茂のドーム初ゴール、伊佐の今季初ゴール。最後は相手を振り切って勝利
組織的守備の集中を取り戻し、茂と伊佐のゴールで2点を先行。終盤に相手の追撃を受け失点したことは反省材料だが、今節も来場者1万人を超えたスタジアムで、勝利の歓喜を分かち合うことが出来た。
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前節と同じメンバーだった磐田
前節、今季初の複数失点を喫して敗れた大分と、前節、今季初のクリーンシートで快勝した磐田とのマッチアップ。大分は先発2人を入れ替えた。磐田はルヴァンカップを含む9連戦の3戦目で前節から中2日のアウェイながら、まったく同じスタメン。栃木と同じ3-4-2-1の大分に対し、いいイメージを継続しようと考えたのかもしれなかった。
互いにチャンスを作った立ち上がり。4分、弓場将輝の左CKの流れから野村直輝が巧みな個人技で相手を外してマイナスに折り返し、藤本一輝が合わせたが枠の上。12分には遠藤保仁のFKを野村がクリアしたこぼれ球を松本昌也にシュートされデルランがブロック、さらに中川創に狙われたが今度は西川幸之介が防いだ。
最初は拮抗していた試合だったが、磐田は1トップの後藤啓介をペレイラらにケアされ、パスミスを散発する中で、テンポよくボールを動かす大分に次第にペースを握られる。28分には上夷克典からのパスを野嶽惇也が叩き、弓場が展開して中川寛斗が前線に送った浮き球を伊佐がヘディングシュートする形も作った。
茂、U-18時代から憧れたドームでの初ゴール
磐田は負傷した針谷岳晃がプレー続行不可能となり、34分、上原力也との交代を余儀なくされるアクシデント。大分は藤本の仕掛けなどで好機を築く中、38分に先制に成功した。ペレイラがドゥドゥに倒されて得た中川のFKは梶川裕嗣に掻き出されたが、それを拾った野村が大きくゴール前へと浮き球を送る。それを伊佐が頭で折り返すと、胸トラップからジャンピングボレーで沈めたのは茂平。アカデミー時代にも立てなかったドームのピッチに12年越しの念願かなって今季初めて立った生え抜きが、1万1071人を集めたスタジアムを、テクニカルなシュートによる初ゴールで沸かせた。
前半アディショナルタイムにかけて相手のセットプレーも続いたが、自陣深くまで駆け戻った伊佐の献身的な守備にも助けられつつ、試合は1-0で折り返す。
後半立ち上がりは磐田の時間帯に
追う立場になった磐田は後藤を大津祐樹に代えて後半をスタート。プレスの勢いを強めるとともに、全員でボールを受ける意識を高めたことで、後半立ち上がりからしばらくは磐田がボールを握る展開が続いた。松本はその時間帯について「自分も少し落ちてボランチの近くまでサポートに行ったりすることを意識していた。何回かいい形でボールが入って前向きなプレーが出来た」と試合後に証言。一方の大分は「相手の2トップやSHが寄せてきたりしても意外と中盤のボランチ周りにはスペースがあった中で、そういうスペースを見つけられずに安易に長いボールに頼ってしまい、相手にボールを渡して握られてしまった。守備がハマらなかったというよりは、自分たちがボールをしっかり持てなかった」と下平隆宏監督。
松本のパスを受けた大津のシュートからのCKなど、その時間帯にも多くあった磐田のセットプレーのチャンスもしのげたのは大きかった。57分、上夷のクサビを弓場がフリックし、それを受けた中川寛がスピードに乗って持ち上がりつつスルーパス。抜け出した伊佐は梶川との1対1を決め損ない、そのこぼれ球を拾った茂のシュートも梶川に防がれた。それによって得た中川の右CKからのデルランのヘディングシュートも枠の上へ。
野嶽の走りから待望の伊佐の今季初ゴール
だが、そこから間もなくの59分、追加点が生まれた。デルランからボールを受けた藤本は松本にパスコースを遮られてやむなくデルランへと戻したが、その手詰まりを見た野嶽が斜めに長い距離を走って相手最終ラインの間で呼ぶ。デルランの縦パスを落とすと野村がゴール前へと送り、中川寛がスルー。相手に触られたが伊佐が体を張ってマイボールにし、少し持ち出してから右足を振り抜いた。ゴールはあまり見ていなかったという。DFWとしてチームのために献身的に尽くす伊佐の今季初ゴールに、チーム全員が歓喜を爆発させた。
62分、磐田は金子翔太と松本を山田大記と藤川虎太朗に2枚替え。連戦での疲労が見える中、それでもしたたかにセットプレーのチャンスを獲得する磐田に対し、大分も伊佐を長沢に、中川寛を町田に代えて鮮度を保った。だが、磐田も78分、遠藤に代えて小川大貴を送り込むと、その追撃は強度を高める。
終盤は追撃に遭い“辛勝”の印象も残したが
82分、弓場が倒されて得た町田のFKはデルランに合わせたが相手にクリアされ、こぼれ球をペレイラが左足シュートしてブロックに遭う。下平監督は疲労の見える藤本を高畑奎汰に、弓場を羽田健人に代えて試合を閉める態勢を整えた。
だが、自陣右サイドで奪われたボールを逆サイドに送られ、外、中、外と動かされて持ち上がった鈴木雄斗にクロスを許す。羽田がクリアしようとして軌道の変わったボールはペレイラに付かれていた大津に落とされ、走り込んだ上原に押し込まれた。84分の失点だった。
そこからは勢いづいた磐田の時間帯が続く。立て続けのCKにFKを粘り強く跳ね返し、ドゥドゥのアーリークロスを西川がキャッチ。4分のアディショナルタイムにもクロスやセットプレーでチャンスを作られる中、野嶽から梅崎司への選手交代で時間も使って、大分が辛くも逃げ切ったという終幕になった。
2-0からの流れの反転はサッカーではよくあることだが、寄せの甘さや軽いプレーもあってピンチに陥ったことは反省材料。とはいえ前節の黒星から立て直し、連敗せずにホーム全勝を継続できたことは大きかった。