1万1000人超えのホームで5試合ぶりの歓喜。積み上げてきたものを体現
ホームでの勝利をみんなが待望し、5試合ぶりに喜びを分かち合えた。数名の負傷者も復帰し、チームにまた新たな風が吹く。
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先発7人を入れ替え3-4-2-1でのスタート
前節の山口戦から先発7人を入れ替えた下平隆宏監督。システムを3-4-2-1に変更したのは、今週のトレーニングで怪我人が「出たっぽい」状況となり、戦力のやりくりのため。結局、怪我疑惑の選手も怪我には至っておらずことなきを得たのだが、そういう事情もあってマンツーマン気味にプレスをかけてくる藤枝に対し、ミラーゲームを挑むことになった。
16試合ぶり出場の高木駿を起点にビルドアップする大分は、巧みに立ち位置を取って藤枝のハイプレスを回避しながら前進。立ち上がりに中川寛斗が送ったクロスに移籍後初先発の鮎川峻が合わせたのを皮切りに、サイドを起点に複数の好機を築いた。鮎川は20分にも松尾勇佑のクロスに飛び込み、これも枠上に逸れる。だが、ビルドアップという「下ごしらえ」が機能して前線の自由度が高まっているようだった。
プレスを剥がされる藤枝は間もなくミドルゾーンで構える守備に切り替えた。ドリブルや浮き球を織り交ぜながら大分の守備を巧みにかわしてゴールを目指す。29分には横山暁之のクロスがペレイラに当たって軌道を変えた先で久富良輔がボレーシュートを放つが、枠の左へ。
長沢の背後でアユ待望の初ゴール
33分、大分が先制点を挙げた。相手のトラップが大きくなったところに高畑奎汰が詰め、そのこぼれ球を中川が、抜け出す高畑へと送る。高畑の弓なりのクロスのニアに飛び込んだのは長沢駿。そこに相手が引きつけられる背後で、鮎川が左足ワンタッチで仕留めた。早く結果を出したいと切望していた鮎川の移籍後初ゴールとなる。
ビハインドになった藤枝は再び圧力を増し、前半の終盤には持ち前の勢いを全開にエリア内にまで進入するシーンを作った。だが、しっかりと人につく大分の守備をこじ開けるには至らず。
前半アディショナルタイムには中川が足を痛めてピッチに倒れ込んだ。それまでも中川の神出鬼没なポジショニングが相手の守備を翻弄し、ここ一発という場面でのチャンスメイクも担っていただけに、想定外の交代は痛い。下平隆宏監督は残りの2分ほどを10人で耐えることを選んだ。
也真人復帰。後半はカウンターで好機構築
ハーフタイムを境に中川と交代してピッチに立ったのは町田也真人。出場は5月21日の第17節H長崎戦以来となる。おそらく予定していたよりも長時間プレーすることになったはずだ。サイドに突破力のある選手を置く藤枝に対し、下平監督はシステムを5-3-2に変更して守備の安定を図り、追撃のために前がかりになる相手の背後をカウンターで狙った。
一方、5人の新戦力を全員ベンチに控えさせていた須藤大輔監督も、久富を田中宏武に、岩渕良太を中川風希に2枚替え。後半立ち上がりに田中が立て続けにクロスを送るなど存在感を見せつけてきたが、高木を中心に落ち着いて対応した。
鮎川がカウンターで出ていくことでセットプレーのチャンスを得る大分は、55分、野村直輝のFKにデルランが頭で合わせたが、北村海チディに触られて弾道はポストに弾かれる。こぼれ球を狙った長沢のシュートは枠の上へ逸れた。62分にも野村のFKの流れから、今度はペレイラがボレーで狙って枠の右。
デルラン、シュート2本目も得点未遂に
63分には自陣でボールを奪われ榎本啓吾にシュートを許すが枠上へ。さらに榎本のクロスに高木が対応し水野泰輔のミドルシュートが枠の左に逸れるなど、藤枝は勢いあふれる前向きの矢印をゴールに結実させることが出来ない。
真夏の蒸し暑いドームで、最も疲労を感じはじめる時間帯。67分には藤枝が新井泰貴を西矢健人に交代し、70分には大分がペレイラを上夷克典に、長沢をサムエルに2枚替えした。75分には藤枝がアンデルソンに代えてこちらも新戦力のレオナルドを投入。
77分にも大分に追加点のチャンス。上夷のクロスにサムエルが頭で合わせ、相手にクリアされたところに駆け込んだのはデルラン。鋭いミドルレンジのシュートは、だが、またも北村のファインセーブに遭ってポストを叩くにとどまった。
落ち着いた試合運びで無失点勝利
大分は78分、足をつらせた高畑と鮎川に代えて宇津元伸弥と安藤智哉を投入。上夷が左WBに移り、安藤は右CBに入った。82分には藤枝が水野に代えて永田貫太。最後までアグレッシブさを維持しつつ、藤枝の追撃は続く。
だが、この日の大分は経験豊富なメンバーが多かったこともあり判断よく試合を運んだ。5分設けられたアディショナルタイムには町田が遅延行為で警告を受ける場面もありつつ、最後はサムエルの体の強さを生かしてコーナーで時間を使い、1-0で逃げ切りに成功する。
5試合ぶりのホームでの勝利に、ほっとした表情を見せた選手たち。これがようやく後半戦2勝目だが、負傷していたメンバーが続々と復帰してきたことは心強い。中川の負傷は診断待ちだが、他にも復帰間近なメンバーがおり、ここから終盤戦に向けてチーム状態を上向けていきたいところだ。