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試合レポート

浦和のストロングを消した守備に手応えも、またも得点できず勝点1止まり

 

好調・浦和のストロングポイントを消し、消せないときは体を張った。ビルドアップにおいても相手のオーガナイズされた守備を惑わし分断する立ち回りを演じ、試合の流れはこちらの手中。それだけに、勝てなかった悔しさはひとしおだった。

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今節も準備した狙いがハマる

「『いいサッカー』は出来ていても結果につながっていないのが本当に申し訳ない」
 
試合後、片野坂知宏監督から悔しさがほとばしった。直近の第23節・G大阪戦に続き、内容的にはこちらのゲームとしながら得点できずに勝点を取りこぼしている。こういう試合で勝ちきれないのは、決定機のみの問題なのか深刻に捉えるべきなのか。狙いがハマって完全に崩せているだけに、フィニッシュの精度不足が悔やまれる。
 
今節は第8節以来、高木駿がゴールマウスに立った。他に、浦和の攻撃力に対峙するため、刀根亮輔を先発させ三竿雄斗を一列上げるとともに、ボランチの一枚は羽田健人でスタート。相手SHがインサイドを取りSBが上がってくるのに対し、コンパクトな陣形で中を固めた。
 
CBの左右とWBで浦和の好調を牽引するマルティノスと汰木康也を抑え、SBにはシャドーがついていく構図。サイドでのポジショニングの巧妙な駆け引きにより、相手SHとSBの縦の連係を阻んだ。こういった駆け引きは紙一重で転覆するが、三竿がマルティノスを封じ、松本怜が汰木を上手く牽制してサイドの優位性を得る。さらに中央では羽田がエヴェルトンを上回り、浦和の攻撃に自由を与えなかった。シャドーも守備に追われることになるが、攻撃に切り替わったときには1トップの知念慶が強度を発揮してよくボールを収め、味方が上がってくる時間を作った。
 
この大分の狙いに関して、大槻毅監督は試合後に「特に前半はスピードを上げさせていただけなかった」と振り返っている。

 

駆け引きしつつ、もどかしい展開

試合の入りこそ様子見で相手の圧を受けたが、間もなく狙いどおりに主導権を握ると、立て続けに好機を築いた。22分には三竿がカットしたボールを三平和司と知念がつなぎ、松本のマイナスのクロスに羽田が走り込むがシュートは枠の上。24分には抜け出した髙澤優也の強烈なシュートが西川周作に阻まれる。28分には岩田智輝のサイドチェンジから三竿が折り返し、三平がダイレクトで狙うが枠を捉えきれない。
 
サイドを制圧された浦和も立ち位置を修正し、ファーストシュートは32分。武藤雄樹が右足を振り抜いたが枠の上に逸れた。39分には山中亮輔のクロスが跳ね返されたこぼれ球に長澤和輝が詰めるが、体を張った鈴木義宜に阻止される。左CKにはエヴェルトンが頭で合わせたが枠外へ。44分にはマルティノスのクロスを興梠慎三が競るが、これもわずかに枠の左。
 
立ち位置の駆け引きを繰り広げながら、互いに迎えた決定機を仕留めきれずに折り返すと、後半になっても攻め合いながらスコアは動かない。52分には髙澤の大きなサイドチェンジから松本がクロスを送り、ゴール前で三平が知念へとつないだが、岩波拓也に寄せられて打てず。55分にはマルティノスの横パスを三平がヘディングでカットし、それを託された知念がグラウンダーのシュートを放ったが、西川に掻き出された。58分には知念がマルティノスに倒されて得た三竿の高速FKから髙澤が頭で狙ったが、わずかに枠の左。

 

采配合戦も白熱したが…

浦和は62分、武藤の右CKが高木に掻き出されたこぼれ球を山中が撃ったが枠の左。68分にはマルティノスが軸となって攻め込み、最後はエヴェルトンがシュートしたが枠を捉えきれなかった。
 
緊迫感あふれる拮抗した展開にベンチも動きづらい様子だったが、最初に動いたのは大槻監督。70分、武藤と興梠の2トップを杉本健勇とレオナルドに交代した。それを受けるように片野坂監督も同時に、長谷川雄志を島川俊郎へとチェンジして守備力を高める。浦和は続いて78分、汰木と山中を宇賀神友弥と関根貴大に交代。それを追うように81分、大分が三竿、三平、髙澤を高山薫、野村直輝、田中達也へと代えた。田中が右、野村が左シャドーに入り、高山は右WBへ。松本が左WBへと移る。
 
ベンチワークの駆け引きが激化する中で、徐々にオープンな展開となり、84分、浦和がこの試合最大のビッグチャンスを迎えた。西川のフィードを杉本が落とし、レオナルドのスルーパスにマルティノスが走り込んだが、シュートは大きく枠を外れた。86分、高山と松本は左右を入れ替わる。
 
88分にはこちらにも絶好機。右サイドを素晴らしいスピードで突破した田中が送ったクロスに野村が頭で合わせたが、シュートは無情にもクロスバーに弾かれた。89分には大分が松本を小出悠太に、浦和がエヴェルトンを青木拓矢に交代して最後まで試合を決めに行く。攻防は激しさを増したが、アディショナルタイム5分が尽きるまで、ついにどちらのネットも揺れなかった。
 
ここ3試合は戦術的手応えを感じながら、チームは4戦勝ちなしの状態で、中2日でアウェイ横浜FC戦に臨む。上場の内容を勝利に結びつけることが出来るかどうか。フィニッシャーの意地に期待がかかる。