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試合レポート

パワーとクオリティーの差で圧倒された屈辱。跳ね返せずに無念の逆転負け

 

J1残留に向け、ホーム残り2試合ではなんとしても勝点3を積みたかったところ。積極果敢な姿勢で主導権を握った前半とは打って変わった後半、相手のパワーとクオリティーに屈して逆転負けを喫した。

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ミスマッチを突いて主導権を握った前半

前節の福岡戦から中3日。J1残留争いも残り4戦となり後がない中、悔しかった前節の雰囲気を払拭するように、チームは立ち上がりから積極果敢に攻める姿勢を見せた。
 
大分は前節から先発2人を入れ替えた3-4-2-1。呉屋大翔が第30節A名古屋戦以来、1トップでスタートした。おそらくG大阪の2CBの間を巧みに取る能力に期待されたものと思われる。2シャドーには渡邉新太と前節メンバー外だった町田也真人が並んだ。
 
G大阪のメンバー表からは、あるいは3バックシステムの可能性も予想できた。前節も終盤に3バックへとシステム変更して守備を固めている。だが、スタート時の陣形はベースとしている4-4-2だった。
 
そのシステムのミスマッチを突いて、まずは大分が主導権を握る。3分に左CKの流れから呉屋、5分には渡邉がゴールを狙い、11分には町田がゴール前へと進入した。だが、いずれも枚数をかけてゴール前を固めるG大阪の守備に阻まれる。
 
パトリックと宇佐美貴史を軸に攻め返そうとするG大阪のカウンターに対し、大分は素早い帰陣で対応。23分には宇佐美にシュートを許したが、枠の上に逸れた。

 

前半に3回ネットが揺れる攻め合いの展開

相手陣内でプレーする時間を増やした大分の積極性が実ったのは28分。レフティー・香川勇気がカットインし、右足に持ち替えて送ったクロスを渡邉と競り合った藤春廣輝のヘディングクリアがオウンゴールに。イレギュラーな形ではあったが先制に成功し、士気が高まった。
 
だがその1分後、早くも振り出しに戻される。右サイドから押し込まれて守備対応したものの、そのこぼれ球を拾った山本悠樹にゴール前へとパスを出され、すかさずパトリックに押し込まれた。サイドでの守備対応に気を取られ、ボールウォッチャーになっていた隙に、一瞬のところで最重要人物に自由を与えてしまった。パトリックはこれで今季2桁得点となる。
 
36分の宇佐美のシュートは高木駿がキャッチ。なんとか相手に流れを持っていかれたくない39分、大分が再びリードを奪った。相手を引きつけるだけ引きつけた渡邉のキープから町田がつなぎ下田北斗がシュート。これをゴール前にいた呉屋が、胸でコースを変えてねじ込む。この得点でクラブJ1通算200ゴール達成となった。
 
43分には右サイドを突破した小出悠太のクロスにスライディングした呉屋がわずかに合わず。45分には三竿雄斗がゴール前に詰め、前半アディショナルタイムには下田のFKをエンリケ・トレヴィザンがヘディングシュートと、立て続けの好機。だが、いずれも東口順昭にキャッチされ、ゴールは奪えなかった。

 

ミラーゲームに持ち込まれ力で圧倒される

2-1での折り返し。次の1点が試合の流れを変える状況で、なんとしても3点目が欲しかった。クロスがよく入っていることも踏まえてか、渡邉を長沢駿に交代。長沢はそのまま右シャドーに入る。3-4-2-1のバランスはそのままに、人に強いG大阪守備陣に潰されずターゲットになる狙いだったと思われる。
 
一方のG大阪は高尾瑠を昌子源にチェンジし、システムを3-4-2-1に変更してミラー状態を作り出した。ミスマッチだった前半は大分のポジショニングに対応できず引いて守るしかなかったが、タレント揃いのG大阪としては、個々の局面が多くなるミラーゲームに持ち込めば優位に立てる。加えて9月下旬から参謀入りした木山隆之コーチは仙台の監督だった昨季、それまで4バックシステムで戦っていたところを第31節の大分戦では3バックで奇襲して2-0で勝利した経験を持つ。大分の分析にも慣れており、昨季仙台のエースだった長沢の特徴も把握していた。
 
だが、おそらく大分首脳陣もG大阪のシステム変更は想定内だったはず。大分も前半同様の3-4-2-1システムながら、スライドしてミスマッチを生み出し、立ち上がりに立て続けにクロスからチャンスを築いた。
 
そのいずれかが決まっていればと悔やまれる。53分、押し込まれての競り合いの中から倉田秋が放ったシュートを、ゴール前でパトリックに触られて流し込まれ、2度目の同点弾を許した。

 

4-4-2に変更して挽回を図るが…

大分は60分、呉屋と小出を伊佐耕平と井上健太に交代。前線からの守備の勢いを保ちつつ、ここ最近の試合でスピード突破によりチャンスを生み出している井上に希望を託した。一方のG大阪は65分、倉田を山見大登にチェンジして、互いに流れを引き寄せようと駆け引きする。
 
68分にはパトリックのシュートを高木がビッグセーブ。大分の井上のクロスなどで攻め込むが、プレー精度と強度、アイデアなどがわずかに足りず得点できない。
 
75分、G大阪は宇佐美を小野瀬康介に代えて攻撃陣をリフレッシュ。交代で出てくる選手たちのいずれもが多彩な個性を持つタレントだ。その一人である山見の仕掛けから、決勝点のきっかけを奪われた。82分、細かい足技で切り返す山見に辛抱強く対応する羽田健人の背後へとカバーに入った刀根亮輔の左手に、山見の放った弾道が当たる。エリア内ハンドにより痛恨のPK献上。これをパトリックが沈め、ハットトリックで逆転された。

 

残留圏まで勝点5差。次節はアウェイ鹿島戦

大分は83分、刀根と香川に代えペレイラと野村直輝を送り込んで4-4-2にシステム変更。攻撃の枚数を増やして決死の追撃を仕掛け、ペレイラが攻撃参加を狙い、FKやCKでもゴールを目指したが、90+1分に山本と福田湧矢を柳澤亘とチュ・セジョンに代えて守備を固めたG大阪を崩すことが出来ず、激しい戦いは2-3で幕を下ろした。
 
今節は徳島が神戸に敗れたが、残留争い組の清水、仙台、湘南、横浜FCはそれぞれ勝点1を積んだ。大分は仙台と横浜FCに勝点差を1に詰められながら18位のままだが、残留圏との勝点差は5へと広がった。次節の結果次第でJ2降格が決定する可能性も出てきたが、数字上の可能性は失われていない。さらにその先に迎える天皇杯のタイトルも視野に入れつつ、チームは引き続き、積み上げ戦い続けていかなくてはならない。