修正で逆転の雰囲気まで盛り返すも細部の詰めの甘さが露呈。乾の2発に沈む
難しい戦況を選手交代と配置転換で盛り返し、一度は追いついて逆転への気運も高まったのだが、細部の詰めの甘さから相手に追加点を許して敗戦。課題の多いホーム2連敗となった。
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第16節・山形戦以来の3バック採用
前節・町田戦から中3日ながら、高畑奎汰の負傷により急遽3バックシステムへの変更を余儀なくされたチーム。立ち位置は変わっても基本コンセプトは変わらない中、「トランジションの部分ではやはり3バックと4バックとの違いはあるが」と下平隆宏監督が話したところが、立ち上がりの劣勢につながったか。判断やプレースピードが遅く、インテンシティーも高まらずに、トランジションの素早い清水に主導権を明け渡す試合の入りとなった。
9分、中山克広のドリブルからの折り返しを受けた乾貴士のシュートは枠を外れるが、その1分後に先制点を奪われる。10分、後ろでボールを回していた場面で池田廉が西川幸之介に戻したボールを、西川が前につけようとしたパスがミスになり、至近距離で乾にカットされると、悠々と無人のゴールへと流し込まれた。
徐々にペースを掴むも決定機は仕留めきれず
ボールを動かして前進したいのだが、出足の早い相手にカットされたりプレー精度が不足したりしていて、なかなか攻撃の形が作れない。それでも20分過ぎからはようやく少しずつ馴染んだ様子で、相手の背後を狙い続ける松尾勇佑のところからいくつか攻撃の芽が顔をだしはじめる。
32分には北爪健吾のクロスに中山が飛び込んでわずかに合わず、ヒヤリとしたシーンもあったが、上夷克典や羽田健人がカルリーニョス・ジュニオや乾に辛抱強く対応しながら、34分には大分も決定機を築いた。上夷の浮き球に抜け出した松尾の折り返しはニアに走り込んだ伊佐耕平が触る前に相手にクリアされたが、そこに走り込んだ野村直輝がシュート。体を張る権田修一に防がれ、野村がもう一度シュートするも、またも権田。そのこぼれ球に反応した伊佐の左足シュートは、高橋祐治にブロックされてしまった。
修正して一気に盛り返し松尾が同点弾
ハーフタイムに下平監督は池田を渡邉新太に代えて野村をボランチに下げ、渡邉を左シャドーに配置して後半をスタートする。これが奏功して一気に勢いを盛り返した大分は、50分、早速同点弾をものにした。中川寛斗や弓場将輝らが絡みながら後ろからボールを動かし、渡邉がタックルされたこぼれ球を拾った安藤智哉が藤本一輝に託すと、渡邉が外に走る中、藤本は右足でゴール前にボールを送る。手前で伊佐が潰れた背後に飛び込んできた松尾がワンタッチでゴールネットを揺らし、スコアは1-1となった。
勢いづいた大分は51分、中川のパスを受けた渡邉がミドルシュートを放ち、惜しくもポストに弾かれる。53分にも相手のクリアボールを野村がダイレクトに狙って権田に防がれた。前半とは打って変わったチームの様子に一気呵成に逆転へという雰囲気も生まれ、スタジアムの雰囲気は高潮した。
カウンター返しから乾のゴラッソを被弾
だが、清水もそのまま劣勢でいてはくれない。57分にはFKの流れから乾が大分の左サイドを突破して折り返し、北川航也が鋭いシュート。枠の右に逸れたが、危ないシーンだった。清水は57分、西澤健太に代えて岸本武流を投入する。
中盤で主導権を回復した大分も積極果敢に攻め、追加点を狙ったが、その積極性の裏を突かれたように63分に2失点目を喫した。西川のリスクを負ったクサビを野村がギリギリで相手の背後へと送り、それによって渡邉のカウンターが発動。だが、藤本の仕掛けは北爪に読まれて進路を阻まれ、こぼれ球を拾った安藤が利き足が合わずに一瞬もたついたところで、ホナウドにボールを奪われた。逆にカウンターを受ける形となり、ラインを下げながら防ぎどころを探る大分。だが、乾の駆け引きが上回り、バイタルエリアから目の覚めるようなゴラッソを決められた。
苦しい台所事情をどう乗り越えるか
再びビハインドとなった大分も攻め続けるのだが、66分には白崎凌兵にシュートを許し、西川が掻き出してしのぐ。下平監督は71分、伊佐をサムエルに、中川を鮎川峻に2枚替えして追撃の勢い増強を図った。秋葉忠弘監督も77分、ホナウドを宮本航汰、中山を吉田豊に交代。吉田が左SBに入り、岸本が一列上がる配置となる。
大分も攻め続ける姿勢は見せるのだが、清水の守備を破るには至らない。清水は87分、カルリーニョス・ジュニオと北川を井林章とオ・セフンに代え、枚数を合わせ守備を固めた。88分には大分が藤本を野嶽惇也にチェンジ。
アディショナルタイムは5分。90分には野村が鮎川を走らせるなど諦めずに攻める大分だが、精度や強度を少しずつ欠いて決定機にまでは至らない。90+2分、オ・セフンのポストに抜け出した白崎が対応に入った羽田を押して倒すが笛は鳴らず、羽田は抜け出そうとする白崎をプロフェッショナルファウルで倒さねばならない状況に。このプレーが得点機会阻止として一発退場対象となり、羽田は次節出場停止となった。スコアは動かず1-2で、大分にとってはホーム2連敗。上位対決3連戦で勝点1しか積めず、順位は5位まで沈んだ。
負傷者が多発して本来の編成のチーム力を大きく削られている現状、戦術的工夫を凝らしながら鮎川の補強や松尾の成長でなんとか食い下がってはいるが、この3連戦の対戦相手と比べると、細部の詰めの甘さや個々のクオリティー不足はどうしても否めない。チームマネジメントとともに、戦力のスキルも高めていかなくては、厳しい状況が続く。