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試合レポート

今季初先発の奎汰が2発。絶妙な時間帯に流れを引き寄せ逃げ切り勝利

 

4試合連続で先発し疲労の見える藤本一輝に代わって左WBで今季初先発した高畑奎汰の2得点に歓喜した今節。その陰に全員のハードワークがあったことは言うまでもない。

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意表を突く4-4-2で試合に入った千葉

ともにアグレッシブなハイプレスからリズムを作り主導権を握っていくチーム同士のマッチアップ。千葉はビルドアップ意識の高い大分に対し、高い位置で奪ってすぐに出ていく狙いをもって、これまでの3-5-2ではなく4-4-2のフォーメーションでギャップを作りに来た。
 
対3-5-2で今節の準備をしていた大分にとっては奇襲だ。キックオフ後5分が過ぎないうちに、ベンチもピッチも相手が4バックシステムであることに気づいて確認しあった。
 
結果的にはミスマッチを上手く突けたのは大分のほうだったかもしれない。守備ではいきなり大きく背後に蹴られる場面もあったが、相手の間でボールを受けて前進し、チャンスを多く築いた。5分、西川幸之介の鋭いフィードを受けた高畑奎汰のクロスは相手GK鈴木椋大にパンチングでクリアされたが、そこからの攻撃には厚みがあった。ただ、野嶽惇也、伊佐耕平、弓場将輝と3発立て続けのシュートはいずれも相手にブロックされてゴールへは届かない。10分にはペレイラ、茂平、野村が右サイドを攻略したが、ペレイラのクロスは合わずにピッチ外へと流れた。

 

奎汰FK弾ふたたび。リードして優位に

だが、野村が倒されて13分に得たゴール正面30mほどからのFK。7分にもペレイラが倒されて同じような位置で得たFKを高畑が蹴り、ブレ球はゴール手前で落ちて枠の右に逸れていた。2本目、高畑は同じ位置から同じ弾道を狙う。今度は処理しようとした鈴木の手前でバウンドし、ポストの内側を叩いてボールはネットを揺らした。
 
この先制点で精神的にも余裕の生まれたチームは、その後も優位に試合を進める。17分にはショルダータックルで相手からボールを奪った野嶽がゴール前にボールを送り、胸トラップした伊佐が反転シュートで狙ったが、バウンドしたボールをコントロールするのは難しく、枠外へ。
 
千葉も攻め込む場面は作り、18分には日高大の横パスから見木友哉がシュートを放ったが、上夷克典がブロックした。千葉はその後のセットプレーのチャンスも生かせず、フィードに抜け出した小森飛絢の26分のシュートも枠を捉えきれない。
 
一方の大分もシュートチャンスやエリア内に進入する場面は作るのだが、決定機までには至らず。37分にはデルランのクロスを野村が相手を背負って落としペレイラがミドルシュートしたが、これも枠の上に逸れた。44分には千葉が右CKのチャンスを得るが、新井一耀のヘディングは枠の左。試合は1-0のまま折り返した。

 

相手に盛り返された時間帯に殊勲の追加点

大分は梅崎司を町田也真人に代え、スライドの意識を共有して後半をスタート。千葉はプレスの掛け方を修正し、アグレッシブさを増して積極的に大分の背後へとボールを送ってくる。53分には松田陸の攻め上がりから見木がエリア内にクサビを入れ、小森が落としたところで呉屋大翔と見木が重なって自滅した形にはなったが、明らかに千葉が攻勢を増した。大分はセカンドボールを拾う回数を減らす中で、激しいプレッシングで相手の攻撃精度を落としながら粘り強く守り続けた。
 
60分には小森の強烈なシュートを西川が掻き出す。ここが勝負どころと見たか、小林慶行監督は呉屋を風間宏矢に、福満隆貴を田中和樹に2枚替え。風間はトップ下の位置に立ち、布陣は4-2-3-1の形になった。風間がふらふらと動くことで大分としてはマークがつきづらく、またビルドアップではボランチにボールが入れづらくなる。
 
そんな難しい時間帯にあった72分。自陣で町田からのパスを受けた野嶽が気合満点のドリブルで相手陣までボールを運び、伊佐に当てて相手を剥がすと右サイドへと抜け出してゴール前へとクロスを送った。弾道は山なりの大きな弧を描く。走り込んでいた高畑は落下点へと軌道修正しながら、クリアしに行った田中の頭上でミート。高い打点からのヘディングシュートはこれも弧を描いて相手守護神を越えゴールへと吸い込まれた。

 

アディショナルタイムに失点も逃げ切りに成功

苦しい展開で相手を突き放す追加点は大きい。78分、下平隆宏監督は高畑を藤本一輝に、伊佐をサムエルに代えてパワーを保った。千葉は藤本のシュートをブロックした熊谷アンドリューが負傷するアクシデント。82分に熊谷をブワニカ啓太に代えて再び小森との2トップとし、おそらくこのタイミングで布陣は3-5-2に変更されたと思われる。
 
ややオープンになった展開の中、互いに激しい守備で相手の攻撃を潰す一進一退の攻防。89分、大分は弓場を羽田健人に代えて守備に高さを加えた。
 
アディショナルタイムは5分。ブワニカにボールが入ろうとする瞬間にペレイラが足を伸ばしてクリアする。集中した守備は続いていたが、90+4分、わずかな隙を与えた。風間のアーリークロスを新井に折り返され、逆サイドに走り込んでいたブワニカに押し込まれる。
 
無失点勝利まであとわずかというところでの痛恨の失点だったが、その後は野村を中川寛斗に代えて時間を使い切り、2-1で逃げ切りに成功。今季4勝目を挙げた。

今節も収穫と課題を次節へとつなげていく

同じ先発メンバーで戦っていた前節までの4試合から、1人を入れ替えての今節。その入れ替えた1人が、2得点を挙げて勝利に貢献した。気づけば高畑は今季3得点でチーム得点ランク首位。リーグでも他6人と並んで最多得点となっている。
 
わかりやすくマン・オブ・ザ・マッチと言えば高畑になるが、他にも捨てがたい候補の多い試合。今季はそういう内容のゲームが続いている。一方で5年越しに古巣戦出場が叶った町田は、その緊張のせいなのかいまだ怪我明けのコンディションが上がりきれていないのか、自らのパフォーマンスの低さを悔しがった。千葉のゴール裏に挨拶に行った際に流した涙はなつかしさから来たものではなく、活躍できなかった悔し涙であったことを試合後に明かし、次節以降の活躍と、千葉へはフクアリでのリベンジを誓った。
 
5節を終えて4勝1分。ラストの失点は残念だったが、守備は概ね安定している。攻撃面の課題には引き続き取り組みつつ、次節はアウェイで大宮に挑む。

茂くんそれはペッパーミルパフォーマンスですね…?