランを上回って強烈なヘディングシュートで山形3点目。大分は最後まで追撃を続けたが、ゴール前を固める山形をついに打ち破ることが出来ず、試合は0-3で終了した。
 
今節は16位・熊本の試合がないため順位は16位のまま。18位・栃木が藤枝に、19位・鹿児島がいわきに敗れたためJ3降格圏までの勝点6差も維持された。ちなみに20位の群馬はホームで仙台とスコアレスドロー。勝点を17に伸ばしている。
 
試合後にはサポーターと小澤正風社長・西山哲平GM・片野坂監督との話し合いも行われ、片野坂監督が自らの進退について言及する事態にもなった。厳しいプレッシャーの下で、残り8試合。台所事情により鮎川の1トップや吉田と松尾の縦関係など新たな選択肢も生まれており、すべてをポジティブに転じていく底力を、なんとか絞り出して這い上がりたい。

またごっちゃんにやられました