TORITENトリテン

試合レポート

開始早々に2点先行も未熟さ露呈で痛恨の逆転負け。要猛省

 

前回対戦同様、2点のリードを得ながらそれを守れず、さらに逆転まで許して敗れた。勝点3を目指して選手交代で改善を図ったが、得点には至らず。3連戦の初戦は黒星となった。

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アグレッシブさを前面に出して2点を先行

前半の立ち上がり、大分は前への勢いを強く醸す。キックオフ直後にキム・ヒョンウの守備で相手の攻撃を阻むと、拾った野村直輝がドリブルで前進。左前方にキム、右からも保田堅心が追い越していく中、野村のパスはわずかにキムに合わなかった。
 
だが、2分に先制点。相手ゴールキックをデルランが跳ね返し、鮎川峻が大きく前に送るとキムと野村が粘るところから野嶽惇也が抜け出してエリア内に進入。相手に掻き出されたがクリアボールをダイレクトに保田が左足で蹴り込み、幸先のいいスタートを切る。
 
5分にはデルランのフィードのこぼれ球を中川寛斗が長い距離を走って拾うとマイナスに折り返し、中央で野村がはたいて吉田真那斗へ。だが、吉田のシュートはユ・イェチャンにブロックされた。6分には愛媛のスローインから押し込まれ、分厚い攻撃を受けるもフリーで打たれた谷岡昌のシュートは枠外へ。
 
相手の精度不足に助けられた感もありつつ、大分が10分に2点目を挙げた。野村のスルーパスにキムが抜け出したが、エリア内でGKとの1対1でコースを見極める間に小川大空にスライディングで潰される。それでもそのこぼれ球をもう一度狙ったキムのシュートが小川の腕に当たり、ハンド判定となった。これを野村が沈めて、大分は試合序盤にしてリードを広げた。

 

相手の勢いを受けて1点差に詰められる

だが、リードしたことで戦況は難しくなった。追撃してくる愛媛の勢いを受けるかたちとなり、ラインがずるずると下がる。押し込まれるままとなり、相手の勢いを受けた。14分にはまたも相手のスローインからのユのクロスにパク・ゴヌが飛び込むと、ヘディングシュートはサイドネット。26分にはユの左CKに森下怜哉のヘディングが枠の左へ。30分にはユのシュートに吉田が対応し、それで与えた左CKの曽田一騎の折り返しからの小川のヘディングシュートが枠の左。
 
大分もチャンスがなかったわけではなく、23分にはデルランがインターセプトし自らシュートを放ったが大きく枠を外れる。33分には吉田が野村とのコンビネーションで抜け出してクロスを送ったが相手にブロックされた。
 
だが、愛媛の勢いが勝る中、35分に失点。自陣で一度は奪ったボールを前に運べずに奪い返され、また攻め込まれると菊地俊介のシュートはペレイラが体を投げ出して防いだが、そのこぼれ球をユに蹴り込まれた。
 
40分には谷岡の個人技でハイプレスを剥がされ、被カウンターのピンチ。茂木駿佑のクロスを中川が掻き出してしのいだが、危ないシーンだった。

 

ミスから同点とされ再び勝利を目指すも…

愛媛は曽田を藤原悠汰に代えて後半をスタート。すると入ったばかりの藤原が46分、最初のプレーで同点弾の大仕事を遂げる。藤原のプレスを気にしながらのムンの安藤智哉へのパスが弱くなったところに詰められ、藤原がスライディングで奪ったボールはそのまま無人のゴールへと転がり込んだ。
 
前回対戦に続き、またも2点差を追いつかれる展開。54分には中川の守備から攻撃がスタートし、最後は野村がシュートするが相手のブロックに遭う。
 
59分、片野坂知宏監督はキムを伊佐耕平に、鮎川を髙橋大悟に2枚替え。頂点が伊佐、その下に右が髙橋、左が野村の配置となる。右上がりの愛媛に対応する中でデルランとの関係性を上手く構築できていなかった左サイドに、個の力量の高い野村が入ったことで改善が見られはじめ、ターゲットとなる伊佐の強度も戦況を大きく変えた。
 
66分にはデルランのフィードに伊佐が抜け出したが味方が追いついて来ず、辻周吾にコースを切られた中、他に選択肢がない状態でシュートを放ったが辻に阻まれる。

 

前へ向かう裏を取られ許した逆転

72分には石丸清隆監督が2枚替え。曽根田穣を佐藤諒、茂木を窪田稜にチェンジする。74分には片野坂監督が野嶽を宇津元伸弥に交代し、積極的に背後を狙わせた。76分には吉田のロングスローの流れから再び吉田のクロスに安藤が頭で合わせたが、辻にキャッチされる。
 
79分には宇津元が自らのスローインから野村とのワンツーで抜け出してクロス。髙橋がゴール前に飛び込んだが、相手にタックルされてシュートは打てなかった。
 
選手交代で前への勢いを取り戻した大分は81分にビッグチャンスを迎える。宇津元のクロスがクリアされたこぼれ球を保田がダイレクトで前に送り、吉田がボレーで合わせる。アクロバティックに放たれた弾道は枠をとらえていたが、辻のファインセーブに掻き出された。
 
82分には愛媛がパクと森下を三原秀真と尾崎優成に交代。その3分後に大分は逆転弾を浴びることになる。中川が佐藤へとプレスをかけたところで奪いきれず、佐藤に運ばれてスルーパス。窪田に簡単に裏を取られてゴールネットを揺らされた。
 

 

頼みの綱・松尾のシュートもポスト

86分、大分は中川を弓場将輝、吉田を松尾勇佑に代えてさらなる前への勢いを醸す。リスクを負ってとにかく前へとボールを送るが、愛媛の守備陣に跳ね返される。アディショナルタイムは6分。ペレイラが前線に上がり、パワープレーで相手を押し込んで、安藤もボレーシュートで狙うが枠の右。アディショナルタイムが尽きる直前には安藤のフィードのこぼれ球を松尾がシュートしたが、鋭い弾道は無情にもポストに弾かれ、なりふり構わぬ追撃もついに実らなかった。
 
2点のリードを守れず、今季2度目の連勝ならず。その結果ももちろんだが、ベースの部分でほとんどの時間を相手に上回られ続けた展開が残念だった。愛媛の勢いを受けてズルズルとラインを下げてしまった守備も、精度や強度を欠いてなかなか形にならなかった攻撃も、ともに課題満載な内容で、その消極性やインテンシティーの低さも、観る者に弱々しい印象を与えた。
 
片野坂監督は厳しい表情。ここから中2日で天皇杯ラウンド16・京都戦、さらに中2日で次節の岡山戦。ただでさえ日程的にタフな3連戦の初戦をこのような内容と結果で終えて、リバウンドのためにまたも余計に力を振り絞らなくてはならなくなった。まずは心身両面の回復が急務だ。