TORITENトリテン

試合レポート

準備の成果は見えつつもゴール前を固められて得点できず、無念の敗戦

 

これまで出場を重ねてきたメンバー2人を欠きながらも、3-5-2システムで自分たちの形は作れていた試合。ただ、意表を突くデザインプレーで先制点を奪った仙台にペースを握られてしまう形となった。

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強化指定選手・羽田を左CBに初起用

 
今季最後のアウェイ戦は極寒のユアテックスタジアム仙台。累積警告により三竿雄斗が出場停止であることに加え、小林裕紀もコンディション不良で帯同せず。ビルドアップにおける存在感の大きな二人の不在に対し、片野坂知宏監督は強化指定選手の羽田健人と、第25節A松本戦以来の先発となるティティパンを起用。羽田はそのまま左CBに入り、中盤は長谷川雄志をアンカーにティティパンと小塚和季を並べた3-5-2のフォーメーションでスタートした。
 
スタートからボールを握ったのは大分。ティティパンが攻守に豊富な運動量を発揮し、小塚と長谷川がバランスを取りながらボールを受けると、サイドを使いながら攻める。右は松本怜と岩田智輝の連係で崩し、左は田中達也の単騎突破と羽田のクサビで攻略を図った。
 
仙台は2トップの一角で出場した石原直樹が、パスの出し手である長谷川をマーク。それに気づいた長谷川は自ら囮になりつつ小塚をフリーにさせた。大分が3-4-2-1の布陣で来ることを想定し、シャドーへの配球をケアしようとしていた仙台にとっては、3-5-2に対する守備のハメ方に迷いも生じたかもしれない。序盤はオナイウが相手ボランチの間に下りて縦パスを受ける場面が何度も見られた。
 
丁寧にボールを動かす大分に対し、守りながらボールを引っ掛けてカウンターを狙う仙台という図式。11分には田中のクロスが相手GKヤクブ・スウォビィクにクリアされ、14分には田中のクロスにオナイウ阿道が飛び込むがゴールならず。仙台も道渕諒平のミドルシュートやFKからのシマオ・マテのヘディングシュートなどで反撃するが、精度を欠いた。
 

先制されてさらに守備を固められる

 
均衡が破れたのは26分。仙台が獲得した右CKを見事なデザインプレーで沈めた。キッカーの永戸勝也が密集の外に送ったキックに走りこんできた道渕がシュート。ボールは三平和司に当たってコースが変わる不運もありながら、仙台の先制弾となった。
 
勢いづく仙台はカウンターから好機を量産。31分にも永戸がミドルシュート。これは高木駿がキャッチした。42分には関口訓充も中距離からゴールを狙うが枠の外。仙台のカウンターは勢いにあふれ、対応が後手に回ってファウルを取られる場面も増えた。
 
1点ビハインドで折り返した49分、右に流れたオナイウのクロスに三平が頭で合わせたが、枠をとらえきれず。リードしている仙台はよりゴール前の守備を固くし、大分のサイド攻撃を阻み続けた。相手が引いていることもありボールは動かせるし、いろいろな高さからのクロスもよく入るのだが、いずれも中で跳ね返されてしまい、攻め手を欠く印象に終始した。
 
粘り強く攻略する大分からボールを奪ってカウンターで追加点を狙う仙台の目論見は、61分に追加点へと結実する。自陣でパスカットしたボールを右に展開すると、蜂須賀孝治がクロス。鈴木義宜も懸命に対応したが、長沢駿のほうが一瞬早く足を出し、2点目を流し込んだ。
 

サイドを起点にした懸命の追撃も実ることなく

 
追う大分は65分、ティティパンに代えて小林成豪を投入。小塚と長谷川のダブルボランチに三平と小林成豪のシャドー、オナイウ1トップの3-4-2-1へとフォーメーションを変更した。72分には左WBを田中から星雄次へとチェンジ。直後に長谷川が決定機を迎えミドルシュートを放ったが、枠の左に逸れた。
 
なんとかこじ開けたい思いから、片野坂知宏監督は83分、羽田に代えて嶋田慎太郎を送り込む。松本怜が左CBに回り、嶋田は右WBに入った。嶋田の仕掛けに対応する狙いもあってか、88分、仙台は左SHを関口から梁勇基に交代。90分には石原を下げ大岩一貴を投入して5バックシステムで守備を固め、4分のアディショナルタイムも大分の追撃を完封した。
 
仙台の1点目のCKからのデザインプレーは、大分のゾーンディフェンスの穴を突くスカウティングの賜物。2点目は大分のパスを網にかけたところからのカウンター。守備では前線の石原にタスクを与えた他、ゴール前の固め方についても大分対策を徹底していたようだ。渡邉晋監督は試合後、「勝負に徹して非常にハードワークし、タフにやり切ってくれた」と選手たちを称える一方で、ポゼッションできなかったことに対しては複雑な感情ものぞかせた。
 
一方の片野坂監督はひたすら、得点できなかったことを悔しがった。三平も「いいクロスは入っていた」と逃した決定機を悔やんだ。
 
内容は悪くないのに、何もさせてもらえなかったイメージが残った一戦。来週の最終節も、堅守のC大阪との対戦だ。目標勝点の50に届くためには、勝利するのみとなる。