痛恨の、スコア以上の完敗。ミラーゲームで相手に上回られる
主導権を握られたミラーゲーム。外国籍選手の一発で先制した相手に守備を固められ、辛抱強く攻略を試みたが崩すには至らなかった。残留争いのライバルたちも勝点を取りこぼしたため傷口の広がりはさほど大きくはならなかったが、残留圏との勝点差は4に開いた。
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ミラーゲームで相手に上回られ苦しい展開に
立ち上がりこそ立ち位置よく相手の間を取ってボールを動かし、立て続けのCKのチャンスも得たが、間もなく相手に修正されて、主導権を明け渡すことになった。3-4-2-1同士のミラーゲームでガチガチにぶつかり合う形を作られ、組織を寸断されて連係を阻まれる。
19分にはバックパスを受けようとしたエンリケ・トレヴィザンにジョン・マリが猛プレス。ひやりとした場面もあったが、なんとかことなきを得た。26分には福岡にアクシデント。エンリケと競り合った際に山岸祐也が左肩を痛め、早々の29分にピッチを後にする。交代で金森健志がシャドーに入った。
互いに攻め手をうかがいながら、30分には正面でFKを与えるが、ジョルディ・クルークスが直接狙った弾道は枠を捉えきれず。31分には三竿雄斗が広い視野を生かして左足でゴール前に送ったボールに小出悠太が逆サイドから飛び込んだが、ヘディングシュートは村上昌謙にキャッチされた。
32分、奪われてはならなかった先制点を許す。志知孝明が大きくゴール前に送った弓なりのクロスにジョン・マリが頭で合わせ、シュートは高木駿の指先をかすめてゴール右隅を揺らした。エンリケがつかのまボールウォッチャーになり、そのすぐ背後で三竿もジョン・マリをマークしていたのだが、たった一人でペナルティーエリア内に待ち構えていたカメルーン代表は、いとも容易く得点を挙げてみせた。
37分には金森のシュートが枠の上に逸れたが、福岡は俄然、勢いづく。40分には渡邉新太のスライディングタックルをかわして気分をよくしたジョン・マリがリフティングを披露した。これにはただちに敵将も大目玉。相手にコケにされる余裕を与えた選手たちを叱る大分ベンチへと謝罪に向かわせたが、大分にとっては非常に屈辱的だった。
選手交代で攻撃色を増すも相手も守備を固める
リードした後はじわりと守備を固めた福岡だったが、後半に入るとさらに、堅固なブロックを築いて大分の反撃を阻みにかかった。大分は刀根亮輔に代えて井上健太を投入し、小出を右CB、井上を右WBに配置して攻撃色を強めるとともに、相手とのマッチアップを考えて野村直輝と渡邉のシャドーの左右を入れ替えた。
47分には早速、井上がスピードを生かして志知を置き去りにするが、ゴール前まで攻め上がってのシュートは相手の正面。その後もブロックを構える相手を前に、なんとか攻略しようとボールを動かすのだが、ボールが足下に入った瞬間に体当たりしてくる相手に潰されて、相手陣ではなかなか攻撃の形を作ることが出来ない。両サイドでは相手の対人守備に巧みに利き足を切られ、逆足に持ち替えてパス交換で仕切り直す場面が何度も見られた。福岡のプレスの掛け方は計算されていて、大分の選手になかなか前を向かせないようになっていた。それでも56分には井上のクロスに香川勇気が逆サイドから走り込むが、わずかに合わず。
福岡は構えて守りながらカウンターで大分ゴールへと迫る場面も作った。それをしのぎながら57分、片野坂知宏監督は伊佐耕平に代えて呉屋大翔。64分には渡邉がやや強引にシュートを放ちCKを獲得したが、セットプレーのチャンスも相手に跳ね返された。
4-4-2で攻めるが意図が像を結ぶ場面も少なく…
67分、大分が2枚替え。香川と小出を下げてペレイラと長沢駿を投入し、システムを攻撃的な4-4-2に変更する。前節・徳島戦以来の“ブラジリアン2CB”で跳ね返しつつ、呉屋と長沢の2トップで追撃を図った。同時に福岡もクルークスとジョン・マリを田邉草民とフアンマ・デルガドに交代して威力を保つ。
だが、その4-4-2もなかなか攻撃の形を作れない。献身的に守備に戻る長沢がボールを奪っても、一人で攻め上がる間に相手に挟まれて潰される、その間のサポートに他の選手が行けていない。呉屋と長沢の距離感も遠く、2トップのコンビネーションとストロングポイントが生かされる場面はなかった。
大分は73分、渡邉を怪我から復帰した小林成豪にチェンジ。自分のタイミングで果敢にゴールを狙うことの出来るファンタジスタは登場直後、下田北斗のFKがクリアされたこぼれ球から早速ミドルを放つが、村上にキャッチされた。
77分には三竿のクロスが長沢にわずか合わず。80分には野村のパスを受けた下田がオーバーラップする三竿に展開し、そのクロスにニアで長沢が飛び込む形も作ったが、福岡守備陣に阻まれた。
三竿や下田を中心に最後まで前線にボールを送るが、シンプルに入れても福岡のゴール前は堅い。アディショナルタイムに入って福岡は金森に代え渡大生。時間も使う福岡を最後まであきらめず追撃したが、1点は遠いまま試合は終了した。
終わってみればシュート数は5本。もともとシュートの少ないチームスタイルとはいえ、この試合ではそのチームスタイルも封じられて何も出来なかった。
だが、大事なのは上り調子だった流れをこれで損なわないことだ。すぐに中3日で次節・G大阪戦。切り替えてまた勝利するために、チームは積み上げ続けていく。