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試合レポート

粘り強く戦って相手を退場に追い込むも、堅さを増した牙城をこじ開けきれず

 

相手に上回られる苦しい時間帯を集中してしのぎ、カウンターチャンスで相手を退場に追い込んだ。だが、数的不利になって堅さを増した相手の守備を攻略しきれず、試合はスコアレスドローで終了した。

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ベースで上回る岡山に粘り強く対応

クラブ史上初の5連勝を期して乗り込んできた首位・岡山。試合は立ち上がりからその堅守に苦しめられることになった。4-4-2と3-4-2-1のマッチアップながら互いにプレスを掛けあって、立ち上がりからデュエルの多い展開に。互いに相手の攻撃を潰しあい、ブツブツと流れが途切れるばかりのゲームの中で、岡山の好調を支える守備に球際や切り替えで上回られ、セットプレーのチャンスを与える場面が続いた。
 
6分、田中雄大を倒して与えたFK。田上大地の放った弾道は濵田太郎の手元で落ちてヒヤリとしたが、なんとか掻き出す。8分、スピードに乗って持ち上がる末吉塁に保田堅心が対応して与えた左CKから、岡山のビッグチャンス。仙波大志のキックをニアで阿部海大が逸らすと、弧を描いたボールは濵田の指先をかすめゴールに吸い込まれるかに見えたが、ギリギリのところでカバーに入った野嶽惇也がクリアして、九死に一生を得た。
 
スペースでボールを動かして前進したい大分だが、岡山の素早いプレスに苦しむ。16分にはポゼッションして相手を押し込みながら最後は宇津元伸弥が面白いクロスを入れるがわずかに精度不足。そこからのスベンド・ブローダーセンのゴールキックを香川勇気が相手陣で収め、また攻撃を仕掛けて野嶽のクロスが逆サイドに流れたところから薩川淳貴がシュートしたが、相手に当たって枠を外れた。そこで得た右CKの流れから受けたカウンターには宇津元が素晴らしい守備で対応。攻撃へと切り替えるがすぐにまた奪い返され、激しい攻防が続く。

 

ボールを持てないながら無失点でしのいで折り返す

弓場将輝と保田が中盤で食い止めきれなくとも、安藤智哉と藤原優大のCBコンビが巧みに連係しながら相手の攻撃を抑え続けた。27分には仙波の左CKを濵田が掻き出したところから柳貴博のミドルシュートが枠上に逸れ、43分には中盤の奪いあいからセカンドボールを拾った田中雄大のシュートも枠上へ。
 
狙いどころにボールを入れて前進する意思を見せる大分は、36分に保田が長沢駿とのワンツーで攻め上がり、39分には長沢のプレスバックから相手陣で攻撃に切り替えるなどのシーンも作るのだが、その先で相手の守備に阻まれてシュートにまで至らない。44分には相手左CB脇のスペースへの大きなサイドチェンジに宇津元が抜け出してクロスを入れたが、走り込んだ渡邉新太のわずか手前で阿部にクリアされた。
 
ベース部分で岡山に上回られながらも長沢の献身的な守備をはじめ全員が集中して対応し、前半を無失点で終了。岡山のシュート6本、直接FK12本、間接FK2本、CK7本に対し、大分はシュート2本、直接FK6本、CK2本というスタッツを見れば、スコアレスでの折り返しは粘り強くよく耐えたと言える内容だった。前半のうちにイエローカードをもらった宇津元に代えて松尾勇佑を右SHに投入し、後半がはじまる。

 

カウンターから相手の退場を誘い戦況一変

保田と弓場の立ち位置を修正して臨む中、粘り強い戦いの中で大きな転換点が訪れたのが51分だった。相手の右CKの流れからボールを収めた野嶽がカウンターを発動。長いスルーパスは渡邉に通り、独走状態に入ったところに追いついた柳貴博がペナルティーアーク手前で渡邉を倒すと、得点機会阻止により一発退場となった。
 
10人になった岡山はただちに手を打つ。田中をベンチに下げて河野諒祐を右WBに配置し、木村太哉とグレイソンを前線に並べた5-2-2の陣形に。5枚のブロックで守備を固めながら2トップでカウンターを狙う戦法へとシフトし、もとより堅かった岡山の守備は違ったかたちでさらに堅さを増すことになった。
 
相手が構える守備へと切り替えたことで、前半とは一転、ボールを持てるようになった大分。だが、岡山は66分、2トップをルカオとガブリエル・シャビエルにチェンジし、シャビエルを2列目に置いた5-3-1へと変形してさらに中央を固めた。

 

相手の牙城を攻略できずスコアレスドローで終了

相手WBが最終ラインに吸収されたためサイドでボールは持てるのだが、そこからただクロスを入れても中で跳ね返されてしまう。こじ開けようと躍起になるあまり、前がかりになった攻撃は単調に終始した。保田と安藤、藤原が相手のカウンターに備え、ルカオやシャビエルといったタレントに対応しながら攻略を続けるが、割り切って守る岡山の牙城は揺るがない。
 
77分には香川と保田に代えて梅崎司と羽田健人を投入。薩川を左SBに下げ、これが復帰戦となる梅崎が左SHに入った。相手に奪われて放り込まれたボールを藤原と安藤が跳ね返し、また責め続ける繰り返しの中で、79分に羽田の縦パスをエリア内で受けた渡邉がシュートしてブローダーセンに阻まれる。79分、岡山は末吉を吉尾虹樹、仙波を柳育崇に代えて守備に高さと強度を加えた。81分には野嶽のカットインからのシュートが枠の上。83分には弓場のクロスが味方に合わず。片野坂知宏監督は83分、渡邉に代えて伊佐耕平を送り込んだ。さらに88分には弓場に代えて中川寛斗。手元の駒で考えられる力と技をありったけ繰り出す中で、89分に最大の決定機が生まれる。
 
羽田のクサビを伊佐が縦に送り、それを拾って進入した松尾がぽっかり空いていたスペースへとマイナスのパス。走り込んだ梅崎のシュートは、だが、体を投げ出した河野にブロックされた。すぐにこぼれ球を伊佐が拾って攻め続けるも、岡山の守備も集中。90分には中川の浮き球に薩川が頭で合わせたが、ここもブローダーセン。こぼれ球に詰めた長沢も相手に潰され、4分のアディショナルタイムも攻め続けながら、ついにネットは揺らせずに終わった。
 
後半、割り切って試合を運んだ岡山のシュートは0本。大分のシュート5本は少なく感じる。好調・岡山の連勝は4でストップしたものの、守備を固めた相手の攻略に課題を残した一戦となった。