課題を突きつけられたラストゲーム。9位フィニッシュを来季につなげたい
立ち上がりから相手の力量に圧倒され、得点を奪うことが出来なかった。かろうじて9位フィニッシュで一桁順位は達成したが、今季2度目の連敗でシーズンを終え、現実としての現在地が浮き彫りになった。
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緻密な大分対策と相手の力量に押される
試合は立ち上がりから、これまでのロティーナ監督との対戦とは異なる様相を呈した。いつもは膠着しがちなマッチアップだが、今節は中盤で躍動するソウザのゲームメイクがめまぐるしいトランジションを生み出していったのではないかと思われる。
2分にはソウザにFKで直接、3分には水沼宏太にヘディングシュートでそれぞれゴールを脅かされたが、いずれも高木駿のファインセーブでしのぐ。対するこちらも6分、三平和司のインターセプトから反撃し最後は田中達也がクロスを送るが、キム・ジンヒョンに掻き出された。
序盤から三平の気迫あふれる走りはすさまじく、攻守に貢献していたが、そこから好機を築いてもフィニッシュやその手前で潰されてしまう。14分には相手守備陣のミスを突いてオナイウ阿道がエリア内で好機を迎えたが、体を張る相手に阻まれた。16分、22分に高木がC大阪の決定機を防ぎ、23分にはこぼれ球を拾ったオナイウがシュートするがマテイ・ヨニッチにブロックされる。
大分の右サイドを牽制するように柿谷曜一朗が左に流れ、清武弘嗣とともにポゼッションすることで岩田智輝や松本怜の攻撃を阻んだ。逆サイドの田中は水沼と松田陸に挟まれてスペースを消され、それでも強気に突破を繰り返したが苦しい態勢からのプレーは精度を欠いた。
3-5-2へのシステム変更も奏功せず
全体に後手に回りがちな展開の中で、主審の笛も厳しかった。鈴木義宜がクサビを潰しに出るたびにホイッスルが鳴り、ファウル判定を受けてしまう。29分、小塚がゴール正面で清武を倒すと、ソウザに豪快なFKを沈められ先制点を奪われた。
41分には小塚の浮き球スルーパスに抜け出したオナイウが、前に出てきたキム・ジンヒョンの背後を突いてループシュートで狙うが、惜しくも枠の上。前半アディショナルタイムにはまたも三平の高い位置でのパスカットから攻撃に転じるが、オナイウのシュートは丸橋祐介にブロックされた。
なかなか相手を上回れず、片野坂知宏監督は後半頭からシステムを3-5-2へと変更する。負傷明けの小林裕紀をベンチに下げてティティパンを入れ中盤を厚くするとともに、前線にオナイウと三平を並べてボールの収まりを改善しようと試みた。
その策も虚しく、50分には松田に高い位置でインターセプトされ、多人数の関わる攻撃で崩された末に柿谷の落としを奥埜博亮に決められて、2点差へと広げられる。
シーズンラストに突きつけられた課題
次第にオープンな展開になってきた66分、指揮官は三平に代えて後藤優介。だが、それも見透かしていたように、2点リードしたC大阪は自陣でブロックを構え裏のスペースを消し、大分からボールを奪うと迫力あるカウンターで攻め返す。そのピンチを幾度となく高木のセーブで乗り切りながらクロスやCKで追撃するが、さすがリーグ最少失点のC大阪の守備は堅く、どうにも得点の匂いがしない。
77分、C大阪は清武に代えて田中亜土夢。83分には大分が小塚を下げ嶋田慎太郎を送り込んだ。すると87分、オナイウのプレッシングからのこぼれ球を拾った嶋田が相手の寄せてくる前に素早くシュート。1点を返したかと思われたが、無念にもポストを叩いた。
C大阪は90分にソウザをベンチに下げ、奥埜をボランチに下げて鈴木孝司をトップに入れる。さらにアディショナルタイムには柿谷を片山瑛一に代え、守備を固めながら時間を使い切った。
4位・川崎Fが札幌に勝利したためC大阪のACL出場の可能性は断たれたが、大分にとってはただ完敗というだけの印象が残った試合。前節の仙台戦に続く0-2での敗戦で、シーズン最後に、今季2度目の連敗という苦杯を舐めた。
「なんとか丸谷をピッチに送り出せるゲームにしたかった」と指揮官は、今季かぎりで現役引退を表明した教え子に花道を作ってやれなかったことを悔やみ、この試合で突きつけられた課題を噛み締めた。ミックスゾーンの選手たちも、長いシーズンを闘い終えてほっとした表情は見せたものの、やはり晴れやかな表情ではなかった。
12勝11分11敗の勝点47、35得点35失点で得失点差0、最終順位は9位。チームはファンサービスを終えて解団式を行い、オフに入った。ここからチームも選手自身も、来季に向けての準備をスタートすることになる。