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試合レポート

勢いを取り戻し5試合ぶり得点も、ラスト20分の魔に囚われ逆転負け

 

立ち上がりに失点したものの、町田の2得点で一度は逆転に成功。後半途中までは相手の追撃に粘り強く対応していたのだが、ラスト20分で2失点し勝点を逃した。

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いきなり失点も積極性を取り戻した試合の入り

いくつかのシステムを使い分けている浦和は、今節は前節から1人入れ替えたのみの4-4-2スタート。こちらはいつもの3-4-2-1。J1デビューの守護神ポープ・ウィリアムを含め前節から先発4人が替わった。
 
開始早々に下田北斗がオープニングミドル。枠上に逸れたが、なんとしても得点するのだという気合いが感じられた。好感触でスタートしたかに見えたが、3分にいきなり失点。ハーフスペース後方からバイタルエリアにまで走り込んだ西大伍を誰もつかまえきれず、山中亮輔のクロスに合わせられ先制を許した。4試合連続無得点の大分にとってはあまりに重い失点かに思われたが、チームはそこから勢いを盛り返す。11分には再び、松本怜のアーリークロスがクリアされたこぼれ球を下田が狙った。
 
守備時には5-4のブロックを構えたが、直近のルヴァンカップGS第3節FC東京戦と比べてもさらに、構えた状態からチャレンジする意識を高めていた。特に三竿雄斗の守備は圧巻で、判断よく強度も高く、幾度も奪って攻撃へと切り替えた。
 
攻撃では松本が山中の裏へと抜け出す形が続く。槙野智章と岩波拓也の2CBは屈強で、伊佐耕平もなかなかひとりで競り勝つというわけにはいかないのだが、ラインがしっかり押し上がって距離感が保たれているため、ポストプレーが機能しやすくなっていた。

 

大分らしい組織的攻撃から町田が2ゴール

ゴール前に入る人数も多く、24分、そこから同点弾が生まれる。三竿が奪ってからの浮き球に小林成豪が抜け出してクロス。ゴール前混戦のこぼれ球を下田が町田也真人へと落とすと、町田の左足シュートは槙野に当たってコースを変えゴール右上に突き刺さった。5試合ぶりの得点だ。
 
さらに41分には相手のロングボールを拾った坂圭祐が下田にパス。下田が前を向いてクサビを差し込むと、町田のトラップが流れ、槙野に当たって町田の足下へ。素早く切り返して放ったシュートはゴールへと転がり込み、逆転に成功した。
 
5試合ぶりの得点に、8試合ぶりの複数得点。相手からリードを奪ったのは逆転負けを喫した第5節の広島戦以来で、リードして折り返すのは第2節の横浜FC戦以来となる。負けが込んでいる現在、後半の戦い方が気になるところだった。
 
後半頭から浦和は、杉本健勇に代えて伊藤敦樹を入れ、小泉佳穂をトップ下に上げた。前半から良い動きを見せていた小泉が、さらに厄介な存在となりはじめる。

 

カードを切り合う中で浦和へと傾く流れを止められず

疲労のせいなのか、浦和の追撃に押されたか、前半の勢いが弱まったチームを見て、片野坂知宏監督が動いた。58分、伊佐を髙澤優也に交代。同時に、イエローカードをもらっていた小出悠太をベンチに下げて刀根亮輔を3バックのセンターに入れ、坂を右CBへ。
 
60分にはリカルド・ロドリゲス監督が山中を汰木康也にチェンジし、明本考浩が左SBに移る。徐々に浦和ペースへと傾く中、大分ベンチは65分にサイドをフレッシュに。右の松本に代わって井上健太、左の香川勇気に代わって高畑奎汰が両翼に立った。69分には浦和が武藤雄樹と関根貴大を興梠慎三と田中達也に交代。高畑は昨季のチーム得点王と対峙することになった。互いに特徴を知り尽くしている間柄だけに、駆け引き感の強いマッチアップだ。
 
前線から守備をハメきれず5-4で構えがちになっていた75分、同点に追いつかれた。攻め上がった槙野が獲得したFKを小泉が蹴り、刀根のヘディングクリアを拾った岩波がふんわりクロス。ポープ・ウィリアムが出てパンチングクリアしたのだが、収めた小泉が再び送った弓なりのクロスを、高畑の後ろから槙野に押し込まれてしまう。

 

前がかりになったところをひっくり返され逆転

片野坂監督は即座に勝点3を取りに動いた。小林成に代えて長沢駿。第8節の神戸戦で途中出場からの負傷退場して以来の復帰で、髙澤が左シャドーに回る形となる。
 
そのメッセージを受けて前がかりになったところで、明本にカウンターでひっくり返された。井上がスライディングで食い下がるがペナルティーエリア手前からクロスを入れられ、小泉が走り込む。三竿がそれを察知した背後で一気にスピードアップした小泉には高畑とポープが慌てて詰めたが、高畑の、そしてまた小泉の足に当たったボールがスペースへとこぼれ、そこに逆サイドから走ってきたのは田中。刀根のスライディングも間に合わず、82分、逆転の恩返し弾を食らった。昨季大分でそういう形で7得点を挙げた田中に奪われたと思うと悔しすぎる失点だった。
 
追う立場になった大分はあきらめることなく長沢をターゲットにボールを送り続け、迫力を醸し出す。アディショナルタイムは5分。90+3分には坂のヘディングパスを長沢が落とし、明本がもたついたところで井上がシュートを放ったが、至近距離で西川周作に阻まれた。その1分後にはポープのフィードに抜け出した町田がビッグチャンス。だが、シュートは枠の右に逸れた。最後に獲得した左CKではポープも上がり勝負を懸ける。そのタイミングで浦和は小泉を阿部勇樹に交代した。

 

最後の猛追に立ちはだかったのは西川周作だった

下田のキックが混戦の中で高く上がったところを長沢がヘディング。枠を捉えていたが、いっぱいに左手を伸ばして跳んだ西川に掻き出された。今度は右からの下田のCK。ポープが頭で触り髙澤の肩に当たったこぼれ球を長沢が左足でシュートしたが、またも西川の迫真のセーブ。そこで長いホイッスルが鳴り、大分はこれで7連敗となった。
 
連敗脱出に失敗し、各媒体の記事には“泥沼”と見出しが踊った。だが、前節までの6試合とは今節は違ってもいた。積極性を取り戻したチームが見せた闘志は相手の倍近い11本のシュートを生み出している。
 
これが今後、どう転ぶかが大事なところだ。「善戦はしたが勝点を取れなかった」のか、「勝点は逃したが次につながる試合が出来た」のか。その評価は次節以降に持ち越される。試合後会見に出てきた町田と三竿は、悔しがりながらも手応えを感じた表情も見せていた。その手応えと敗因分析を、前向きに生かしていきたい。

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