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試合レポート

ただでは転んでいなかったチーム。新オプションが機能して敵地戦3-0快勝

 

過密日程の中、揃わない戦力をやりくりして参戦したルヴァンカップでの収穫が、リーグ戦に反映された。新たなオプションが機能して、フクアリで3-0の快勝。この明るい兆しを今後につなげたい。

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新機軸をもたらす“ルヴァン組”の参戦

ここまではリーグ戦とルヴァンカップでメンバーを分けてターンオーバーしながら過密日程を乗り越えてきたチーム。9連戦の後半にリーグ4連戦を迎えた中、今節はメンバーをシャッフルした。1週間前のルヴァンカップ第5節・鹿島戦で好感触のコンビネーションを発揮したエドゥアルド・ネットと弓場将輝をダブルボランチに配置。それにともなって下田北斗が左SHへ。左SBには鹿島戦でも存在感を示した高畑奎汰と、左サイドにはずらりと左利きが並んだ。
 
一方の右SHには戦術理解力が高くポジショニング能力に長けた中川寛斗。2トップの呉屋大翔と伊佐耕平も絡みながら、流動的な立ち回りを演じて千葉につかまえさせなかった。
 
立ち上がりこそ千葉が勢いよく攻め込んできたが、全員でそれをしのぐとあとは大分ペース。11分にはボールを動かしながら徐々に前線へと攻め入っていた弓場が、伊東幸敏のクロスに頭で合わせファーストシュートを放った。 新井章太に掻き出されたが、多勢が局面に絡みながら作った最初のフィニッシュだった。

 

奎汰、左足一閃の先制弾

15分には早速の先制点。これも高木駿を起点に後方のボール回しで相手を引きつけながらリズミカルに前進し、中川のクロスは相手にクリアされたが、そのこぼれ球に走り込んだ高畑が迷いなく左足を振り抜く。「自分でもびっくりするくらいきれいに当たった」という抑えの効いた弾道は、新井章の指先をかすめてゴール右隅へと転がり込んだ。
 
34分には最終ラインまで下りてビルドアップに参加していた下田からのロングフィードに高畑が抜け出し、そのクロスに伊佐が走り込んでヘディングシュート。迫力満点だったが惜しくも枠の左に外れた。
 
千葉は流動的な大分をつかまえきれず。逆に大分は組織的な守備で相手を阻み、特にダブルボランチのところで早めに危険の芽を摘むことが出来ていた。
 
41分にも高畑のシュート。足を滑らせて少し打ち損ねたところを伊佐がスルーしたが、新井章にキャッチされる。それでも上々の前半。1点リードして折り返す。

 

岩手戦に続く北斗ビューティフルFK弾

千葉は高木俊幸をサウダーニャに代えて後半をスタート。サイドチェンジを織り交ぜながら攻めるが、カウンターも大分に組織的に防がれる。63分、大分は呉屋と中川をベンチに下げ、宇津元伸弥と野村直輝を送り込んだ。
 
67分にはこの試合いちばんのピンチ。末吉塁からのパスを受けた見木友哉に隙を突かれてシュートされ、クロスバーに守られるラッキーな場面も。
 
71分、千葉が2枚替え。福満隆貴と小林祐介を米倉恒貴と田口泰士に交代する。
 
75分には野村が末吉に倒されFKを獲得。下田が直接狙うが枠の上。そして81分、今度は宇津元が熊谷アンドリューに倒されてFKを獲得。75分よりはゴールに近い位置。「1本目は遠かったので強めに蹴ってふかしたが、2本目は少し近かったのでもう少しリラックスして蹴ろうと考えた」というキッカー下田。自慢の左足から放たれた美しい弧は、ポストの内側を叩いてゴールへと吸い込まれた。

 

インターセプトからのダメ押しで藤本復調をアピール

下田のFK直接ゴールは第10節・岩手戦に続いて2点目。終盤の追加点で、ほぼ趨勢は決した。
 
千葉は83分、チアゴ・デ・レオンソを佐久間太一に代え、サウダーニャとの2トップにして追撃を続けるが、大分も前線で時間を作りつつそれを許さない。あとは逃げきるだけという雰囲気になっていた。だが、ここからもうひとつ、ダメ押しのドラマが生まれる。
 
86分、足をつらせた伊佐に代わって2トップの一角に入った藤本一輝。自らのタスクを逃げきりのために時間を作ることと認識してピッチに入ったが、その献身的な姿勢へのご褒美のように、チャンスは訪れた。終盤になってもハイプレスを緩めない大分の前に、ミスを散発していた千葉。88分、そのバックパスを藤本がインターセプトして勢いよくゴール前へと持ち上がった。局面は2対1。追いついてきた宇津元を一瞥したのは相手を撹乱するために過ぎず、自ら左足でゴールネットを揺らした。試合を決定づける3点目。
 
アディショナルタイムは3分。最後は下田と高畑を梅崎司と上夷克典に代えて時間を使う余裕も見せつつ、3得点無失点の快勝で、チームは3試合ぶりの白星を手にした。

 

戦力のシャッフルがさらなる一体感へ

何よりも新オプション増が大きな好材料。ルヴァンカップでさまざまな試行を重ねていた選手たちが結果を出したことも今後につながるはずだ。
 
藤本もこれでトンネルを抜けるきっかけを掴んだと思いたい。4-3-3の左WGとしてプロ2年目を好スタートしたと思いきや、4-4-2へのフォーメーション変更で組織的守備戦術へのフィットに悩み、出場機会を失って紅白戦にさえ絡めない日々が続いていた。そんなどん底をマンツーマン指導でともに乗り越えてくれた岡山一成コーチが、藤本のゴールに喜びを爆発させていたのも印象的だった。
 
試合後のミックスゾーンでは、弓場がアカデミーの大先輩からの精神的支援について打ち明けてくれた。リーグ戦初先発前夜、緊張で固まっていた弓場に、梅崎からLINEでメッセージが届いたという。「お前はいい選手だから自信を持ってやれ。こういう経験は一生に一度しか出来ないから、思い切ってチャレンジして、失敗したら取り返せばいい」。
 
報道陣に囲まれる弓場や高畑の後ろを、三竿雄斗や高木が笑顔を見せながら、ときどき後輩の頭をクシャッとしたりもしながら通り過ぎていった。過密日程の中、戦力をかき集めるようにして参戦したルヴァンカップで、それを逆手に取るように試したものが、積み上がって新たなオプションとして機能。また相手に対策されても次なる一手を繰り出せるよう、引き続き引き出しを増やしながら勝点を積んでいきたい。

試合前には両チームでプレーした“アニキ”竹内彬氏の挨拶映像も

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