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試合レポート

ここ数試合とは異なる戦いぶり。堅守の岡山をこじ開けるには至らずも複数のビッグチャンスを創出

 

結果としてはスコアレスドローに終わったが、優位に進める時間帯の多いゲームとなった。5試合ぶりのクリーンシートにも手応え。継続したいものと勝点1が収穫だった。

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選手の質を生かしてミラーゲームに挑む

リソース不足に陥っていたGKは控えに濵田太郎が復帰したものの、特に前線に複数の負傷者が出ている中で、中2日の3連戦。アウェイで対峙する相手は強度の高い5位・岡山とあってタフな展開が予想されたが、ゲームを作れる香川勇気の左CB起用や野村直輝と髙橋大悟の2シャドーへの配置がハマり、また、1トップの伊佐耕平が動きながらボールを引き出して収め起点を作ることで、多くの時間帯でミラーゲームを優位に進めることが出来た。
 
9分、保田堅心のFKにペレイラが頭で合わせて枠の右。15分には後ろでのポゼッションから中川寛斗が右へ展開し、吉田真那斗が追い越していたペレイラへとスルーパス。マイナスのクロスの先には野村がいたが、直前で相手に掻き出された。23分には一美和成にグラウンダーのシュートを許すが、ムン・キョンゴンが押さえた。

 

前半に2度のビッグチャンス

34分には左右サイドも使ってポゼッションしながら徐々に相手を押し込んでの最初のビッグチャンス。最後は中央へと運んだ保田堅心から野村を経由して、顔を出すタイミングを窺い続けていた中川寛斗へ。上手く相手の背後を使った中川だったが、相手もすかさず寄せ、田上大地にブロックされた。
 
39分には2度目のビッグチャンス。左サイドで組み立て、野嶽惇也のパスを受けた野村がゴール前に浮き球を送ると、抜け出した髙橋が左足ワンタッチで合わせる。完全に1点コースだったが、スベンド・ブローダーセンに片手で掻き出された。
 
こちらの守護神も負けていない。42分には岡山に縦に速く運ばれ、末吉塁のクロスのクリアボールを早川隼平にシュートされる。ディフレクションがあって弾道が変化したが、ムンがファインセーブで防いだ。

 

3度目の決定機もポストに嫌われる

ともに交代なくスタートした後半立ち上がりにも大分のチャンス。49分、相手のカウンターで自陣に攻め込まれたところから中川が一美の横パスをカットしてカウンター返しに転じる。展開を受けた伊佐は吉田、髙橋、中川と走り込むさらに奥へ送って野村がシュート。相手にブロックされて得た右CKの流れから最後は香川がシュートしたが角度なく枠は捉えきれず。
 
3度目のビッグチャンスは55分。ムンから繋いでペレイラが逆に振り、最後は野村と野嶽のコンビネーションで崩して得た左CK。保田のキックは一美にクリアされたが、もう一度保田が入れたクロスに吉田が頭で合わせた。ブローダーセンを越えたボールは、だが、無情にもポストに嫌われる。そのこぼれ球を伊佐が体を張って残し、落として野村がシュートしたがこれもブローダーセンに阻まれた。
 
59分、木山隆之監督が動く。早川と竹内涼を木村太哉と田部井涼に2枚替え。60分、田部井の左CKの流れから香川が藤田息吹に危険なタックルで倒されたが、笛は鳴らずプレー続行に。最後は岩渕弘人にシュートされたが中川がブロックした。

 

岡山が圧を高める最終盤、数的不利に

次第に岡山がゴールに迫る圧力を高める中、65分には末吉のクロスが木村の頭にわずかに合わず。70分、今度は片野坂知宏監督が伊佐をキム・ヒョンウ、香川をデルランに2枚替え。72分には岡山が一美を田中雄大に交代した。
 
73分には田部井の左CKに合わせた鈴木喜丈のヘディングシュートがわずかに枠の右へ。77分には大分が髙橋を池田廉に、吉田を宇津元伸弥にチェンジ。左CBがデルランになったことに合わせて宇津元が左WBに入り裏抜けを狙うとともに、野嶽を右に移してペレイラ、池田とのコンビネーションに期待した。
 
だが、ここから試練が立て続けに大分を襲う。83分、中川が脳震盪疑いで弓場将輝との交代を余儀なくされた。85分、岡山が阿部海大、柳貴博、岩渕に代えて柳育崇、高木友也、齋藤恵太の3枚替え。高さと強さのパワーで勝点3を狙いに出る中、88分に保田の大きな浮き球を処理しようとした野嶽の足が、クリアに入った田中の顔面と接触。野嶽が一発退場となり、最終盤になって大分は数的不利の状態に陥った。

 

4バック、5バックと変更して勝点1を獲得

片野坂監督は90分、野村を鮎川峻に交代しつつ、宇津元を右SBに配置した4-4-1へとシステムを変更して、なおも勝点3を狙いに行く。宇津元が存在感を発揮して可能性を感じさせるが、次第に岡山もゴールを目指すパワーを増す。岡山サポーターもスタジアムを盛り上げ、アウェイ感が高まる状況の中、片野坂監督は弓場を最終ラインに下げ、池田を真ん中に置いて5-3-1で守備を固めた。
 
最後はペレイラが警告を受けながら時間を使ったりもしつつ7分のアディショナルタイムを乗り切り、試合はスコアレスドローで終了。これで5戦連続引き分けとなった岡山サポーターからは、ホームチームへの激しいブーイングが湧き起こった。
 
放ったシュートは前半5本、後半6本の計11本。得点は奪えなかったが、ここ最近の停滞感とは一変してボールを前進させ、何度もチャンスクリエイトできた試合だった。ピンチでしっかり声を掛け合い体を張って、5試合ぶりのクリーンシートも達成。タイトな3連戦の最後に昇格争い中の岡山からアウェイで勝点1を奪ったことは、悪い結果ではなかった。この手応えを繋げつつクオリティーを高めていくことが、今後の浮上への足掛かりになる。

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