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試合レポート

急造布陣でほとんどの時間を劣勢に。全員で耐えしのぎアウェイで勝点1

 

深刻な駒不足の中、急造布陣で臨んだ今節。試合は想定以上に劣勢となった。それでも守護神・濵田を中心に窮地をしのぎ、アクシデントにも対応しながらアウェイで勝点1を得る。この勝点1に宿った意味を、チームは今後に繋げていけるか。

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左SBにデルランの急造布陣

負傷者が多発して選手層が薄く、保田堅心を右SBで起用しなくてはならなかった台所事情。その保田がU-19代表活動によりチームを離れ、出場停止で小酒井新大と藤原優大も欠いて迎える今節、片野坂知宏監督がいかなる策でこの一戦を乗り越えるのかが注目されていた。
 
SBの層が薄くなっていることで、3バックシステムでスタートする可能性も想像できたが、指揮官たちは、これまで積み上げてきた4バックシステムでの戦いを継続することを選んだ。負傷者が増え、プレシーズンにイメージしたりトレーニングマッチでトライしたりした戦い方はなかなか出来なくなっているが、その中でも少しずつ、戦術は浸透しつつある。ここで付け焼き刃的に異なる戦い方を採用したとしても、それは一時しのぎにしかならない。
 
それを貫くために、今節はデルランが不慣れな左SBに入るという少し難易度の高いチャレンジも強いられたが、それによって生じると予想される事態は、中川寛斗のボランチ起用などの戦術的工夫でカバーされているようにも見えた。
 
一方で、山形のほうもコンディション不良者が出ており、今節は1トップに後藤優介、トップ下に國分伸太郎という大分アカデミーOBが縦関係を組むゼロトップシステムでスタート。それぞれの事情と思惑の絡み合う一戦がはじまった。

 

攻撃精度不足で防戦一方となった前半

山形は立ち上がりから積極的に攻勢に出てきた。3分には後藤にシュートを打たれ枠の左、さらに氣田亮真にもシュートを許し、これは濵田太郎が掻き出してしのいだ。12分には濵田の安藤智哉へのパスがズレたところでイサカ・ゼインにシュートされたが、ポストを叩いて命拾い。22分には南秀仁に攻め込まれ、ゴール前でのパスから後藤が合わせてネットを揺らされた。完全に崩されていたが、後藤がわずかにオフサイドの判定で、またも胸を撫で下ろすことになった。34分には國分のスルーパスに抜け出した吉田泰授のグラウンダークロスを、イサカが触る一瞬前に濱田が掻き出す。
 
山形は大分の背後を狙い、ラインを押し下げる。一方の大分は、山形が深めに取った最終ラインの裏を狙えず、後ろでボールを持たされて、その精度不足を狙われた。特に不慣れなSBでのデルランは、昨季と同様に、マッチアップするイサカに標的にされる。中盤では中川や野村直輝が賢く立ち回る中で長沢駿がフリーになる場面が多く、長沢は時折ボランチ脇まで落ちてボールを受けようとするのだが、配球の精度不足でなかなか起点を作れない。
 
中盤より前にボールを運べる回数少なく、防戦一方となった前半。ひたすら耐える時間が続いた。

 

野嶽負傷のアクシデントで3バックに変更

後半の立ち上がりにも立て続けのピンチ。47分に川井歩のクロスを濵田が掻き出したところを氣田に打たれ、ペレイラがブロック。その直後にも國分にシュートを許し、濱田が左手を伸ばして掻き出した。
 
早い時間帯から香川勇気がアップをはじめ、デルランとの交代が準備されていた。負傷から復帰し全体合流して間もない香川のプレー可能時間いっぱいまでデルランを引っ張る予定だったのだろう。だが、その矢先、右サイドでチャンスを築きかけた野嶽惇也が太腿裏を押さえて倒れ込む。片野坂監督は急遽、交代予定を変更して56分、野嶽を木本真翔にチェンジ。右からペレイラ、安藤、デルランの3バックに弓場将輝のアンカー、その前に野村と中川、右WBに木本、左に宇津元伸弥、前線に長沢と渡邉新太が並ぶ3-5-2へと陣形を変えた。
 
それでも山形の攻勢は続く。63分にはイサカのクロスに吉田が頭で合わせ、これも濵田が片手で枠上へと逸らす。そこからの左CKのシーンでは、イサカのシュートが濵田の手をすり抜けたところで、中川が間一髪でクリアするファインプレー。

 

耐えた末に背後を狙えるようになった終盤

65分には山形が、國分と氣田を藤本佳希と横山塁にチェンジ。藤本が頂点に入り、後藤がトップ下に移った。横山はそのまま左SHへ。大分は68分、疲労の見える長沢を香川に交代。香川は予定とは全く異なる形でピッチに入り、左WBに陣取った。宇津元は渡邉と2トップを組む。
 
チャンスを量産しながらなかなか得点できない山形の背後を、この2トップが狙うようになり、ある程度割り切った形ではあったが、大分の攻撃がようやく機能しはじめた。そこから得た73分の右CK。ニアで渡邉が合わせてゴールネットを揺らしたが、ギリギリを狙った宇津元のキックがラインを割っていたとの判定でゴールとはならず。
 
76分、山形は後藤に代えて狩野海晟。77分には木本が仕掛けてシュートしたが後藤雅明にキャッチされた。徐々にチャンスを増やしていた83分、大分は3枚替えで最後に勝点3を狙いに行く準備。だが、このタイミングでデルランが足を攣らせ、ここでも急遽、交代プランは変更に。当初に交代予定だった弓場をピッチに残し、デルランと宇津元、渡邉をベンチに下げて伊佐耕平、キム・ヒョンウ、松岡颯人が入った。香川が左CBとなり、木本が左に移動して松岡が右WB。伊佐とキムの2トップでカウンターを狙う形となる。

 

全員がチームのために戦えた試合

85分には野村のパスを受けた中川のシュートが阻まれる。88分には松岡が、本職のボランチとは異なるサイドで1対1の守備。リーグ戦デビューを果たしたルーキーは、しつこい対応で相手を嫌がらせた。90分には大分最大のチャンス。木本が野村とのコンビネーションで左サイドを突破してクロス。伊佐が頭で合わせ、枠外に逸れたが、ようやく大分の迫力ある攻撃が見られたシーンだった。
 
終盤にはシンプルに攻めるようになった大分が押し、ひたすら我慢し続けた末にあるいは勝点3もあるかという展開になったが、両ゴールネットは揺れないまま試合は0-0で終了。
 
またも勝利することは出来なかったが、試合後に片野坂監督は「この引き分けはこれまでの引き分けとは違う意味がある」と口にした。主力を多く欠き、コンディションの上がりきれていないメンバーも条件の範囲内で動員して、さらにアクシデントにも見舞われながらの戦力のやりくり。松岡や木本は、準備してきたものとは異なるタスクを懸命にこなした。言うまでもなく濵田のセービングによる貢献、中川の豊富な運動量とポジショニングを生かした中盤での立ち回りも、苦況の続く試合で勝点1を引き寄せる一因となった。
 
決して誉められた内容ではない。シュート数はわずか4本。だが、現状のチーム事情の中で、全員がチームのためにタスクを遂行する様子は、ある種のポジティブさも感じさせた。松岡やキム、出番はなかったがベンチ入りした佐藤丈晟らが中2日での天皇杯2回戦・鹿児島戦に絡んでくるか。次節には小酒井と藤原も戻ってくる。この窮状を乗り越え、その先にクオリティー向上を求めたい。

試合後はやっぱり集まるよね

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