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試合レポート

本拠地でシャーレは掲げさせない。その意地が実った“大金星”

 

プライドの象徴である本拠地・昭和電工ドーム大分で、川崎Fに優勝を決めさせたくない。ホームチームの意地を懸けてダントツ首位に挑んだ一戦は、下馬評を覆す結果となった。

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つながったポジショニングと連係の妙

予想の大勢は川崎Fの勝利。自力での優勝決定に備えてセレモニーの準備は万端で、その瞬間に立ち会おうと900人を超える川崎Fサポーターも、はるばる大分まで駆けつけていた。
 
だが、立ち上がりから主導権を握ったのは大分。町田也真人と野村直輝の2シャドーが相手の間でボールを収め、タイミングよく前線に顔を出すWBと絡みながらサイドを使って好機を築くと、献身的に走り回る伊佐耕平や多彩な引き出しを披露する野村が立て続けにゴールを脅かした。
 
序盤は完全に大分ペース。守備の要・ジェジエウを累積警告による出場停止で欠く川崎Fだが、キャプテン・谷口彰悟を中心に跳ね返し、最後は守護神チョン・ソンリョンのファインセーブでしのぎつつ、ゴールは割らせてくれない。だが、大分も川崎Fがボールを持ったときには早い段階で球際に寄せ、自由を与えない。特に島川俊郎のハードワークは川崎Fの攻撃の生命線である中盤の組み立てを許さなかった。
 
17分には山根視来のクロスから小林悠に頭で合わせられるが、シュートは枠の右。大きなピンチはそのくらいで、町田が躍動し小出悠太が積極的に勝負パスを入れ伊佐や野村がフィニッシュする大分が圧倒。飲水タイム後には町田と野村にアンカー脇を使わせまいと川崎Fが守備時の立ち位置を修正してきたが、大分ペースは続いた。

 

町田と野村で相手を退場に追い込みPK獲得

ただ、肝心の得点がなかなか生まれない。これ以上このままでは難しくなるだろうと思っていた34分、川崎Fにアクシデントが起きた。町田の浮き球クロスに走り込んだ野村を、後手に回った谷口がエリア内で手を使って倒してしまう。谷口は得点機会阻止で一発退場となり、それで得たPKを野村が狙い澄ましてゴール左隅に沈め、36分、先制に成功した。
 
本職のCBが不在となった数的不利に、鬼木達監督は守田英正をCBへ、中村憲剛をアンカーへと一列ずつ下げ、中村の前に大島僚太と齋藤学を並べた4-3-2の布陣にして対応する。川崎Fのスタイルを体現するのに最もふさわしい形を保ち、前半を1-0のままで乗り切ると、後半頭から中村を田中碧に、長谷川竜也を三笘薫にチェンジして、大島をアンカーに配置。田中碧と斎藤をその前に並べ、小林悠と三笘を前線に置いて速い攻撃での得点を狙った。
 
51分には田中碧の左CKから小林悠にヘディングシュートを放たれ、ひやりとするがサイドネット。だが、川崎Fは機動力と勢いを増し、登里享平の突破などから好機を築いて主導権を握りはじめる。59分には小林悠に代えて旗手怜央。三笘と旗手の2トップとする。
 
大分は62分、それぞれ負傷した小出を高山薫に、伊佐を髙澤優也に交代。川崎Fに傾く流れを引き戻そうと、73分には町田を小塚和季、長谷川雄志を小林裕紀へとフレッシュな戦力にチェンジするが、数的不利を感じさせない川崎Fの攻撃を押し戻すことが出来ず、押し込まれて重心は下がったまま。

 

さすが数的不利を感じさせない首位チームの強さ

川崎Fは76分に齋藤学を脇坂泰斗に代え、脇坂をトップ下的な位置に置いて三笘を左サイドに張らせた。さらに79分には山根をレアンドロ・ダミアンへと交代。レアンドロ・ダミアンを最前線に入れ、右SBには旗手が移り、中盤ダイヤモンド型の4-4-1となる。
 
段階的に選手を交代しながら最適解を探るように配置を変える鬼木監督の采配に、片野坂知宏監督の指示も熱を増す。押し下げられた重心を少しでも挽回したいのだが、川崎Fの圧が高く、小塚や髙澤になかなかボールが収まらない。右サイドでは高山が、三笘と登里の攻撃に激しく対応。人数をかけてゴール前で体を張るが、川崎Fの追撃は激しく、あわやというピンチも立て続けに起きた。片野坂監督は83分、疲労した島川をベンチに下げ、刀根亮輔を投入。刀根を右CBに置いて高山とともに守備を強化し、岩田をボランチへとスライド。レアンドロ・ダミアンが入ったことでセットプレーでも刀根の高さが生きるはずだった。
 
86分には川崎Fの左CKの流れから守田のミドルシュートが枠の上。89分には三竿がFKで直接狙ったがこれも枠をとらえきれなかった。とてつもなく長く感じる、アディショナルタイム5分。最後は野村が個人技でボールを相手に渡さず時間を使い、そこから託された小林裕紀が小塚へとスルーパスを送るなど、大分も最後まで攻めの姿勢を見せた。

 

指揮官が示したトリニータ愛というプライド

長いホイッスルが響いたときの達成感。大切なホームスタジアムで他チームの胴上げを眺める事態は、試合前に誓ったとおり、しっかりと阻止した。
 
片野坂監督は会見で言った。「トリニータの歴史の中では、この大分のドームで、相手の優勝や昇格を見せられる悔しい思いをしてきたと聞いている。自らがJ3降格しJ2優勝を決められたこともあった。今日はなんとしても川崎FさんのJ1優勝を阻止したかった。この試合でわれわれがいいゲームをすれば、ファンやサポーター、応援してくださる方々に喜んでもらえると思った」。
 
2016年、J3に降格した古巣チームの指揮を引き受け、5シーズン。辛抱強くスタイルを築きながらコツコツとカテゴリーを上ってきた。その根底にはいつも「トリニータを強くしたい」という思いがある。来季続投が発表されて初めての試合だった。
 
特異で苦しい戦いを強いられたシーズンも残りわずか。このチームでタフな残り7試合、どこまで勝点を積み上げられるか。この勝利で順位は神戸を抜き11位へと浮上した。次節は天敵・ロティーナ監督との戦いだ。

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