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試合レポート

パワフルな選手交代で相手に持っていかれた流れ。2度のリードを守り切れずドロー

 

中盤3枚でセカンドボールを拾いまくり相手の攻撃を阻む狙いは奏功したが、選手交代のたびにパワーを増す相手に流れを持っていかれた。2度のリードを守り切れず、途中出場メンバーたちは自らの不甲斐なさを噛み締めていた。

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ともに課題の残る痛み分け

戦いを終えた両監督がそれぞれの立場で、悔しさを隠し切れない表情だった試合。追撃のギアを上げて80分に追いつきながら逆転勝利には至らなかった岡山の木山隆之監督と、主導権を握っての2度のリードを追いつかれて勝点2を逃した感の残る大分の下平隆宏監督。その悔しさは結果に対してのみではなく、木山監督は大分に多く狙いどおりボールを動かされたこと、下平監督は岡山のほうが交代選手がより機能したことを、試合後会見で無念そうに語った。
 
ともに前節から中3日というタフな3連戦の3戦目。大分は山口戦から4人を入れ替えて3-5-2の布陣で、岡山は大宮戦から3人を入れ替えていつもの4-2-3-1の布陣でスタートした。
 
ミッチェル・デュークをターゲットにボールを入れてくる岡山に対し、大分の3-5-2の中盤3枚は運動量を生かしてセカンドボールを拾いまくり、相手の狙いを阻みつつ自分たちの攻撃へと切り替える。中川寛斗が猟犬のようにボールを刈りに出たときには、弓場将輝がバランスを取ってアンカーの保田堅心とダブルボランチ状態になっていたようだった。ボールを奪うと相手のシステムとのミスマッチを作り出すポジショニングで運び、サイドを起点に攻めた。

 

中川で先制も2分後に追いつかれ長沢弾で再びリード

互いに自分たちの狙いを表現しながら好機を窺いあった中で、先制は大分。19分、相手のクリアボールを中川がヘディングでカットし、長沢駿がそれを落とすと拾った弓場は中川へと横パス。ペナルティーアークの外側から放った中川のコントロールショットは相手の間隙を突いてゴールネットを揺らした。
 
だが、その2分後には岡山にスコアを振り出しに戻される。田中雄大とのコンビネーションで右サイドを攻略した成瀬竣平のスルーパスにステファン・ムークが斜めに走り込み、その折り返しを佐野航大が仕留めた。
 
大分にミスマッチを突かれる岡山は、プレスの矛を収め構えるかたちへと切り替えたようだったが、35分には大分が2点目。保田の展開を受けた井上健太のクロスはファーに流れたが、それを拾った藤本一輝のクロスを長沢が鋭いヘディングシュートでゴールへと沈めた。
 
岡山は前半アディショナルタイムに田中のフィードをミッチェル・デュークが競り成瀬が右足を振ったが枠の上。試合は2-1で折り返す。

 

チアゴ・アウベス登場で流れが傾きはじめる

ともに交代なくスタートした後半も激しい攻防は続く。47分、井上が持ち上がったボールを左サイドで収めてドリブルで攻め込んだ呉屋大翔のパスに長沢が左足で合わせたが、ディフレクションの末に堀田大暉がファインセーブ。
 
1点を追う岡山は59分、成瀬を河野諒祐に、ステファン・ムークをチアゴ・アウベスに代えて前線を2トップにした。65分にはヨルディ・バイスのフィードをミッチェル・デュークが落としチアゴ・アウベスがシュートするが坂圭祐が中心となって対応。67分には徳元悠平のロングスローを高木駿が掻き出し、そのこぼれ球をチアゴ・アウベスがシュートするが枠の右に逸れた。
 
チアゴ・アウベス投入で一気に危険度を増した岡山に対し、大分は69分、中川を野村直輝に、弓場を下田北斗に代えて対抗。ここからは両ベンチの采配合戦となり、74分には大分が長沢を町田也真人に代えると岡山も同時に本山遥と河井陽介のダブルボランチをベンチに下げて白井陽斗と齊藤和樹を投入し、齊藤のトップ下に佐野のアンカー、左に白井陽斗、右に田中という配置にしたようだった。76分には早速、白井が絶好機を迎えたが、視界に入ってきた高木に焦ったか、シュートは枠の左へ。79分には大分が足をつらせた呉屋をサムエルに、藤本を松本怜にチェンジする。

 

互いのチームカラーを出した交代策だったが…

追撃のために点の取れる選手を次々に投入し前線にパワーをかける岡山と、経験豊富でポゼッションの得意なメンバーを送り込んで主導権を奪還しようとする大分。互いの交代策の狙いはそれぞれのチームカラーを反映して興味深かったが、この試合でそれが上回ったのは岡山のほうだった。
 
ゴールへと向かう勢いを増した岡山はセットプレーのチャンスも増やし、流れを一気に引き寄せていく。大分はその背後でボールをつなごうとするのだが、前節の疲労を引きずっているのか体が重そうでミスも多く、部分的には巧さを見せるものの、それぞれが試合に入れていない印象に終止。
 
80分、河野のクロスに攻め残っていた柳育崇が頭で合わせ、岡山が同点弾をものにした。逆転を目指し勢いづく岡山と、苦しみながら好機を築きに行く大分。87分には左サイドの崩しから下田のマイナスのクロスに三竿雄斗が左足で合わせたが、ヨルディ・バイスにクリアされた。
 
アディショナルタイムは5分。90+1分、岡山は田中を喜山康平に代えて前線への配球態勢を整える。90+2分にはチアゴ・アウベスのシュートが枠の右。大分も負けじと90+4分に松本がロングスローをゴール前に送るがシュートは打てず、激闘の試合は2-2で終了を迎えた。
 
特に途中交代で出場したメンバーは責務を果たせなかったことを重く受け止めた様子だった。勝点2を取りこぼした感もあるが、5戦無敗でもある。町田とサムエルの復帰も好材料としながら、厳しい夏場にも地道に勝点を積み、なんとか上位に食い下がっていきたい。