TORITENトリテン

試合レポート

前節同様、前半の好調を後半に維持できず。得点力とゲームマネジメントの課題継続

 

終盤に2失点して追いつかれた前節・愛媛戦の反省を踏まえ、今節こそはと臨んだ水戸戦だったが、またも似たような展開になってしまった。前半の優勢な流れを勝利へと繋げるには。

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茂のクロスから優大の移籍後初ゴールで先制

前節と同様、立ち上がりから非常に好感触だった。立ち位置で先手を取り相手のファウルを誘ってセットプレーから押し込むと、5分、早速の決定機。宇津元伸弥の左CKはショートで、渡邉新太に出すと見せかけてその奥の野村直輝へ。野村のシュートは久保征一郎にクリアされ、高く跳ねたボールを長沢駿が落として弓場将輝が左足で狙ったが松原修平に防がれた。
 
いい形で好機を築き続ける中、今節も早々の13分に先制する。茂平のスローインの流れから一旦は中に入れたボールを野村が再度、茂に展開。茂のクロスのニアサイドで、相手の間に走り込んだ藤原優大が体を捻りながらヘディングシュートでネットを揺らした。藤原はこれが移籍後初ゴール。監督交代後はクリーンシートでの勝利を続けていた水戸から3試合ぶりに得点を奪った。
 
チャンスはそれからも続いた。16分には安藤智哉のクサビを渡邉が右に展開し、茂が野村とのワンツーで抜け出してマイナスの折り返し。長沢が合わせたが相手にブロックされた。

 

相手を圧倒した前半も1得点のみで折り返し

26分には水戸のチャンス。大崎航詩のFKは低い弾道で直接狙うシュートだったが壁に当たった。こぼれ球をもう一度大崎が拾って浮き球を送り、飯泉涼矢がヘディングシュート。勢いはあったが枠の右に逸れた。
 
大分は野村と茂のコンビネーションからの好機構築や渡邉のドリブルからのシュートなど相手を圧倒。安藤や野嶽惇也の好守もあり、また高い位置でボールを引っ掛けてすぐに攻め返すシームレス状態が継続できてもいた。ただ、追加点がなかなか取れない。
 
33分には小酒井新大のパスを受けた野嶽が斜めのボールを入れ、長沢がタメてから出したところで野村がシュートを放ったが、松原のファインセーブに掻き出された。それで得た宇津元の右CKの流れからこぼれ球を拾った弓場のシュートも相手にブロックされる。直後にスローインからカウンターに持ち込まれてヒヤリとしたが、抜け出した後藤田亘輝のタッチミスに救われた。
 
水戸は43分にもカウンターでゴールに迫る。新井晴樹が茂を跳ね飛ばしながらドリブルで持ち込んでのシュートを、濱田が防いでしのぐ。このあたりから新井がやにわに存在感を出してきたが、続く突破からのクロスは味方に合わなかった。前半アディショナルタイムにはこちらも宇津元がカウンターで抜け出して逆サイドの野村に託そうとしたが、飯泉の好守に潰された。

 

選手交代+プレッシングで流れを奪いにきた水戸

水戸は安藤瑞季と久保の2トップを寺沼星文と落合陸に代えて後半をスタート。前半に自分たちがされたのとは逆に、今度は大分の2CBに激しくプレスをかけてビルドアップを阻んできた。中盤のプレッシングの強度も上がり、前へのベクトルを強めてきた水戸は、立て続けにクロスを供給するなどチャンスを増やしはじめる。
 
53分、藤原の弓場へのパスがズレたところを相手に奪われ、クサビを受けた寺沼を藤原がエリア内で倒してしまいPKに。寺沼が自ら蹴ったコースを濱田は読んでいたのだが、速いボールは守護神の脇下をくぐり抜け、同点弾となった。
 
大崎のロングスローなどで押し込んでくる水戸との自陣での競り合いの中から、57分には渡邉がカウンターで抜け出す。だが、素早く追いついてきた新井にタックルされ、シュートにまでは持ち込めなかった。水戸は61分、甲田英將を野瀬龍世に交代。ここから野瀬もアグレッシブな仕掛けで好機演出へと力を発揮する。直後の落合のFKの流れから落合に攻め込まれ、マイナスのパスに合わせた飯泉のシュートは濵田がファインセーブ。さらにこぼれ球に反応した寺沼のシュートにも濵田が体を張ったが、ファウル判定で大分ボールになり、大ピンチを乗り越えた。

 

やや形成挽回もロストからの被カウンター多発

片野坂知宏監督は65分、弓場を保田堅心に、宇津元を木本真翔に2枚替え。67分、保田の右CKのクリアボールを渡邉がダイレクトに狙って枠の上。68分には渡邉が大崎に倒されて獲得したFKを保田が安藤に合わせにいったが相手に掻き出された。
 
保田の立ち回りで主導権をやや回復した大分は、徐々に再び好機を作りはじめる。72分には左サイドで細かくボールを動かしながらチャンスを窺い、保田が逆サイドへと送ったボールを茂が折り返して渡邉が頭で合わせに行くも打ち切れず、相手に掻き出されたところを木本がダイレクトで左足一閃。だが、この鋭いシュートも松原に阻まれた。
 
76分には2度、カウンターからのピンチ。濵田の野嶽へのアンダースローを野瀬にインターセプトされ、ドリブルでエリア内に進入されるが藤原が対応。その後のポゼッションから今度は藤原のクサビがカットされてカウンターで新井にシュートを許し、濵田が片手で掻き出してしのいだ。

 

ピンチもチャンスもありながらのドロー

大分は78分、渡邉を伊佐耕平にチェンジ。伊佐と長沢が前線から相手のパスコースに制限をかけながら戦いを続けた。79分にはサイドでボールを受けた大崎にドリブルでエリア内にまで進入を許す。少しバタついたが安藤が対応した。
 
81分には水戸が前田椋介に代えて髙岸憲伸。直後、サイドの競り合いから大崎のパスを受けた落合にミドルシュートを放たれるが枠の上へ。83分には野瀬のスピードに乗ったドリブル突破からのクロスに茂が足を出してCKに逃れた。水戸はさらに85分、新井を山本隼大に交代する。87分には大分が、茂を有働夢叶、長沢を中川寛斗に交代。伊佐と木本の2トップに野村と中川が左右SHという、きれいな4-4-2の形になる。
 
4分設けられたアディショナルタイムには、両軍がともにビッグチャンスを迎えた。90+2分には水戸。野瀬の落としから長尾優斗に右足で鋭いシュートを放たれたが、濱田が素早い反応で防ぐ。90+4分には大分。安藤のインターセプトからカウンターが発動し、保田が繋いで野村が持ち上がると右サイドを駆け上がっていた伊佐へとパスを出したが、伊佐がゴール前に送ったパスは味方に合わなかった。90+4分、保田の右CKのクリアボールを狙った野村のボレーも枠上に逸れ、試合は1-1のままタイムアップ。
 
監督交代後、クリーンシートで2連勝中だった水戸の勢いは削いだものの、こちらも前半の優勢を維持できず、またも勝点1止まり。前節の課題を継続するかたちとなった。

安田好隆コーチとの再会。第1期片野坂監督体制を支えた参謀でした