髙澤弾で先制するもミスの連続で自滅。2戦連続4失点で4連敗に
前節に続き今節も4失点。コロナ禍による今季のイレギュラーな日程とレギュレーションの影響が、じわじわとチームを締めつけている。悪い流れを断ち切るきっかけを、なんとか見出したい。
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初先発・髙澤の先制弾炸裂
前節の終盤に得点を挙げた髙澤優也と、知念慶の得点の起点となった小出悠太が先発に名を連ねた。負傷者やコンディション不良者が相次ぐチームは、今節も残りの戦力からコンディションの良好なメンバーをピックアップし、前節から5名を入れ替えてスタートした。
今季から鹿島で指揮を執るザーゴ監督が浸透させようとしている新たなスタイルは、いまだ浸透の途上。立ち上がりの様子を見ても、未完成さが感じられる面は多々あった。今週あらためて攻守両面で戦術面を整理して臨んだ大分は、狙いどおりの試合の入りを見せる。
システムのミスマッチを突いて攻める中でセカンドボールを拾った島川俊郎が、この試合にぶっつけ本番でシャドーで出場した髙澤へとパスを送ると、フリーになっていた髙澤はおもむろに左足を振り抜いた。鹿島守備陣も意表を突かれたのだろうか。ボールは相手守護神・曽ヶ端準から逃げるような軌道を描いてネットを揺らし、5分、幸先よく先制した。
だが、チームは折角のいい流れをミスから手放してしまう。10分には島川のバックパスが裏のスペースに流れてしまい、それをエヴェラウドに拾われて落ち着いて流し込まれ同点に。さらに40分には高木駿が浮き球のパスに反応した和泉竜司を倒してしまい、PKを献上。エヴェラウドに沈められ逆転を許した。
鹿島の修正に遭い次第に圧倒される
立ち上がりには狙いどおりギャップを使って攻めることが出来ていたのだが、間もなく鹿島が守備を修正する。ボランチを一枚落として枚数を合わせると、大分の狙いを潰して来た。同時にレオ・シルバと三竿健斗のダブルボランチが中盤の支配率を高め、特にレオ・シルバの卓抜したボール奪取は、大分に攻撃の形を作らせてくれない。
片野坂知宏監督は後半頭から、知念に代えて渡大生を投入し、1トップに配置する。53分には長谷川雄志の右CKからゴール前が混戦となり、島川が押し込むがオフサイド。3失点目はその2分後だった。遠藤康の縦パスを土居聖真が落とし、体勢を崩しかけながらもエヴェラウドに押し込まれてしまった。
2点ビハインドになった大分は61分、疲労した島川をベンチに下げて佐藤和弘。長谷川をアンカーに、2列目に佐藤と田中達也、最前線に渡と髙澤を並べた3-5-2へとシステムを変更する。
78分、香川勇気の絶妙なクロスに走り込んだ佐藤が頭で合わせるが枠の上。片野坂監督は田中を小林成豪へと交代した。負傷からの復帰後、これもぶっつけ本番での実戦となる。小林成豪が髙澤と2トップを組み、渡は2列目に下りた。あきらめずに追撃は続くが、なかなか得点の匂いはしない。
鹿島は84分、遠藤を白崎凌兵へ、さらに88分にはレオ・シルバを永木亮太へとチェンジ。アディショナルタイムには土居とエヴェラウドを荒木遼太郎と伊藤翔に代えて、時間を使う。
時間を使うだけでなく、その交代で入った選手たちが結果を出してしまうところに鹿島の底力を感じた。広瀬陸斗のクロスを荒木が頭でそらし、白崎のシュートは至近距離で高木が弾いたが、そのこぼれ球から伊藤翔が4点目。地力の差を見せつけられるように、試合は1-4で幕を閉じた。
厳しい日程とレギュレーションの中で
3連敗で終えた2度目の3連戦からの立て直しを図り、攻守にやるべきことを整理したことで、試合の入りには成功したのだが、自らその流れを手放すようなミスの連続で、チームは悪い流れを抜け出せずにいる。
通常ならあまり起こり得ないようなミスの連発には、やはり夏場の連戦による疲労が影響しているのだろうか。どのチームも条件は同じだが、主導権を持って戦うほうが、往々にして疲労の度合は軽い。精神的にも負荷は低いはずで、結果がついてくればさらに次に向かう力も湧いてきやすい。
コンディション不良で離脱している戦力が多くなれば、元気なメンバーにもそのぶん負荷がかかる。負のスパイラルに陥るとそこから抜け出すのはどんどん難しくなる。選手層の厚いチームのほうが、自ずと有利になっていく。徐々に順位に表れはじめているように、今季はそういう日程とレギュレーションだ。
よくない流れを断ち切るのは自分たちの力しかない。特に、ここ3試合で合計11失点の守備の修正は急務だ。8月はルヴァンカップと合わせて8試合。未曾有の過酷な夏を、このチームがどう戦っていくかを、いまは息を詰めて見守るしかない。