生じた狂いを立て直せずあちこちで裏目に。悔しい敗退から早い立て直しを
勝てば自力でグループステージ突破を決めることができた試合。立ち上がりにミスからの失点やアクシデントが相次ぐと、そこから立て直せずにいろいろなところが裏目に出て完敗した。指揮官は選手たちにメンタル的な強さを求める。
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早々の失点にアクシデント。波乱含みの立ち上がり
試合後、片野坂知宏監督は非常に悔しそうだった。グループステージ敗退となったことももちろんだが、それ以上に、チャレンジの姿勢が足りず、そこからの収穫が乏しくなったことについて「折角C大阪さんの力のある選手と対戦できるのに…もったいない」と嘆いた。
立ち上がりから波乱の展開ではあった。いきなりビルドアップのパスのズレを拾われて舩木翔に縦パスを入れられ、それに対応した岡野洵が高木俊幸を倒しFKを献上。このFKをソウザが直接狙い、壁を越えた弾道はポープ・ウィリアムを強襲してゴールへと吸い込まれた。
早い時間の失点で展開がどうなるかと思った矢先の10分、今度は三平和司が負傷するアクシデント。80分を残して誰と交代させるかを悩んだ指揮官は、長谷川雄志をボランチに入れ、ティティパンをシャドーに上げた。
早々に失点したことでミスを恐れたように、その後はチーム全体がアグレッシブさを欠いた。そうなると慎重さは臆病さへ、警戒は消極性へとすり替わってしまう。いつものテンポよく動かす勢いが出ず、早い出足の相手にカットされたり潰されたり、寄せられてミスしたりとなかなかペースがつかめない。逆にC大阪は先手を取り、距離感よくボールを動かした。
28分には失い方が悪くショートカウンターで大ピンチに。柿谷曜一朗のスルーパスに抜け出した田中亜土夢にシュートを許すが、岡野の懸命なスライディングもあり、ボールはわずかに枠の左へ逸れた。
前半終了間際には福森直也のフィードがクリアされたこぼれ球を伊藤涼太郎がシュートするが、枠の上。わずかなチャンスも逃したものの、0-1で折り返したことで後半の反撃が期待された。
勝負に出たところでスーパーゴールによる2失点目
ハーフタイムに修正の指示を受けるとともに、アグレッシブに戦おうと指揮官に背を押されたチームは、後半立ち上がりには積極的な攻撃姿勢を見せる。48分には高木俊幸にエリア内からシュートを打たれてヒヤリとするが、これはポープ・ウィリアムががっちりとキャッチして事なきを得た。
後藤優介がロングフィードに抜け出し、丸谷拓也がミドルシュートを放つなど、チームとしての連動が見られるようになる。特に前半途中から左WBに移った高山薫が単騎突破によりチャンスを築く場面が増えると、敵将・ロティーナは即座にそれに対応。57分に右SHの福満隆貴を水沼宏太に代え、守備を強化した。
62分には後藤が抜け出して絶好機を迎える。だが、相手守護神・圍謙太朗の見事な判断による飛び出しで、紙一重の差でクリアされてしまう。
攻撃の形が作れはじめたことで、片野坂監督は勝負に出た。70分、伊藤に代えて藤本憲明、福森に代えて高畑奎汰という二枚替え。藤本がトップに入り、後藤がシャドーに下りて反撃体制を取った。Cグループ、もうひとつの会場では後半立ち上がりに名古屋が先制し、すぐに神戸が追いついている。名古屋と神戸がドローで終われば、少なくとも同点にするだけでグループステージ突破がかなう。週末にはリーグ川崎F戦が控えているが、ここはプレーオフステージ進出のためにパワーをかけたい場面だ。
だが、この日はこれさえも裏目に出てしまった。その交代からプレーに戻ろうとしていたわずかな隙を、ソウザに突かれた。71分、ハーフウェイラインを少し越えた右サイドから、目の覚めるようなロングシュート。これにはポープも意表を突かれ、長い手を懸命に伸ばしたが届かずに、ボールはゴール右隅に吸い込まれた。時空の間隙を貫いたようなスーパーゴールだった。
そして時を同じくする71分、名古屋が追加点。選手たちはもちろん他会場の経過を知るよしもないが、いずれにしても勝たなくてはならない。だが、厳しい展開の中で反撃に出ようとしたタイミングで個の力量差を見せつけられて失点し、チームはメンタル的にさらに追い込まれた。
リーグ戦に向けて早急な立て直しを
79分、C大阪は高木俊幸に代えて山田寛人。84分にはソウザを下げて藤田直之を入れ守備を固めた。それでもチームは最後まで攻める姿勢を保つ。サイドからの崩しを図り、クロスを入れるが、ゴール前を固める相手にことごとく跳ね返されてしまう。長谷川のミドルシュートも阻まれた。アディショナルタイム4分まで攻めきったが,0-2のままスコアを動かすことはできなかった。
この結果をもって、ルヴァンカップはグループリーグ敗退が決定。公式戦敗戦は9試合ぶりだった。
本人としても不本意なプレーを散発した岩田は「負け方が悪かった」と厳しい表情。「納得行く負け方なら仕方ないと思えるが、今日は納得が行かない」と悔しさを全開にした。
相手との個々の力量差もあり、アクシデントもあった中で、運のなさにも足を引っ張られた形となった。だが、片野坂監督は試合後、選手たちにリバウンド・メンタリティーを強く求めた。
「メンタル的にも「なにくそ」とか「やってやる」といったものがなくては…。外から言われてやるのではなく、自分たちから湧き出るものが大事だと思うので、そういうメンタル的な強さを学んでいかなくてはならないし、そういうものがないと、これをひっくり返して勝点3を取るというのは本当に至難の業になってくる」
中3日で迎える明治安田J1第13節H川崎F戦を皮切りに、アウェイFC東京戦、ホーム名古屋戦と、上位との対戦が続く。J1残留のためにも、ここでも少しでも勝点を拾っておかなくてはならない。