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試合レポート

攻撃のミスが響いて相手の流れに。タレント群の猛攻を水際でしのぎ勝点1は確保

 

攻撃が上手くいかず徐々にペースを明け渡すと、最後は相手の猛攻をひたすらしのぐ展開に。体を張って無失点に抑え、かろうじて勝点1は手にしたが、攻撃での課題も浮き彫りになった。

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最初は修正しつつビルドアップにトライしたが…

ここまでリーグ戦を3引き分けだった清水は、8日のルヴァンカップ川崎F戦を受け、メンバーを入れ替えて今節に臨んだ。多少の入れ替えは予想していた中で、チアゴ・サンタナではなく神谷優太が先発。ディサロ燦シルヴァーノと縦関係を組む形になっていた。
 
守備においては噛み合わせは悪くなかったと下平隆宏監督も試合後に言ったが、攻撃のほうでビルドアップに苦戦した。立ち上がりにボールポゼッションしていた上夷克典は「前半の途中でボランチを落としてみるなど工夫してからは上手くいった部分もあった」、野嶽惇也も「僕と(弓場)将輝で2枚でCBからのパスコースを作ったことでちょっとサイドが空いてきて」と振り返る。
 
慎重に後ろでボールを握ることで結果的に相手の攻撃時間を削ることにつながっていたようにも見えたのだが、実情は相手の立ち位置にパスコースを遮られ攻めあぐねていたようだ。それでもなんとか工夫しながら前に運ぼうとしはじめると、今度はその過程でミスが頻発して相手にボールを奪われる場面が多くなった。
 
特に今季大分が攻撃のストロングポイントとしてきた藤本一輝の仕掛けを対策されたことも痛かった。デルランからのボールも入らず、左サイドは苦しい状況に。右サイドも中央にカットインする西澤健太の空けたスペースに山原怜音が上がってくるのに対応するため、茂平がなかなか高い位置を取れずにいた。
 
中では野村直輝がボールを受けようと工夫し、梅崎司もサイドをサポートすべく動き回っていたが、なかなかボールがつながらない。野嶽は試合後、それについて「11人で同じ絵を描けて初めてボールが動くものなので」と、もっと攻撃の共通理解を深める必要性に言及した。

 

度重なるミスが響き徐々に相手の力に押し下げられる

5分に弓場のパスを受けた梅崎からのボールを野村がシュートするが枠の右。その後は失い方が悪かったりファウルで相手を止めてセットプレーを与えたりしつつ、相手のチャンスが続いた。22分にはフリーで西澤に打たれるところを上夷とペレイラが2枚でスライディングブロック。24分の西澤の左足シュートも上夷が寄せたことで枠上に逸れた。西川幸之介もディフェンスライン裏へのボールに果敢に対応したり、ディサロのミドルシュートをキャッチしたりと対応。伊佐耕平や梅崎の厳しいチェックも相手の攻撃精度を削っていたのだが、最初はセカンドボールを拾えていた弓場も次第にその回数を減らしていった。
 
カウンターでのビッグチャンスは36分。野村のスルーパスに抜け出した弓場は飛び出してきた権田修一をかわしたものの、タッチが大きくなり角度のないところから狙う形になってシュートはサイドネットを揺らすにとどまった。40分には藤本が倒されて得たFKを梅崎が蹴り、権田のクリアボールを伊佐がヘディングシュートしたが枠の上へ。
 
42分には野嶽と岸本武流のマッチアップで先にボールに触れた野嶽にイエローカードが提示されそうになるアクシデントもあったが、副審の証言とキャプテン梅崎の対応でことなきを得る。

 

清水は次々にタレントを送り込んできた

清水は後半、神谷に代えて中山克広を投入。北川航也を前線に上げてディサロとの2トップにし、中山を右SHに配置した。流れは完全に清水へと傾き、中山もサイドから積極的に攻撃に参加。大分は自陣での守備対応でファウルを取られ、FKを与えてはそれを跳ね返してしのいだ。
 
60分、大分は梅崎を町田也真人、藤本を高畑奎汰にチェンジする。タイプの異なる攻撃陣を送り込むことで状況打開を図るが、相手ペースの中で守備に追われることが多く、押し返すまでの力を出せない。62分に清水がディサロを下げてチアゴ・サンタナを入れると、清水の前線のパワーはさらに高まった。
 
相手の攻撃をしのぐ中で獲得した66分の左CKは高畑が蹴ってペレイラが頭で合わせるが枠外。69分には町田がボールを奪ってカウンターで抜け出し、左を並走した伊佐から中央を駆け上がる茂へとボールを託したが、茂のスルーパスは相手に阻まれ、ゴール前に走り込んだ町田には通らなかった。
 
74分には清水が北川を乾貴士、西澤を北爪健吾に2枚替え。乾がトップ下に入り、北爪が右SB。中山が左SHに回り岸本が一列上がって右SHに就いた。同時に大分も伊佐をサムエルに代える。

 

防戦一方の終盤も粘り切って無失点

だが、サムエルがボールを収めきれず、情勢はさらに清水へ。岸本のグラウンダークロスもチアゴの反転シュートも西川が掻き出した。北爪のクロスからの岸本のヘディングシュートは枠の右へ。
 
どうにも流れを引き戻せない展開に選手たちが守備意識を高める中、下平隆宏監督は野村と弓場を羽田健人と中川寛斗に交代。無失点にしのいでアウェイで勝点1を掴む方向性を強めた。
 
84分、岸本の左足シュートは西川がファインセーブ。その後も岸本のシュートをデルランがブロックし、ホナウドの攻撃には野嶽が体を投げ出した。5分のアディショナルタイムにも攻められる中で、90+4分、町田からのパスを受けた中川がマイナス方向へとボールを送る場面を作ったが、パスは誰にも通らなかった。
 
結局、スコアレスのままタイムアップ。猛攻を受けながら幸いだったのは、相手も焦りを見せて精度を欠いたり単調になったりしたことだった。西川によるとチームで共有している守備のセオリーどおりに全員で守れたことで、失点せずに終わることが出来たという。
 
どちらかというと清水のほうが負けに等しい勝点1。大分にとっては粘り抜いて勝点1を拾った一戦だ。守備に関しては手応えも得たが、攻撃に関しては、特にアタッカー陣にとっては不本意な内容だったはず。試合後のロッカールームでは「もっと自信を持って自分たちの戦いにトライしなくては」と野村が話したという。今節の勝点1を次につなげるためにも、次節ホーム千葉戦で、また立ち上がる力が試される。