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試合レポート

今季ホーム初白星はお預けも、着実に進歩がうかがえた一戦で+1

 

リーグ屈指のハイプレスとカウンターを誇るFC東京との対峙で、自分たちのスタイル体現に勇敢にチャレンジ。課題はまだ残るがこれまでに比べると内容の向上が感じられた一戦だった。追いついて勝点1を積んだことも非常に大きい。

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FC東京の圧をいなしボールの動かしに挑む

前節から中3日のFC東京は戦力を入れ替えて今節に臨んだ。第3節が中止となった大分は、そのアクシデントをアドバンテージにすべく、気持ちを切り替えて強豪を迎え撃った。
 
何よりこの試合の見どころは、戦力の大幅な入れ替わりによりスタイルの基盤を再構築中のチームが、J1屈指のスピードと強度を誇るFC東京のハイプレスに遭いながら、どれだけ自分たちの狙いを表現できるかという点だった。前から来る相手のほうが、相性としてはこちらのスタイルを出しやすい。ただ、その迫力が半端ないのがFC東京の怖いところだ。
 
果敢に相手を引きつけてビルドアップする姿勢を見せたチームは、立ち上がりに好機を築く。4分、町田也真人のクロスを小林成豪がボレーシュートし、ブロックされたこぼれ球に走り込んできた福森健太が狙った。弾道は枠上に逸れたが、幸先よく狙いを表現できた形だった。細かくパスをつないで相手のプレッシングをいなす場面も多く作れた。
 
守備では5-4-1で構えながらFC東京の縦パスを集中してカット。アダイウトンの推進力にはやはり手を焼いたが想定内。羽田健人の懸命の対応を坂圭祐や井上健太もサポート。高木駿の思い切りのいいセーブにも助けられつつ、ゴール前で跳ね返し、粘り強さを見せた。

 

セカンドボール対応で後手を踏み押し込まれる

ただ、やはり相手の強烈な攻撃陣に対して守備の枚数を割かれ、重心は重くなった。カウンターへのリスクマネジメントが前提にあって球際への思い切ったチャレンジが鈍るのか、セカンドボールもなかなか拾えない。適宜組み立てに下りる長沢駿が機を見て裏を狙うが、そこにボールを送っても周囲がサポートに行けず相手に潰された。
 
そうやって徐々に押し込まれていた28分、先制点を奪われる。アダイウトンからのパスを受けたディエゴ・オリヴェイラのクロスを、渡邊凌磨に頭で合わせられた。渡邊凌にとってはJ1初ゴール。FC東京は今季初めての先制点だった。
 
相手の脅威にさらされながらも攻め返そうと試みを続けるチームは、39分、カットインした井上が小林成とのワンツーからシュート。44分には町田の落としを下田北斗がシュートしたが、いずれも枠を捉えきれなかった。

 

町田の昨季最終節以来のゴールで同点に

1点ビハインドで迎えた後半、片野坂知宏監督は羽田と上夷克典の左右を入れ替える。立ち上がりからアダイウトンのドリブル突破とディエゴ・オリヴェイラのクロス。人数をかけて守っても破られてしまうが、これもゴール前で食い止めた。
 
56分、片野坂監督は小林成を髙澤優也、上夷を黒﨑隼人にスイッチ。少しばかり大分が盛り返しそうな雰囲気が出てきた59分、今度は長谷川健太監督が動いた。渡邊凌をベンチに下げて高萩洋次郎を投入し、高萩をトップ下に置いた4-2-3-1へと布陣を変形させた。「もっとボールを動かして追加点を取りにいきかった」と敵将は明かす。町田は自身のポジショニングを考えながらそれに対応したと試合後に話した。
 
戦況は一進一退。迫力ある65分にはドリブルでエリア内に進入した町田が自らゴールを狙うが、ブロックされた。72分にはFC東京がアダイウトンをレアンドロに、青木拓矢をアルトゥール・シルバに交代。続いて1分後には大分が、長沢を伊佐耕平に、井上を刀根亮輔にチェンジ。刀根は3バックのセンターに入り、坂が右CB、黒﨑が右WBにスライドする。
 
すると76分、下田の蹴った左CKの流れから同点弾が生まれた。クリアされたボールを収めた坂が一旦黒﨑に預けて再び受けると、ゴール前へと長いボールを送る。弾道は実に正確に伊佐の胸元へ届き、その伊佐の落としに必死で足を伸ばした安部柊斗のクリアは不十分で、拾った町田が丁寧に流し込んだ。

 

相手の変化に対応しつつ最後まで攻めた

同点となったことで終盤、試合の動きが激しくなる。おそらく追いつかれた後あたりから、FC東京は高萩がアンカーに入り安部とシルバがその前に並ぶ形を取ったように見えた。
 
大分の攻める時間が増え、ボールは縦横斜めによく動いた。ボールを奪って相手を抜き、逆サイドの町田へと展開するなどいい働きを見せていた髙澤も、81分に黒﨑のクロスを頭で競り、自らボレー。枠は外れたが俄然、大分に勢いが出てきた。
 
81分、FC東京はディエゴ・オリヴェイラを永井謙佑、中村拓海を中村帆高へと二枚替えし、勝ち越し弾を狙いに来る。大分は刀根が守備を統率し、相手が入れてくるボールを跳ね返し続けた。89分にはこの日、右で左で守備に奮闘した羽田が足をつらせる。ベンチで唯一最終ラインを務めることが出来る長谷川雄志が代わって左CBに入り、ラストを乗り切ることになった。
 
両軍とも勝点3を求めて最後まで攻めの姿勢を見せたが、ゴールネットは揺れず、1-1のドローで決着した。大分のホーム初勝利はお預けとなったが、強豪相手の勝点1は貴重な成果。FC東京のハイプレスをいなしながらスタイルを体現し、今季もブレずに積み上げていく姿勢が見えたことも大きな収穫だった。セカンドボール対応が向上すれば、もっと優位な試合展開もものに出来るはずだ。