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試合レポート

シュート14本も最後の砦は破れず。好材料も含め、次につなげなくてはならない勝点1

 

明治安田J1第25節A松本戦は、評価の難しい一戦になった。ここ最近の試合に比べ攻撃のアグレッシブさが増してシュートも14本放ったが、スコアレスドローの勝点1止まり。選手たちは試合後、悔しそうな表情を隠せなかった。

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細やかな工夫に個人技も交えた攻略を披露

 
ビルドアップする大分に対し、松本は前からプレッシャーをかけて来るのか、それとも前回対戦のようにブロックを固めてスペースを消してくるのか。前節の浦和戦で途中から3-5-2にシステム変更して逆転勝利を収めたこともあり、フォーメーションも読みづらかった。蓋を開けてみれば3-4-2-1。降格圏の17位に沈む相手は、いつも以上に守備を固める戦い方を選択してきた。出場停止のパウリーニョの代わりには宮阪政樹が入っており、精度の高いプレースキックからの得点も狙ってきそうだった。
 
片野坂知宏監督は出方のわからない松本に対し、ベンチ入り18人の他に、長谷川雄志も帯同させた。前田凌佑がベンチ外となり、ここまで全試合に先発してきた小塚和季が初のベンチスタート。ダブルボランチは小林裕紀と島川俊郎の組み合わせだ。また、左膝軟骨損傷で全治4ヶ月だった伊佐耕平が、第3節・磐田戦以来のメンバー入りを果たした。
 
立ち上がりはボールを持たされる展開になるかとも思われたが、この試合でのチームは引いた相手に対し、積極的なポジショニングを取った。ラインをコンパクトに保ち、数的優位を生み出す。小林裕が最終ラインに落ちてビルドアップする際に、島川は相手のブロックの間に位置取って縦パスのコースを作った。シャドーの嶋田慎太郎も最終ライン付近まで下りてきてボールを受けるなど流動的にギャップを生み出し、嶋田や田中達也の得意のドリブルによる個人技も加え、松本の守備を攻略していく。
 

前後半の立ち上がりにはピンチもあったが

 
立ち上がりは松本も攻め、12分には田中隼磨のクロスを高木駿がパンチングクリアしたこぼれ球を、好調の高橋諒がシュート。だが、これはわずかに枠の上。
 
25分には田中達也がドリブルで相手数人を抜き去りながらカットインしてゴールを狙うが、シュートの勢いが弱く守田達弥にキャッチされる。30分にはインを突いた三竿雄斗のパスを収めてオナイウ阿道が鋭いミドルシュートを放つが、これも守田に掻き出された。
 
後半立ち上がりの松本は勢いよくハイプレスをかけて大分を押し込む。48分にはバックパスのミスを拾われて田中隼磨にシュートを許した。運良くクロスバーで跳ね返って事なきを得たが、失点していればそれが決勝点にもなりかねない場面だった。そのこぼれ球をセルジーニョがつないでからの高橋のシュートは枠の左。
 
その時間帯をしのぐとまたこちらがボールを握って攻める展開が続いた。特に右サイドの連係で細やかに崩す場面は見せ場を多く作る。60分には岩田智輝が小林裕にボールを預けながら相手ブロックの中に進入し、その岩田とのワンツーで松本怜がクロス。ティティパンが飛び込んだがヘディングシュートは枠の上に逸れた。
 

最後まで攻め続けるも守田の砦を破れず

 
71分、松本は永井龍を町田也真人にチェンジ。町田はそのままシャドーに入る。同時に大分も足をつらせた島川を下げて小塚をボランチの一角に投入した。
 
次第に松本の守備陣に疲労が見えはじめた77分、片野坂監督は嶋田に代えて伊佐をピッチに送り込む。伊佐が1トップに入り、オナイウは一列下がってシャドーへ。伊佐は復帰戦とは思えないほどの躍動感でボールを収め起点を作った。
 
82分、小林裕のパスカット即浮き球のパスを伊佐が競り、それを拾ったティティパンがシュートするがわずかに枠の右。86分にはティティパンに代えて三平和司を投入し、最後に勝負を懸ける。93分には左サイドをドリブルで切り崩した田中達也が中に攻め上がっていた三竿に託すと、三竿は自ら持ち出してシュート。だが、これも守田の壁を越えられない。94分には松本怜のクロスから伊佐が相手を引き連れてニアに飛び込み、中に三平が走り込んだが相手に引っ張られながらもつれて倒れ合わせられず。すわPKかというシーンだったが、大分にとっては無情にもそのタイミングで長いホイッスルが響いた。
 
ブロックを構えた相手に対し、選手たちは細やかにポジションチェンジしたりブロックの中に食い込んで縦パスを受けたり個で仕掛けたりタメを作って引きつけながら連係で崩したりと、工夫のかぎりを尽くしていた。その成果が14というシュート数につながったことは確かなのだが、やはり試合後、選手たちの表情は勝ちきれなかった無念さに満ちていた。
 
この敵地での勝点1をどう捉えるかは評価が難しい。9月の大分市営陸上競技場での湘南戦と磐田戦が、上に行くための大きな山場となる。ただ、伊佐の良好な状態での復帰はかなり大きな明るい要素だ。ここ最近の得点力不足の解決につながることに期待したい。