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試合レポート

経験値の高い選手に支えられつつ若手が躍動。レゾドで約3ヶ月ぶり勝利

 

ルーキー5人に2年目1人。怪我からの復帰組も含めた11人が組織的に躍動し、ペースを握って試合を進めた。3回戦進出とともに、さまざまな収穫を得た一戦だった。

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アカデミー卒ルーキートリオが先発に並ぶ

直近のJ2第19節アウェイ山形戦から中2日。片野坂知宏監督はペレイラ以外の10人を入れ替えて、この試合に臨んだ。すでにリーグ戦で主力としてプレーしている小酒井新大と少しずつ試合に絡んでいるキム・ヒョンウを含め、松岡颯人、木許太賀、小野俊輔の今季アカデミーからの昇格組という5人のルーキーに、2年目の佐藤丈晟が顔を並べる。ゴールマウスを守るのはこれが負傷からの復帰戦となるムン・キョンゴン。左SHには鮎川峻が、プレシーズンの負傷を乗り越えて待望のピッチに立った。
 
最終ラインでは山形戦に途中出場して戦線復帰した香川勇気がペレイラとCBを組み、2トップの一角には伊佐耕平が陣取って若手たちを支える。ベンチにはキャプテンの渡邉新太をはじめ長沢駿、野村直輝ら経験値の高いメンバーが入り、若い選手たちにピッチサイドから声をかけ続けていた。
 
一方の鹿児島も、負傷からの復帰組を含め、直近のリーグ岡山戦から戸根一誓以外の10人をターンオーバー。左SHには大分市出身の河辺駿太郎が配置された。

 

攻守にわたる伊佐の活躍から徐々に大分ペースに

立ち上がりから鹿児島が勢いを持ってゴールを目指す様子を見せたが、8分の河辺のクロスはムンにキャッチされ、11分に大分のミスを突いてボールを奪った五領淳樹のシュートは枠の上。13分には五領のシュート性のクロスに端戸仁が合わせるが、これも枠外へ。19分にはドリブルでエリア内に進入してきた五領をペレイラが体を張ってブロック。
 
大分は8分に伊佐が大野哲煥に激しくプレスをかけるなどアグレッシブな守備からチャンスを築いたり、後方からボールを動かしたりしながら相手陣へと攻め込むが、最後のところで相手守備陣に対応されてなかなかシュートにまで至らない。25分には小野の浮き球を伊佐がワンタッチで落とし、木許が得意の足技でゴールへと迫るが、左足で置き直そうとしたところで相手に阻まれてしまった。35分にも右サイドからビッグチャンス。松岡のクサビを伊佐が叩き、小野が前のスペースへと出して木許が速いグラウンダークロスを送ったが、そこに詰めた鮎川は当てるのが精一杯で、大野に抑えられた。
 
42分には小野のクロスにキムが頭で合わせようとしてファーに流れ、それを拾った佐藤のクロスからもう一度キムがヘディングシュートするが大野の正面。44分には鹿児島もFKからビッグチャンスを築き端戸が合わせたが、これも枠を捉えきれなかった。

 

PK失敗も直後に伊佐のビューティフルゴール

0-0で折り返すと、大分は予定どおり鮎川を宇津元伸弥に交代。鹿児島は井林章を広瀬健太、五領を米澤令衣に代えて後半をスタートする。
 
52分にはゴール正面で松岡が倒されて得たFKを伊佐が直接狙うが、惜しくも枠の上。53分には木許が仕掛け、54分には右CKの流れから香川がシュートを放つなど、試合は後半も大分ペースで進んだ。61分にはキムのロングスローの流れから最後は宇津元が詰めるが相手に対応される。
 
鹿児島は63分、星広太を野嶽寛也にチェンジ。65分には左CKから有田光希と中原秀人が立て続けにシュートするが、体を張る大分の牙城は揺るがず。66分には大分が、復帰後間もない香川に代えて安藤智哉を投入した。
 
69分、松岡のキムへの浮き球が相手のハンドを誘いPKを獲得。だが、ペレイラがタイミングを外して狙ったPKは大野に掻き出された。そこから続いたセットプレーで、先制点が生まれる。宇津元の右CKがクリアされて得たスローイン。この日はロングスローを投げていたキムがまたもロングスローと見せかけて近くに落とし、待っていた小酒井がクロス。ゴール前で相手と競り合っていた伊佐が見事に頭で合わせ、美しい弾道でゴールネットを揺らした。

 

先制からの選手交代もハマり1-0で勝利

ビハインドになった鹿児島は77分に有田のヘディングシュートが枠の左。78分、ボールを動かしてゴールに迫ったが米澤のシュートは枠の上へ。
 
80分には両ベンチが動く。鹿児島が端戸を圓道将良に、大分がキムと伊佐をを野村直輝と渡邉新太に代えた。渡邉と宇津元の2トップ、左SHが野村の陣形となる。さらに84分には小野をデルランに代えて5バックに変更。最終ラインの並びは右から宇津元、ペレイラ、安藤、デルラン、佐藤。渡邉の1トップに野村と木許の2シャドーとした。85分には鹿児島が小島凛士郎に代えて西堂久俊を投入。ともにカードを使い切った。
 
86分、正面から野村が直接狙ったFKは大野に阻まれ、渡邉が詰めるも打ちきれず、掻き出されたところから宇津元が仕掛けに行ったが相手に対応される。89分には宇津元の右CKの流れからペレイラのパスをデルランが狙って枠の上。
 
アディショナルタイムには松岡のクサビを受けた木許が絶好機からシュートを放ったが、大野の指先をかすめた弾道はカバーに入った戸根の背中に当たってしまいゴールならず。1-0のままタイムアップを迎えた。

 

試合展開の中で柔軟に対応できた点も◎

鹿児島は33歳と34歳が2トップに並んだこともあり、リーグ戦のような前線からの激しいプレッシングが見られず。試合後には浅野哲也監督も「ボールの出どころに対するプレッシャーがあまりかからず、大分の選手にいろんな判断をさせてしまった」と反省点を挙げた。
 
そういう側面があったにせよ、経験値の少ない若手たちがのびのびと躍動できたことは喜ばしかった。当初は佐藤がSBを務める左に高い位置を取らせて攻めるプランだったが、試合展開の中で自然と右肩上がりになり、普段はCBを主戦場とする小野が積極的に攻撃参加してチャンスを作るなど、柔軟性を持って戦えたことも大きな収穫だ。その陰には香川のコーチングやペレイラのカバー、伊佐の攻守にわたるポテンシャル発揮など先輩たちの支えがあった。
 
鮎川とムンの復帰、キムのフィット、木許のアグレッシブさなど、今後に繋がる材料満載だった一戦。川崎Fとの3回戦に駒を進めつつ、彼らが今後のリーグ戦にも絡んでくるようになれば、選手層の厚みは回復へと向かう。中3日で迎えるJ2第20節・栃木戦には、出場停止明けの小酒井と藤原優大も戻ってくる。U-19代表を途中離脱した保田堅心も合流しているはずだ。チーム内競争を活性化させ、リーグ後半戦で巻き返したい。

この左足にはロマンがある
カガさま渾身の左足シュート

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