今季2度目の2人退場。やってはならない試合で0-3敗戦
厳しい台所事情の中、対鹿児島戦術を施してのメンバーでスタートしたが、35分に1人、さらに69分に2人目が退場。9人での戦いは、0-3という大敗で幕を閉じた。
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試合の入りは悪くはなかった
SBに負傷者が多い台所事情も踏まえ、今季初の3バックシステムでミラーゲームを仕掛けて失敗した前節の栃木戦の苦い経験を糧に、今節のチームは本来目指していた4-4-2を基本フォーメーションとするスタイルへと立ち返って鹿児島に挑んだ。
2分には相手の間でボールを動かし、長沢駿の落としを有働夢叶が繋いで野村直輝がミドルシュート。泉森涼太にキャッチされたが枠を捉えたシュートは鋭く、この試合で左SBを務めたデルランも攻撃に関わる立ち位置を取るなど出足は悪くなかった。その直後には岡本將成のフィードから藤本憲明に抜け出されるが、ペレイラが対応する。
鹿児島は圓道将良と野嶽寛也が縦関係を組む右サイドから勢いよく攻め込む。その背後を、左SHの宇津元伸弥が突こうと狙う立ち上がり。13分の右CKのシーンではデルランと安藤智哉がコーナーフラッグの左右に立つ初めての形で、デルランがショートで入れると保田堅心と小酒井新大がサイドを変え、野村がクロス。ファーにはデルランと安藤が入っており安藤が折り返そうとしたが、ヘディングは枠外に逸れた。セットプレーからの得点にも貪欲なデザインプレーだった。
14分には前線からのプレスをハメ、安藤のインターセプトを渡邉新太が繋いで長沢がやわらかく落としたところに野村が詰める。チームコンセプトが体現された良い形だったが、飛び出してきた泉森に防がれた。21分にもカウンター気味に攻め上がり最後は野村が個人技で狙って、相手にブロックされる。23分、相手の間でボールを動かしつつ最後は有働のクロスに大外から宇津元のヘディングシュート。これも泉森に阻まれたが、いい形での攻撃が続いていた。
間を使われ最後は背後への対応に難あり
だが、徐々に鹿児島が背後への長いボールを増やしたあたりから守備対応に不安の見えるシーンが増えた。圓道と福田望久斗のスピード自慢の両SHへのフィードに対し、デルランや有働が苦慮。安藤が体を投げ出してカバーしたり濵田太郎がギリギリで防ぐ場面も見られていた中で、35分に最初のアクシデントが起きた。
インサイドの立ち位置を取っていた野嶽のスルーパスに藤本が抜け出すと、追いかけるかたちになった安藤が後ろから倒してしまう。DOGSOによる一発退場の判定が下され、チームは早々に数的不利となってしまった。この試合で安藤は立ち上がりから気合の入ったプレーを多く見せており、老獪な藤本との駆け引きにあたって、それが裏目に出たように見えた。
チームは保田を左SBに移し、野村をボランチに下げて右に渡邉、左に宇津元、1トップ長沢の4-4-1で休場をしのぐ。だが、38分、鹿児島の右CKの流れで外山凌のクロスから鈴木翔大。ペレイラに競り勝ってのヘディングシュートで先制点を奪われた。
43分には鹿児島のカウンターに後追いになった長沢にイエローカード。これにより累積警告で長沢は次節出場停止となる。
4-4-1で徐々に光明も見えていた矢先に…
なんとか0-1で折り返した後半、片野坂知宏監督は有働と長沢を佐藤丈晟と伊佐耕平に代えてスタート。保田が右SBに回って佐藤が左SB、伊佐が右SHに入り渡邉の1トップという配置になった。右サイドの伊佐にボールを集め、起点を作って渡邉の裏抜けから1点を追う。
戦況は苦しく、53分には野嶽のクロスに合わせた鈴木のヘディングシュートが枠の上。55分には小酒井がボールを奪われ藤本にシュートを許すが濱田が防いだ。その中でも66分にはボールを動かして相手陣へと攻め込み、最後は小酒井が狙って枠の上。4-4-1での戦い方に少し慣れてきた雰囲気もあり、このタイミングで片野坂監督は攻撃的なカードを切るか否かを考えていた。
だが、その矢先の69分に2失点目。サイドに流れていた鈴木、野嶽、藤村慶太によるサイド攻撃への対応に失敗し、鈴木がフリーで上げたクロスに飛び込んだのは藤本。見事な崩しからの見事な恩返し弾で、点差を広げられた。
そしてこのゴールに対してオフサイドを主張した保田が、異議によりイエローカードを受ける。すでに17分にラフプレーで1枚目を提示されており、ここで2人目の退場に。片野坂監督は71分、渡邉に代えて中川寛斗を投入すると、宇津元を右SBに移し、2列目は右から中川、小酒井、野村、頂点に伊佐という4-3-1のフォーメーションで対応した。
プロのピッチでは未熟さも許されない
74分には浅野哲也監督が2枚替え。圓道と鈴木に代えて田中渉と有田 光希を投入した。前節得点してコンディションを上げている有田の脅威が、鹿児島に加わる。
77分にはペレイラのアーリークロスが伊佐にわずかに合わず。78分、片野坂監督は野村と小酒井をキム・ヒョンウと弓場将輝に代えて追撃態勢を整えた。キムが最前線で、2列目は右から伊佐、弓場、中川となる。79分には浅野監督が野嶽と福田を星広太と河辺駿太郎に交代して、鹿児島が勢いを保った。
なんとかまずは1点を返したいところだったが、84分に3失点目。弓場のパスが相手に引っかかったところから鹿児島のカウンターが発動し、独走状態に入った河辺にペレイラと濵田が対応したが、連係が上手くいかずゴールを破られた。85分には藤本を井林章に代えて守備を固める鹿児島。87分にはオフサイドぎりぎりだったように見えたが有田のシュートがクロスバーを叩くシーンもありつつ、試合は3-0で鹿児島の圧勝。鹿児島にとっては初の大分戦勝利だった。
試合の入りが悪くなかっただけに、安藤の焦った判断は残念だったし、保田に関しても1枚カードをもらっている状態での異議申し立ては軽率だったとしか言いようがない。負傷者が多く稼働できるメンバーが限られている中で、そのメンバーに徐々に皺寄せが来ている感も否めないが、だからこそワンプレーや一瞬の判断の重みが際立ってくる。
次節・甲府戦は安藤と保田、さらに長沢まで欠いての臨戦。厳しい戦いが続く。