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試合レポート

見せつけられた首位の力。相手対策を施して臨むも0-3の完敗

 

準備した対町田戦術は、ある程度は奏功していた。だが、全体にインテンシティーで下回り、相手のストロングを引き出す展開へと陥ってしまった。0-3という厳しい結果を前に、チームはここからどう戦うのか。

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2トップを警戒しつつボールを動かして攻略

前回対戦のリベンジを期して臨んだ首位との決戦。対策も施し、それはそれなりに機能もしていたのだが、にもかかわらず0-3という結果。相手を上回るに足りないものは何なのか、どこに焦点を当ててやっていくのか。「毎回、学ばされる」と、試合後に中川寛斗は静かに話した。
 
FW陣の負傷を受け、第20節の群馬戦から3試合連続で0トップシステムを採用してきたが、今節は復帰した伊佐耕平が第19節・甲府戦以来のスタメン復帰。中川と野村直輝がそれぞれ一列ずつ下がり、左SHでは渡邉新太が今季初先発を果たした。
 
朝まで降り続いた雨が上がり、レゾナックドーム大分は息苦しいまでの蒸し暑さ。ともに前節から中3日で迎えた3連戦の2戦目、両軍の選手にとって厳しい環境となった。
 
まずは町田の2トップ、エリキとミッチェル・デュークにボールを入れさせないことを目指し、前線から果敢に制限。前線へと配球されればデルランと安藤智哉が競り合い、自由を与えないように体を張った。そうやってカウンターリスクを警戒しながら、攻撃はボールを動かしてのサイド攻撃。今節はSBのポジショニングを含め、前節の磐田戦から改善された点も見られた。

 

立ち上がりから町田優勢、38分に1失点目

だが、ボールを持てばエリキとデュークが躍動する町田の攻撃はやはり強度が高い。5分にはいきなり、エリキとデュークのエリア内でのパス交換から平河悠に左足シュートを見舞われた。わずかに枠を右に逸れたが、ヒヤリとした最初のピンチだった。
 
19分には中盤で松井蓮之にボールを奪われ、再び平河がシュートチャンス。今度はデルランが対応して打たせはしなかった。だが、38分には先制を許す。自陣左サイドで与えたFKを下田北斗が蹴り、エリキが頭で落としたボールがデルランに当たると、そのこぼれ球が足元に転がってきたところでチャン・ミンギュがすかさず右足を振り抜いた。
 
大分も17分には渡邉が高畑奎汰との連係でエリア内に進入したり、その流れから逆サイドに運んで池田廉の浮き球に中川が抜け出したりと、攻撃の意図が見えるところまでは行くのだが、ゴール前を固める町田の守備はタックルやブロックでそこから先へと進ませてくれない。結局、前半はシュート0本で終わることになった。

 

2つの決定機を逃し点差を広げられる

ビハインドになったこともあり、下平隆宏監督は伊佐をサムエルに、渡邉を藤本一輝に代えて後半をスタート。すると48分、辛抱強いポゼッションから早速、ビッグチャンスが生まれる。安藤のパスを受けた松尾勇佑がグラウンダーでアーリー気味のクロスを送り、サムエルが左足を伸ばした。だが、シュートはチャン・ミンギュに当たって枠の外へ。
 
54分には分厚い攻撃を繰り出した。安藤が前線にボールを送った先には、ハーフスペースで抜け出す上夷克典。エリア内でサムエルに当ててもう一度受けるところが少しズレたが、ポープ・ウィリアムも後手に回っていたところでシュートを放った。翁長聖にブロックされたこぼれ球を今度は藤本が狙い、それも藤原優大に阻まれると、野村が落として再び上夷がシュート。迫力満点の波状攻撃だったが、最後はポープに掻き出された。
 
この後半立ち上がりの決定機のうちいずれかが決まっていれば、展開は違ったものになっていたはずだ。だが、残念ながらそういうストーリーにはならなかった。逆に63分、後ろでボールを動かしていたところでエリキにボールを奪われ、エリキは素晴らしいスピードでのカウンターを発動。自ら持ち込んで西川幸之介を鮮やかにかわしシュート。安藤の決死のスライディングもタイミングを見誤り、町田にリードを広げられる。

 

またも下田のFKから3失点目

57分に安井拓也に代えて荒木駿太を投入した町田は、この日に好調だった大分の右サイドに圧を加えていく。2点差を追う大分は、高畑に代えて負傷から復帰した野嶽惇也を左SHに配置。野嶽もハーフスペースを使いながら反撃のチャンスを狙うが、やはりゴール前で要所を潰す町田の堅守をこじ開けるには至らない。
 
下平監督は79分には池田を弓場将輝に代えて強度を高め、黒田剛監督は85分、エリキとデュークの2トップを中島裕希と藤尾翔太にチェンジした。1分後、下平監督は中川を長沢駿に代え、せめて一矢報いようと前線にパワーをかける。
 
だが、展開はさらに残酷だった。またもペナルティーエリア左で与えたFK。左足で巻いた下田のキックはゴールを直接狙い、西川が正面でキャッチして事なきを得たかに思われた。だが、回転がかかっていたためか西川がファンブル。密集にこぼれたところを翁長に押し込まれ、スコアは0-3となった。
 
89分、平河と下田をカルロス・グティエレスと稲葉修土に代えて時間も使った町田が、首位の力を見せつけるように勝利。8試合ぶりの黒星を喫した大分は、順位は3位のままながら首位との勝点差は11に広がり、下位チームとの勝点差を詰められる結果となった。

 

ロジカルな準備も最終的な効力は発揮できなかった

戦術的な狙いはある程度奏功していたようにも見えたのだが、全体にインテンシティーで負けていた印象。大分のボール回しにかわされることと蒸し暑さを警戒しながら、時間帯や状況によって賢く守備のやり方を変えていた町田の前に、結局はビルドアップもサイド攻撃も、最終的な効力は発揮できなかった。
 
競り合いでは体を張れていたが、もったいないかたちで失点したことについても、単純な失点場面のみならず、その前の守備段階から、相手の止め方やクリアの仕方まで含め課題が残る。
 
これらの内容を受けて、チームがどこをどう修正していくのか。新たに屋敷優成が前十字靭帯損傷で長期離脱となり、野戦病院状態が続く。復帰した戦力がコンディションを上げ、個々のスキルを高めながら、少しでも選手層に厚みを持たせなくてはならない。
 
次節はまた強力な攻撃陣の居並ぶ清水との対戦。ホーム連戦を連敗するわけには、絶対にいかない。