リーグ戦2連敗フィニッシュで5位確定。プレーオフ1回戦は敵地戦に
前節に続きミスからの失点を取り返せず、リーグ戦は連敗フィニッシュ。1点が遠く、4位・熊本を越えるための勝点1を積むことが出来なかった。チームは来週、自ら負ったディスアドバンテージを覆すパワーを出さなくてはならない。
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冷たい嵐の中、絶不調にしか見えない試合
キックオフ2時間ほど前にも一度スコールが降ったが、その後はすっきりと晴れ、蒸し暑くならなければいいなという風情のスタジアムだった。だが、まさに選手入場の頃から再びの降雨。またすぐに止むかと思っていたが、そのまま断続的に降り続き、強風もともなって横殴りに。スタンドからコンコースへと避難する観客も続出した。
結局、試合終了まで降ったり止んだり、風も強まったり弱まったりで、選手もサポーターもずぶ濡れになりながら試合は進んだ。その雨が影響したのかどうかはわからないが、この日の大分の試合内容は非常に悪かった。
先発はホーム最終戦にして0-3で敗れた前節から先発4人を入れ替え、8月23日の第28節・水戸戦で先発して以来の上夷克典が右CB、7月10日の第26節・岡山戦に途中出場して以来の松本怜が左WBに並んだ。ベンチにはともに負傷から復帰した渡邉新太と藤本一輝。来週からスタートするJ1参入プレーオフに向け、少しでも選手層を厚く出来るならば心強い。
ミスからの失点。マークにもつききれず
コイントスで勝った琉球の池田廉は、強風を鑑みてかエンドを変更して風下を選んだ。7分、松本の折り返しがクリアされたこぼれ球に下田北斗が走り込んでシュートするが、李栄直に跳ね返される。
11分、李栄直のフィードはケルヴィンの前に入ったペレイラが難なくマイボールにしたかに思われたのだが、ケルヴィンに押されたのかペレイラがバランスを崩して転倒し、ボールを奪ったケルヴィンがクロス。トランジションが遅れる中、逆サイドからゴール前に入っていく清武功暉には誰もマークについておらず、難なくヘディングシュートを決められてしまった。
前節に続く、イージーなミスからの失点。こういう失点がゲームプランを狂わせることも多い。なんとか早いうちにスコアを振り出しに戻したかった。13分、弓場将輝が井上健太からのパスをダイレクトで前に送り、抜け出したサムエルが右足でシュートしたがカルバハルが正面で掻き出す。15分には上夷の長いボールを収めた井上のマイナスのクロスが上原牧人に対応された。16分には上夷の縦パスのこぼれ球を拾った野村直輝が右足を振り抜いたが、カルバハルがビッグセーブ。19分には松本のクロスがファーに流れたところを野村が追ったが、フィニッシュの形には持ち込めない。
攻めてはいるのだが全体に精度不足だった前半
36分には井上が清武に倒されて得た野村のFKから被カウンター。武沢一翔が持ち上がって右サイドを上がってきた野田隆之介に託し、野田の逆サイドへのパスをケルヴィンが落として清武がシュートしたが枠の左へ逸れた。39分には弓場の果敢な守備からサムエルがボールを奪って右足でシュートを放つが、これは大きく枠の左へ。
琉球は41分、負傷した武沢に代えて人見拓哉を投入する。44分、井上のドリブルを阻んだ清武が攻め返し、それを井上に止められてのFK。その流れからの野田のボレーシュートは枠の上に逸れた。前半アディショナルタイムには三竿雄斗のクロスにサムエルが頭で合わせたが、枠を捉えきれず。下田の右CKが跳ね返されたところを再び下田が拾い、野村がクロスを送るとペレイラが頭で合わせ、やはり相手に当たって枠の外へ。
なんとか攻めてはいるのだが、大分は全体的にプレー精度が低くパスがつながらない。準備してきた立ち位置がハマらなかったのか、ボールが入ったところで相手に寄せられると、シンプルにそこで潰された。後ろで組み立てても前線にボールが収まらないので重心が低くなってしまう。スピードでも強度でも相手を上回れず、全体に弱く勢いを出せない前半が終わった。
修正した後半はやや盛り返すも…
後半は立ち位置を変えた大分がやや盛り返すかに思われたが、48分、弓場のクロスに合わせたサムエルのヘディングシュートは枠の外。53分の井上のクロスは上原牧に跳ね返される。55分、三竿がケルヴィンに倒されて得た下田のFKは壁の下から直接狙って枠の左へ。
59分、下平隆宏監督は松本怜と梅崎司を藤本一輝と金崎夢生に交代。金崎が2トップ気味に張り、ゴールに向かう矢印の強度を高めると、61分、金崎の突破を起点に最後は三竿が縦パスを送るが相手に寄せられたサムエルの足下には収まらず。
琉球は66分、負傷した李栄直を岡﨑亮平、野田をサダム・スレイに2枚替え。68分、弓場のグラウンダークロスに金崎は合わず、走った井上がゴールライン際でそれを拾って折り返すとサムエルがダイレクトで合わせたが、枠を大きく右へと逸れた。大分は70分、野村とサムエルをベンチに下げ、渡邉と呉屋大翔を投入する。76分には琉球がケルヴィンと清武を富所悠と田中恵太に交代した。
最後の猛追も実ることなく勝点1が積めず
琉球のセットプレーを吉田舜の好セーブでしのぎつつ、80分に下平監督は弓場をエドゥアルド・ネットにチェンジ。83分、三竿が藤本とのコンビネーションでペナルティーエリア内に進入してグラウンダーのパスを入れるが、カルバハルのカバーに入った中川創にクリアされる。86分にはカウンターから金崎がゴールへと迫るが、これも中川に対応された。
負傷や判定絡みのいろいろが重なり、アディショナルタイムは7分。熊本が横浜FCとの激戦の末に敗れた一報を聞いて、下平監督はせめて勝点1でもと、ペレイラを前線に上げてパワープレーに打って出る。90+5分、下田の左CKにニアで渡邉が頭で合わせゴールネットを揺らすが、渡邉にファウルがあったとの判定でゴールは認められない。90+6分、人見がカウンターを発動させ、吉田の背後を突いてロングシュートを狙うが枠の外。90+8分、下田の右CKから三竿と金崎がそれぞれシュートを放ったが、いずれも琉球の壁を打ち破ることは出来ずタイムアップ。連係やサポートも少なく、これまで積み上げてきたものをほとんど表現できないままだった。
4位浮上のためには1点をものにして勝点1を積めばよかっただけなのに、それが遠かった試合。今節も3位・岡山、4位・熊本、5位・大分が揃って黒星で、激しい順位争いを制して6位に滑り込んだ山形以外、プレーオフ参戦チームは連敗で決戦を迎えることになり、それ自体がプレーオフの難しさを表すようでもあった。その中で大分は1回戦をえがお健康スタジアムで、下位チームとして戦う。
2戦連続、ミスからの失点を取り返せずに自滅負け。負傷から復帰したメンバーが精彩を欠いていたこと、またFW陣の不調が非常に気掛かりな内容だった。チーム内で緩んだ選手がいれば全体の士気にも関わる。「このチームに思いがある選手、勝たせたいと本気で思える選手がピッチに立つべき」と言った指揮官の言葉を、いま一度それぞれの胸に刻みたい。