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試合レポート

粘り強い守備から小塚今季初ゴール&髙澤復活弾で好調・鹿島の勢いを止めた

 

前半は押し込まれる展開となったが、集中を切らさず耐え、相手のプレッシャーにミスしながらもボールを動かした。その甲斐あって後半は流れを引き寄せると、2得点無失点で勝利。好調・鹿島の連勝を7でストップした。

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攻める機会少なく押し込まれて耐えた前半

相手の強度に押し込まれっぱなしとなった前半。ボールを持てば激しくプレッシャーをかけられ、プレー精度を欠いてパスミスやロストが頻発した。視野が狭くなって奥行きを見ることが出来ず、自陣深くで短いパスを回すうちにハメられていく。耐えきれずに大きく蹴り出すと相手に回収され、また攻め込まれる繰り返し。何度かクロスは入れたものの、単調で相手に簡単にクリアされた。
 
それでも守備は集中を切らさず、粘り強く対応した。相手がボールを持ったときにはこちらも負けじとプレッシャーをかける。9分には岩田智輝がチャレンジして生まれたスペースへと抜けられピンチに陥ったが、名古新太郎の反転シュートは上空に逸れて命拾い。ファン・アラーノが躍動し、エヴェラウドが迫力を醸す鹿島の攻撃は脅威だったが、3バックと守護神が中心となりしのぎ続けた。
 
26分にはカウンターから和泉竜司にシュートを打たれるが枠の外。28分には岩田から受けた小出悠太のスルーパスを渡大生が右サイドスペースに落とし、スプリントで追いついた田中達也が勢いよくクロスを供給。沖悠哉に掻き出されたこぼれ球を星雄次が狙うが、沖の寄せに遭いミートしきれず。前半終盤にはセットプレーを含め相手に何度もゴールに迫られたが、鈴木や三竿雄斗らが体を張ってゴールを割らせなかった。

 

伏線を作ったところで髙澤投入

試合は0-0で折り返し、ハーフタイム明けには両軍がカードを切った。鹿島はエヴェラウドから上田綺世、名古から荒木遼太郎への二枚替えで、荒木が左SHに入り和泉が右へ。ファン・アラーノがトップ下のような立ち位置を取る。大分は渡を髙澤優也に交代した。
 
後半頭は立て続けに大分CKのチャンス。左から小塚和季が1本目は直接入れ2本目はショート。右からは長谷川雄志が入れたがいずれもクリアされる。
 
鹿島の勢いがやや落ち、流れが大分に傾いた感触があった。そんな57分、それを大きく引き寄せる先制点が生まれる。長谷川の大きな展開から小出が頭でつなぎ、受けた田中がカットインして自らシュート。相手に当たったこぼれ球を、小塚が振り抜いて仕留めた。
 
この先制点でチームはやにわに勢いづく。これまでは相手に拾われることの多かったセカンドボールも支配するようになった。前半は相手に詰められて潰されることの多かった島川俊郎が攻守両面で相手を上回りはじめる。
 
63分に大分が小塚を野村直輝へとチェンジすると、66分には鹿島が山本脩斗を下げ遠藤康を投入。遠藤がトップ下、ファン・アラーノがボランチ、永木亮太が右SBへとスライドする。
 
71分、片野坂知宏監督は小出と長谷川をベンチに下げ、刀根亮輔と羽田健人を投入。岩田が右WBに上がり、右SBに刀根。羽田はそのままボランチへ。大分の勢いは衰えることなく、78分にはまたも田中が個人技でゴールに迫るが沖に足を出され阻まれた。直後にザーゴ監督は関川郁万と和泉に代えて染野唯月と松村優太。三竿健斗を最終ラインに落とし、さらに攻撃色を強めて追撃に出る。

 

限られた選択肢から出場した選手が期待に応える

だが80分、大分が試合の大勢を決定づける追加点。相手のクリアボールを島川、羽田と頭でつないで三竿雄斗を経由し野村がやさしいパスを出すと、髙澤が抜け出して沖と1対1の場面を迎える。前がかりになった相手を尻目に、落ち着いて流し込んだ。
 
アディショナルタイムに入ると大分は田中を町田也真人へと交代。その町田を狙ってボールを奪い鹿島も最後まで追撃するが、大分の守備の集中は途切れず、ムン・キョンゴンの落ち着いた処理などで2得点完封勝利。好調・鹿島の連勝を7でストップした。
 
耐える前半を見守りながら、前節の広島戦の記憶も頭をよぎったが、今節は守備の集中が途切れることはなかった。前節は交代で入った髙澤の長所を生かす攻撃が出来なかったが、今節はそれを存分に引き出して流れを手繰り寄せる。髙澤は84分には激しい守備でボールを奪って攻撃に切り替える貢献も見せており、復帰2戦目ではあるが素晴らしい存在感を見せつけた。
 
復帰といえば第13節以来の先発となった長谷川も、71分間プレー。大きな展開はもちろん、ポゼッションでも小回りを効かせた。こちらも前節途中出場でシャープなプレーを披露した星は、連係よくアグレッシブに攻守に絡み、前半途中からは攻め上がる場面も増えた。野村も途中投入直後は足にボールがつかないことが何度かあったが、決定的な仕事をするあたりはさすがの巧者。負傷者が多く選手起用の選択肢が限られた中で、出場した選手が期待に応えた。今節は相手のプランとの噛み合わせも上手く転び、最上の結果を引き寄せた。
 
前節に続き1トップで出場した渡からの全力守備と、結果に直結せずとも徐々に相手の体力を奪うポゼッション。いずれもまだ成熟度は高くないが、間違いなくカタノサッカーはブレることなく継続し、少しずつ勝点を積み上げている。

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