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試合レポート

4-1で2回戦突破も指揮官の表情は緩まず。まだまだ高めなくてはならない

 

前後を中2日でリーグ戦に挟まれての3連戦。天皇杯2回戦H鳥取戦はメンバーを大幅に入れ替えて臨み、得点するごとに選手を交代させコンディション調整を重視した。リーグ戦での“控え組”は結果を出したが、指揮官の表情が緩むことはなかった。

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立ち上がりから決定機を築き30分に先制

 
明治安田J1第17節H浦和戦から中2日、さらに同第18節A横浜FM戦まで中2日。対する鳥取も、明治安田J3第14節HFC東京23戦から中3日、第15節H沼津戦まで中2日ということで、両軍ともに大幅にメンバーを入れ替え、ベンチメンバーも大分が4人、鳥取は5人という状態でスタートした。
 
3-4-2-1同士のミラーゲーム。鳥取は高い位置でブロックを構えながら、大分のビルドアップの隙を狙って前線からプレスをかける。全体がコンパクトに保たれ、よくオーガナイズされている印象だったが、序盤からその高い最終ラインの背後を突いて大分が好機を築く。6分には星雄次のパスに抜け出したオナイウ阿道がGKとの1対1を迎えるが、市川暉記に正面でキャッチされた。14分にも相手陣内で細かくボールをつないで守備網を崩すが、伊藤涼太郎のシュートはミートしきれず。18分には星が右サイドから送ったシュート性のアーリークロスも市川にセーブされた。
 
このまま決定機を逃し続ければ嫌な流れになりそうだった30分、ようやくスコアが動く。市川がビルドアップしようとボランチ・世瀬啓人にパスを出したところへ小手川宏基が猛チャージ。ボールを奪って走り込んできたオナイウに出すと、オナイウはエリア内に進入し三平和司にパス。GKとDF3人に囲まれながら三平が流し込み、先制点を奪った。
 
鳥取は相手をサイドに追いやる守備で奪うとそのまま人数をかけてサイドから崩そうとするが、大分の落ち着いた対応に遭い攻撃がなかなか形にならず。31分には見事なターンから那須甚有が抜け出しシュートを放つが、ポープ・ウィリアムにセーブされた。
 

戦力をやりくりしながら得点を重ねる

 
リードしてすぐの35分、片野坂知宏監督は島川俊郎をベンチに下げティティパンを投入しボランチに配置。丸谷拓也を最終ラインの真ん中に下げ、庄司朋乃也を右CBへと移した。さらに36分、小手川の右CKに刀根亮輔がダイレクトで合わせて見事な2点目を挙げると、40分にオナイウに代えて後藤優介を投入。三平を1トップ、後藤をシャドーに据えた。
 
2-0で折り返した後半、落ち着いてポゼッションする大分に対し追撃のギアを上げる鳥取は、球際激しい守備を仕掛けて奪うとこちらもボールを大事にしながら攻め返す。鳥取がアタッキングサードまで運ぶ場面が増えるが、決定的な場面は作れない。
 
鳥取は67分、右WBを上松瑛から荒木駿汰へと交代して攻勢に出たが、前がかりになった状態でロスト。攻め返されて69分、星のシュートがポストにはじかれたところを三平が押し込み、大分が3点目を挙げた。すると71分、片野坂監督は35分に投入したティティパンをベンチへと下げ、高畑奎汰を投入。丸谷を再びボランチへと戻し、福森直也を最終ラインに下げて高畑を左WBに置いた。鳥取は72分、林誠道に代えてユリを送り込む。どちらも週末のリーグ戦を見越して戦力のコンディションに配慮しつつ、戦術的にも攻略しようとする采配合戦となった。
 
81分、アドリエルのミドルシュートはポープが掻き出したが、その1分後、ヴィートル・ガブリエルがドリブルでバイタルエリアを切り裂き、自ら豪快なシュートで1点を返す。目の覚めるような個人技での得点直後に、鳥取は左WBの石井光輝を石上将馬に交代した。
 

技あり間接FKから後藤の4点目

 
鳥取はなおも追撃するが、大分も譲らない。アディショナルタイム3分が表示された後、市川のバックパスキャッチにより大分が間接FKのチャンスを得た。キッカーの位置には小手川と伊藤が並び立ち、壁の裏では三平が市川の視界を遮るマリーシア。小手川が狡猾なフェイントでタイミングを外して小さく出し伊藤がクロスを送ると、後藤がダイビングヘッドで4点目を奪った。
 
終わってみれば4-1。相手の変化を見ながらボールを動かすことにもトライして、リーグ戦では“控え組”に回ることが多いメンバーたちが結果を出した。
 
だが、指揮官の表情が緩むことはなかった。序盤の決定機を仕留め切れなかったこと、出場時間が長くなるにつれてボールロストが増えたこと、ベンチメンバー4人のうちフィールドプレーヤー3人という戦力をやりくりしながらの戦いを強いられたのは、90分フルに強度を維持できないからだ。ちらほらと負傷者も出ており、折り返し後のリーグ戦をどう戦うかが悩ましい。だからこそ、この鳥取戦に出場したメンバーに、圧倒的な強度を示してほしかったと片野坂監督は試合後に厳しい表情で語った。
 
ともあれ、天皇杯は3回戦にコマを進めた。試合終了後にヴィジョンに表示された対戦相手は、鹿屋体育大。名古屋を3-0で打ち負かして、九州大学リーグの雄が上がってきた。他会場ではジャイアントキリングが多発。リーグ戦への心理的な影響もさまざまに及ぶだろう。強い気持ちで、全員の力で目標達成へと向かいたい。
 

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