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試合レポート

スタイルをぶつけ合った好ゲーム。ひとつ多く決定機を仕留め逆転勝利

 

流動的な相手に集中して対応しながら、中盤のミスマッチを突いてコンビネーションで攻略。それぞれのスタイルをぶつけ合った強豪との対決は、互いに多くの好機を築き、いくつかの決定機を外し合った中で、ひとつ多くそれを仕留めた大分の逆転勝利に終わった。

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緊迫した中盤の駆け引きから一瞬の隙を突く

 
G大阪は2-0で完勝した前節・湘南戦と同じメンバーによる3-5-2でスタート。大分の3-4-2-1システムと対峙したとき中盤にギャップが生まれ、そこでどちらが上回れるかが、この試合の最大の見どころとなっていた。片野坂知宏監督はそれにあたり、2シャドーに駆け引き上手な三平和司と小塚和季を配置。そこにプレスバックしては攻撃に転じる井手口陽介と矢島慎也には、小林裕紀と長谷川雄志のダブルボランチをぶつけた。今夏、G大阪から大分へ電撃移籍した田中達也はボールに触るたびにG大阪サポーターから(それは本当に勤勉なまでの)大ブーイングを浴びせられながら、小野瀬康介との激しいマッチアップを繰り広げた。
 
立ち上がりにいきなり、意表を突く宇佐美貴史のシュートに脅かされたが、クロスバーに当たって命拾い。その後も攻守に迫力あふれるG大阪に押されがちな序盤となる。8分には三平のプレスからこぼれたボールを拾い長谷川がスルーパス。抜け出した三平がシュートを放ったが、東口順昭に阻まれた。
 
11分、G大阪の見事な崩しにより先制点を奪われる。遠藤保仁の縦パスを矢島がワンタッチでつなぎ、間で受けたアデミウソンがマークを引きつける間に、宇佐美が死角から抜け出して左足でゴールに突き刺した。
 
その後も試合はG大阪のペースで進むが、39分、G大阪の一瞬の隙を突いて同点に追いつく。縦パスを受けにいった小塚が倒されてFKを得ると、小塚はすかさず小さくボールに触れてリスタート。岩田智輝が縦に差し込んで一旦オナイウ阿道に預け、猛然とスペースを攻め上がって速いクロス。絶妙なコース取りでニアに飛び込んだ三平が合わせ、電光石火で東口の股を抜いた。
 

激しい攻防の中で生まれた代表コンビ弾

 
42分にはアデミウソンのヘディングシュートがポストを直撃した場面もあったが、徐々に修正を施した大分は、後半、チャンスの回数を増やす。
 
50分には裏に抜け出したアデミウソンに単独で持ち込まれ、またもシュートを放たれるが、枠の上。54分にはインターセプトして自らスペースに攻め上がった岩田からの縦パスを小塚がシュートしこちらも枠の上。56分にはカウンターからアデミウソンがゴールを狙ったが、またも枠外。その直後には高木駿のフィードを三平が競り、松本怜がオナイウに送って再び三平から最後はゴール前でフリーの小塚へとつないで、最後は東口にセーブされた。57分には逆襲されアデミウソンが抜け出そうとしたところを、岩田が対応。
 
激しいトランジションの応酬で互いにフィニッシュにまで至りながら追加点を奪えない50分台を乗り越え、ついに大分が、松本のクロスから得た右CKで2点目をものにする。小塚の高く弧を描いたキックを中央でオナイウが競ると、ボールはファーに位置取っていた岩田のもとへ。落ち着いたトラップからの反転シュートはニアにねじ込まれ、殊勲の逆転弾となった。A代表とU-22代表コンビでの得点に、スタンドのボルテージも上昇する。
 

攻守にバランスを保ちつつクローズ

 
ビハインドになったG大阪は即座に、矢島に代えて元スペイン代表のマルケル・スサエタを投入。スサエタはギャップを突きながらボールを引き出して攻めるが、鈴木義宜のラインコントロールによりコンパクトさを保つ大分の守備組織を崩すには至らない。逆にスペースに巧みに顔を出す小塚を捕まえきれず、74分には岩田、松本、オナイウ、三平が絡んでまたも小塚にフリーでのシュートチャンス。だが、ボールは東口にがっちりとキャッチされた。
 
宮本恒靖監督はさらに75分、井手口をパトリックに交代。パトリックはアデミウソンと並び最前線に入り、宇佐美が一列下がる形に。長身ターゲットが増えてのCKは脅威だったが、高木を中心とした対応でこれをしのぐ。流れの中では小林裕紀が遠藤を牽制する場面が増え、大分の守備が整理されたことをうかがわせた。
 
この状況を打開できないG大阪は82分、菅沼駿哉を下げて福田湧矢を投入。4バックシステムに変更し、追撃態勢を強めた。同時に大分は、小塚に代えて高山薫。高山が左WBに入り、田中がシャドーへと配置転換する。押し込まれる時間帯の85分、片野坂監督は長谷川を島川俊郎に、三平を後藤優介に二枚替えし、攻守にバランスを保った。
 
86分には持ち上がった岩田のシュートが東口を強襲。87分には松本のクロスからオナイウが頭で合わせる。惜しくも東口に阻まれたが、最後まで攻撃の手を緩めずG大阪の時間を削った。この時間帯まで運動量を落とさない小林裕の落ち着きがそれを支えた。89分にはスサエタに抜け出されるが、三竿がスライディングでクロスを掻き出す。G大阪には疲労と焦りが見え、その攻撃は大味になっていた。それでも十分に脅威だったが、途中出場のメンバーも機能し、オナイウのストロングポイントを生かしながらアディショナルタイム3分を使い切ってタイムアップ。
 
組織で意思統一し、粘り強く戦って得た勝利。勝点を46へと伸ばし、7位へと浮上。一桁順位でのフィニッシュを目指し、チームは残り3試合、さらなる進撃を続ける。
 

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