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試合レポート

互いのスタイルをぶつけ合った激闘。選手交代で流れを引き寄せ劇的サムエル弾で+1

 

ともにコロナ禍の影響を受けながらの戦いは、互いのスタイルをぶつけ合う激闘に。PKで先制されたが、選手交代で流れを引き寄せた大分が、最後にサムエルの今季3得点目で起死回生の勝点1を掴み取った。

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町田側の戦力の都合でミラーゲームに

試合当日にもスタッフ1名のコロナウイルス感染が確認された大分と同様に、町田のほうも感染者が出たことで戦力のやりくりに影響が出たようだった。ここ最近はずっと4バックシステムで戦っていたが、試合前に発表されたメンバーを見るかぎり3バックシステムが予想される。チームは試合前のミーティングでその心構えも落とし込んでいた。
 
ピッチ内アップ時に確認すると、4バックのようにも見える。そしてキックオフ時には4枚が後ろに並んでいた。だが、実際に試合がはじまってみると、やはり3-4-2-1。今節は大分もダブルボランチで臨んでおり、前回対戦と同じくミラーゲームになった。町田は時計回りにスライドするかたちで左WBの翁長聖が高い位置を取るなど、ギャップを作っていた。大分は町田也真人と渡邉新太の2シャドーのポジショニングでサイドとの関係性を築きつつ立ち回った。
 
立ち上がりは町田の右WBの奥山政幸に藤本一輝の背後へと抜け出され、また特徴的で強度の高い前線3枚に対しても、ファウルで止めることが多くなり、セットプレーのピンチが続いた。10分までにFK2本、CK4本。町田のセットプレーはほとんどがデザインされたもので、いずれも失点にはつながらなかったものの、しょっぱなから苦しい時間帯だった。

 

前半から攻め合い守り合う激しい展開に

13分には大分の反撃。町田也真人のスルーパスに抜け出した三竿雄斗のクロスに対し、エリア内に進入していた藤本のトラップはミスになったが、そのこぼれ球を拾った呉屋大翔がすかさず自分の体勢に持ち直して左足シュート。残念ながら福井光輝に正面でキャッチされたが、左サイドの連係した崩しは小気味よかった。
 
29分には球際で上回られて奥山に強烈なシュートを打たれたが、高木駿が左足でブロックして難を逃れる。36分には平戸太貴のスルーパスに抜け出したドゥドゥに高木とペレイラが対応した。
 
44分にはペレイラを薙ぎ倒してヴィニシウス・アラウージョがボールを収め、そのパスを受けたドゥドゥがシュートしたが、弾道に三竿と上夷克典が体を投げ出して防ぐ。45分には髙江麗央の浮き球に奥山が抜け出したが藤本が体を入れていい体勢では打たせなかった。
 
前半アディショナルタイムには下田北斗のフィードを藤本が収め、町田也がつないで呉屋が落とし渡邉がシュート。残念ながら枠は捉えきれなかった。

 

PKで先制されたが左サイドから崩し追撃

ダイナミックに強度を生かす町田とボールを動かしながら攻める大分、決定機の濃度で言えば町田のほうが若干高かったかという前半。仕切り直して先制点を取りに行きたかったが、後半開始早々、PKで先制されることになった。ドリブルでエリア内に進入した平戸が上手くペレイラのファウルを誘ったかたちだ。47分、平戸が自ら蹴った弾道を高木は読んでいたのだが、掻き出すには至らなかった。
 
失点後しばらく、町田が勢いづいた時間帯が続く。ボールを握られ、動かされた末に53分にはドゥドゥにシュートを打たれたが上夷がブロック。拾った渡邉から呉屋へのパスが通ればカウンターチャンスだったが、菅沼駿哉にカットされた。
 
だが、大分も左サイドの連係から攻め返す。56分には下田の展開から藤本と三竿が絶妙のコンビネーションを見せ、最後は藤本がエリア内まで進入してシュート。だが深津康太にブロックされた。58分には三竿のクロスがクリアされたこぼれ球を渡邉がボレーで狙ったが、これも深津に弾き返される。59分には増山朝陽が個の強さを見せて突破しマイナスのパスを入れるが、味方には通らず。

 

60分の3枚替えで徐々に流れを引き寄せる

それぞれにスタイルを表現しながら一進一退の激しい攻防が続いていた60分、下平隆宏監督が動いた。増山を井上健太、呉屋をサムエル、藤本を高畑奎汰へと3枚替え。61分には早速サムエルが迫力ある決定機で魅せる。三竿のクロスにスライディングで飛び込んだが、ギリギリ手前で菅沼に掻き出された。
 
62分には高畑のクロスがファーに飛んだところへ渡邉が合わせにいったが枠には打てず。そこからのCKが福井にキャッチされたあと、町田の選手たちが集まって話し合い、立ち位置を変更。中盤を3枚にし、前線にドゥドゥとアラウージョが並ぶ形になった。この形は10分近く続いたようだが、じきに再び元の形へと戻される。
 
68分、下田の浮き球をエリア内にいた三竿がヒールで落としサムエルに渡そうとするが菅沼に対応される。72分には下田のパスをカットされたところからカウンターを受けた。高江がスペースに送ったボールを翁長が収めて攻め上がり、切り返しで渡邉を剥がして強いシュートを放ったが高木が正面でキャッチした。

 

劇的同点弾はネット→サムエルの左足炸裂

左右からクロスを入れる場面が増えた大分だが、得点には至らない。78分、町田が最初の交代で深津を岡野洵にチェンジ。79分には大分が、下田をエドゥアルド・ネット、渡邉を梅崎司に代えてカードを使い切った。80分には町田が、高江をベンチに下げて中島裕希。中島が右シャドーに入り平戸がボランチに落ちる。
 
82分にはビッグチャンス。エドゥアルド・ネットのパスを梅崎が上手く収めて展開し井上がクロスを入れると、これには岡野が対応。倒れ込んだサムエルが必死で密集の外に出したこぼれ球を拾って高畑がシュートしたが、わずかに枠外に逸れた。
 
大分が流れを引き寄せ、前半とは逆に町田のファウルが続く終盤。町田は前がかりになって猛追する大分の背後を狙うが、決死でセンターサークルまで飛び出してきた高木が跳ね返した。だが、ゴールが遠いまま90分が尽きる。アディショナルタイムは5分。
 
そして90+1分。井上のクロスが跳ね返されたこぼれ球をエドゥアルド・ネットが拾ったとき、チャンスが来たと思った。その速く力強いクサビを相手の最終ラインの間で右足トラップしたサムエル。その勢いで反転して左足を振り抜くと、強烈な弾道はネットに突き刺さり劇的同点弾となる。
 
90+5分にはアラウージョを鄭大世に代えて再び勝点3を狙いに行った町田だったが、互いにセットプレーのチャンスを実らせることは出来ず。それぞれのスタイルを出しあった激闘は、1-1で終了した。

オカジュン成長してましたね
復帰したポープは試合当日にチームに合流。対戦はギリ間に合わず