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試合レポート

ルヴァン杯はグループステージ敗退も、リーグ戦へとつながる収穫あり

 

戦力の底上げを図りつつ強豪・鹿島に粘り強く対応したが、難しいジャッジの影響もあり0-3で力負け。ルヴァンカップはグループステージ敗退となった。それでも、負傷していたメンバーの復帰や若手の存在感など、リーグ戦につながる収穫も見出せた一戦だった。

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奎汰と司が戦線復帰、サムエルは初先発

アウェイで強豪を相手に、勝たなければグループステージ敗退が決まる一戦。チームにとってはそれと同時に、リーグ戦につながる収穫にも期待して挑んだ鹿島戦だった。
 
立て続けの2度の負傷から回復した高畑奎汰が左SBで先発。前節のG大阪戦で復帰した上夷克典も2節連続でスタメンに名を連ねた。ベンチには1週間前に復帰した梅崎司。サムエルも初先発を遂げた。
 
連戦でトレーニングマッチや紅白戦がなかなか組めない現在、リーグ戦とメンバーを入れ替えて戦うルヴァンカップは貴重な底上げの機会でもある。復帰組がコンディションを上げ試合勘を取り戻すとともに、サムエルを実戦の中でフィットさせていく狙いもあった。
 
想定していたとおり、地力の差で鹿島に攻められる展開。コンパクトな陣形を保ちつつ粘り強く対応したが、鹿島は大きなサイドチェンジも交えながら、大分の高い最終ラインの背後へと積極的に長いボールを入れてくる。鈴木優磨がそれを収めるが、大分守備陣も粘り強く対応し、スムーズな連係には持ち込ませない。守備を得意としないエドゥアルド・ネットのぶんも補う運動量で弓場将輝が奮闘し、鹿島の好機を阻み続けた。

 

実戦を通じてサムエルを馴染ませていく

守備の時間を多く過ごしながら大分も鹿島の背後へとボールを送るのだが、宇津元伸弥と2トップを組むサムエルがコンディションと戦術理解度の両面でまだ十分でなく、なかなか起点を作ることが出来ない。周囲との距離感を近く保とうとしている様子は見えるのだが、セカンドボールへの反応の早い相手に、すぐに回収されてしまう繰り返し。
 
それでも少しずつ形は見えつつあった。39分にはサムエルとエドゥアルド・ネットとのパス交換から、サムエルが逆サイド大外で大きく手をひろげる高畑へとロングの展開。フリーで受けた高畑は切り返しで相手を剥がしながら切れ込み、右足でシュート性のクロス(※本人によるとシュートだったらしい)。ゴール前のニアには宇津元、その後ろにはサムエルも走り込もうとしていたが、わずかに届かず、弾道は枠の右へと逸れた。
 
40分には上夷の縦パスを弓場が落とし井上健太がサムエルに当て、サムエルが落としたボールをネットが浮き球のスルーパス。右サイドに抜け出した弓場がゴール前に送るという連係も作れた。おそらくサムエルもこれはイメージどおりだったと思うが、この場面はゴール前で宇津元1人に対し鹿島は2人。サムエルのコンディションが上がってくれば落としたあとに宇津元とともにゴール前に顔を出せるようになるはずだ。

 

微妙なジャッジにより後半は1人少ない戦いに

だが、チームが少しずつ形を表現しはじめていた45分、大分にとって大きなジャッジが下された。常本佳吾の左サイドからのクロスをゴール正面で鈴木が胸トラップした際、対応していた羽田健人が手をかけて倒したとして一発レッドカード。鹿島にPKが与えられた。確かに羽田の手が鈴木の肩に触れてはいるが、倒れるほどの接触ではないようにも見え、ベンチもピッチも猛抗議するが判定は覆らない。
 
無失点で粘ってきたがここまでかと思いきや、荒木遼太郎のPKは西川幸之介が掻き出した。西川はこの試合で何度も果敢に飛び出し、ピンチの芽を摘んでいる。きわどいタイミングで間一髪の場面もあるが、積極性の高い守備でチームに貢献した。
 
だが、0-0で折り返したものの、後半からは1人少ない状態。下平隆宏監督はサムエルを小出悠太に代え、上夷をCBに、小出を右SBに配置した。サムエルをフィットさせるチャンスが損なわれたのは非常に残念なことだった。
 
加えて宇津元の1トップとなったことでプレスがかかりにくくなり、さらに押し込まれる時間帯が増えた。51分、樋口雄太の移籍後初ゴール。ミドルレンジのゴラッソで最初の失点を喫する。

 

数的不利の中、システム変更しての対応&追撃も

57分には鹿島が土居聖真、荒木、広瀬陸斗をアルトゥール・カイキ、染野唯月、安西幸輝へと3枚替え。その1分後には早速、常本のパスを受けた染野がシュートを放ち、これは西川に止められたがこぼれ球を鈴木が押し込んで鹿島が2点目を挙げる。60分、大分は屋敷優成に代えて梅崎司。
 
64分には西川のキックに染野が猛プレスをかけ、跳ねたボールが西川のハンドを誘う。ゴール正面でのFKはアルトゥール・カイキが狙ったが、枠の上へと逸れた。
 
危機を脱したかと思えた67分、松村優太のクロスを染野が頭でそらし、ペナルティーエリア左で受けたカイキが右足シュート。クロスバーの内側を叩いて3点目となった。
 
大分は68分に高畑を藤本一輝に代え、システムを3-5-1に変更。最終ラインは右から小出、上夷、坂圭祐の並びでWBに井上と藤本。ネットを中盤の底に置き、その前に弓場と梅崎が並んで1トップが宇津元という形。幅を使ってくる鹿島に対応しながら両サイドの推進力に期待した。
 
鹿島は69分に鈴木と樋口を和泉竜司とキム・ミンテに交代。鹿島の攻撃は続く。染野のシュートが枠を外れ、和泉のシュートは西川が掻き出し、カイキのCKはエドゥアルド・ネットが跳ね返した。
 
89分、大分は弓場とネットを中川寛斗と保田堅心に交代。アディショナルタイム3分は鹿島のCK3本をしのいで尽きた。

 

ここからはリーグの連戦が続く

試合後の会見で、下平監督はジャッジの微妙さについて言及。誤審だったということになれば羽田はもちろんチームにとっては災難だったし、戦力の底上げの機会を損なわれたという意味でも、本当に残念なことになった。
 
ただ、高畑と梅崎の負傷からの復帰、上夷のコンディション上昇、前半のみではあったがサムエルの45分出場と収穫もあった。エドゥアルド・ネットの強みを引き出しつつ弱点をカバーして余りあった弓場の活躍や、西川、宇津元らの成長にも期待できる。
 
ルヴァンカップはホームでの第6節・C大阪戦を残してグループステージ敗退が決まった。ここからはリーグ戦の連戦が続くことになる。これまではリーグとルヴァンカップでターンオーバーしてきたが、リーグ戦メンバーにも疲労が蓄積しており、今後はここまでのルヴァンカップメンバーがリーグ戦に絡む機会も多くなるだろう。
 
まずは中3日でJ2第12節・ホーム栃木戦、そこから中2日で第13節・アウェイ千葉戦。収穫をポジティブに捉え、チームは次なる戦いへと舵を切る。

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