相手の勢いを受けた立ち上がりの失点が響く。追撃も実らず悔しい4連敗に
またも立ち上がりのハイプレスにのまれ、早い時間帯に失点。相手のハイプレスを剥がして前進することが出来なかった前半から、徐々にこちらも盛り返したが、1点は遠く、4連敗となった。
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想定していた相手のプレッシングを上手くいなせず
アウェイ連戦という厳しい日程に加え、結果が出ていないことが苦しい。試合後の会見画面に現れた片野坂知宏監督は珍しく、悔しさと不甲斐なさともどかしさと、いろんな要素が混じりあったような感情をあらわにした。続いて会見に応じた渡邉新太は「勝てていないのは攻撃陣の責任」とうなだれ、三竿雄斗も「個の部分、質の部分なので、自分たちで高めていくしかない」と課題を噛みしめつつ疲れた表情を見せた。
神戸のハイプレスとカウンターを警戒しつつ、ボールを前に運ぶための準備を施して5-4-1のブロックを組み臨んだ一戦。だが、今回の対戦でも立ち上がりにアグレッシブさを貫く神戸の勢いをまともに受けてしまい、攻撃を阻まれる。特に2トップの一角に入った古橋亨梧のスピーディーで深いプレッシングには苦しめられ、いなすことが出来ない。さらに撒水されたハイブリッド芝に足を取られる場面も続出。芝を気にしてかプレスに遮られてか、大分のプレースピードは遅く、パスも足元に各駅停車で、パスが入った瞬間に肉弾戦を仕掛けてくる神戸にボールを奪われることも多かった。
非常に厳しい試合の入り。試合が落ち着く前の11分に先制点を奪われた。ボールを動かして好機を狙う神戸に対し、人数をかけて中央を固めたが、山口蛍のアーリークロスに抜け出した古橋がバックヘッド。ボールは高木駿の指先をかすめてゴールへと吸い込まれた。
守備の積極性で盛り返したが紙一重の精度に泣く
失点後は守備の強度を高め、伊佐耕平を頂点に激しいチェイシングを仕掛けていく大分。だが、反撃に出たくとも菊池流帆らの激しいタックルに遭ってボールが収まらず、攻撃の形を作れない。神戸のプレッシングはバランスがよく、つけ入る隙もなかなか与えてくれなかった。
それでも粘り強く攻略ポイントを手探りするうちに、前半の終盤あたりから相手の間を使ってボールを動かせるようになり、右サイドに光明が見えはじめた。松本怜と町田也真人のコンビネーションからサイドを崩し、泥臭い形ではあっても起点を作れるようになる。
38分、小林裕紀のサイドチェンジから松本が町田とのワンツーで抜け出すとクロス。松本は相手のスライディングに巻き込まれて倒れたが、すぐに立ち上がって相手にクリアされたこぼれ球を拾うとゴール前へと送った。中で呼んでいたのは相手の間を取っていた渡邉。ワンタッチシュートはしかし、紙一重の精度不足でクロスバーに弾かれた。
勝負どころで投入した長沢にアクシデント
その勢いを維持しながら後半に入ると、大分は激しいプレッシングで流れを引き寄せようとした。だが、神戸もそれを振り切ってクロスを供給し、ヘディングシュートを放ち、ゴール前で収めと好機を作り続ける。精度不足に助けられたり水際で体を張ったりしてそれをしのぎつつ、攻め返したいのだが、なかなかパスが通らない。
先に動いたのは三浦淳寛監督。60分に中坂勇哉に代えて増山朝陽を投入すると、片野坂監督も1分後に伊佐を長沢駿へとチェンジする。さらに71分には町田と福森健太を小林成豪と井上健太に交代し、井上を右WB、松本を左WBに配置して追撃の勢いを強めた。長沢が下りて組み立てに参加し、小林成の推進力や井上のスピードが生きて徐々に流れは大分へと傾いていった。
だが、83分に大きなアクシデント。小林成のスルーパスに抜け出した井上のクロスに飛び込んだ長沢とパンチングクリアしようとした前川黛也が激しく交錯する。互いに右腿を押さえて倒れ込み、前川はやがて立ち上がったが、長沢はついに立てず、担架で外へと運び出された。それに代わり髙澤優也が急遽ピッチに入る。
その間に神戸は小林友希、井上潮音、セルジ・サンペールを初瀬亮、櫻内渚、藤本憲明へと三枚替えして、最後までプレスの勢いを維持した。大分も気迫を見せて球際に果敢に挑むのだが、押し込んでもゴール前を固める神戸をこじ開けるまでには至らない。最後まで諦めずに走ったが、タイムアップ。4連敗という厳しい結果となった。
能力の高い相手へのリスクマネジメントは必要で、それが出来ているからこそ大崩れしない戦い方が出来ているのだが、そこから攻め返す力をどうやって醸し出すかが、現在の大きな課題だ。構えて守ることと消極的になることも、イコールではない。そのニュアンスの部分を、ここからチームがどう修正していくかを見守りたい。