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試合レポート

大幅なメンバー入れ替えで底上げを図った。2種登録の2人もトップチームデビュー

 

双方ともメンバーを入れ替えてチームの底上げを図ったYBCルヴァンカップ・グループステージ最終節。2種登録選手や特別指定選手を含む18人で、やはりリーグ戦とはメンバーの異なる柏に挑んだ。

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前半に迎えたいくつかの好機

関東地方の一部ではゲリラ雷雨により道路の冠水などの被害も見られたこの日。柏でも午後は一時、雷雨に見舞われた。試合直前まで驟雨が降りしきったが、開始後は次第に回復し、代わりに耳鳴りのような蝉時雨と心身を蝕む高温多湿な空気がピッチを包んだ。
 
すでにグループステージ敗退とプライムステージ進出が決まっている両軍のマッチアップ。大分は2種登録の屋敷優成と弓場将輝が先発。同じく平川絢大もベンチ入りした。ベンチには特別指定選手の井上健太と藤本一輝も名を連ねる。ディフェンス陣に怪我人が多発しているという柏も、全ポジションにわたりリーグ戦とは異なる顔ぶれをピッチに並べた。
 
柏のプレッシャーが緩めだった前半は大分ペース。屋敷が上手く顔を出してボールを受け、弓場も落ち着いて攻守にいいポジションを取る。ネルシーニョ監督との師弟対決である高山薫と松本怜の右サイドから多くチャンスを作った。
 
10分には受けに下りた屋敷から小塚和季に入り、今日は1トップで出場している渡大生へと中を通すスルーパス。渡は上手く相手の間へとボールを引き出したが、飛び出してきたGK滝本晴彦に体を張って阻まれた。20分には高山から絶妙な長い縦パス。ウラに抜け出した松本がクロスを入れ、渡と小塚が相手を引き連れてスペースを空けたところに屋敷が走り込んでシュート。絶好の形だったが、残念ながら弾道は外へと逸れた。
 
35分には小塚のCKに羽田健人が頭で合わせるが枠を捉えきれない。41分のCKでも小塚からピンポイントで羽田、だが枠の上。チャンスをものに出来ず0-0のまま折り返す。

 

後半は修正に遭い立て続けに3失点

柏はハーフタイムに2枚替え。高橋祐治を古賀太陽へ、山田雄士を細谷真大へとチェンジし、ポジションはそのまま。後半に入ると守備のアグレッシブさを増した柏は攻撃でも流れを引き寄せはじめるが、大分は落ち着いてボールを動かし続けた。
 
54分、弓場が足を痛めて小手川宏基と交代。その機会に片野坂知宏監督から選手たちに指示がなされ、仕切り直そうとしていた56分、縦パスを相手に引っ掛けられてカウンターを受ける。人数は揃っていたのだが、スペースを流れるような柏の縦の速さに対応できず、自ら持ち上がった細谷にそのまま流し込まれて先制を許した。
 
さらにその2分後のゴール前。ワンタッチでボールを動かされて翻弄され、三原雅俊の縦パスを細谷がヒールで落としたところを北爪健吾に決められる。最初の失点で自信を失ったかのように寄せきれず後手に回っての2失点目だった。
 
61分、片野坂監督は高畑奎汰と屋敷を井上と藤本に交代。藤本は右シャドーに入り、井上は右WBへ。松本が左WBに移り、星雄次が一列下がった布陣となる。
 
63分には呉屋大翔のシュートを高木駿ががっちりキャッチ。67分にも右からのクロスを入れられ呉屋に強烈なシュートを許すが、今度はクロスバーに当たって助けられた。ほっとしたのも束の間、70分には右ショートCKから北爪が頭でそらして柏の3点目。一気に崩れるように点差を広げられた。

 

最後に一矢報いた1トップ・渡

勢いづいた柏が積極的なポジショニングを取るようになったことを受け、松本は星と連係しながら左サイドからの崩しに挑む。76分にはペナルティーエリアで縦パスを受けた渡が反転シュートしポストに嫌われるが、その直前にオフサイド判定。79分には柏。鵜木郁哉のボレーシュートがこれもポストに弾かれる。
 
畳み掛けてくる柏の攻撃をしのぎながら大分も攻め返すが、88分、佐藤和弘のFKに頭で合わせた渡のシュートは枠の上。もどかしいままに試合はアディショナルタイムへと突入した。
 
意地のゴールが生まれたのは90+1分。小塚とパス交換しながら攻め上がってきた井上は相手に体を張られ倒されたが、こぼれたボールを拾った渡が死にものぐるいでシュートを放ち、最後の最後に一矢を報いた。
 
レギュレーション的には消化試合ながら、やはり敗れたことは悔しい。だが、トップチームデビューした屋敷と弓場が落ち着いてプレーしていたこと、屋敷が公式戦・ルヴァンカップのチーム最年少出場記録を塗り替えたことは大きな収穫だった。
 
そしてこれまではシャドーで献身的に守備に追われていた渡が1トップで躍動したことも今後への希望につながったと言える。渡らしく剥き出しになったゴールへの執着心は現在のチームに勢いをもたらしそうだ。中盤から周囲と連係しながら渡のフィニッシュをお膳立てする小塚の真骨頂も光った。松本、星、高山、高木らのプレーにも安定感があり、特に松本は最初は右で高山、終盤は左で星との縦関係でそれぞれの役割を自身の判断に基づいて工夫していた。
 
次は中2日でリーグ第10節の横浜FM戦。過密日程と蒸し暑さに体力を削られながらも、チームの進化を求めて、戦いは続いていく。