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試合レポート

勝たなくてはならなかった試合。それでも、成長のしるしも見えた勝点1

 

前回対戦より成長した戦いぶりは示せた。ただ、勝つべき試合を勝ちきれなかったことは悔やまれる。ルヴァンカップ第4節H名古屋戦は、激しい攻め合いの末、2-2のドローに終わった。

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スペクタクルな名古屋に押し込まれた立ち上がり

 
今節のフォーメーションは3-5-2。ハイポテンシャルなプレーヤーたちがバイタルエリアで中央に人数をかけて崩しにくる名古屋に対応するために、アンカー丸谷拓也、その左右にティティパンと小手川宏基を配置したトリプルボランチで臨んだ。2トップには三平和司と後藤優介。名古屋のハイライン裏への抜け出しに期待できる組み合わせだ。また、左WBでは三竿雄斗が移籍後初先発を果たした。
 
一方の名古屋は、これまでのルヴァンカップとは最終ラインのメンバーも並びも異なるスタート。ベンチメンバーは5人で、うち3人がDFという偏った編成だった。
 
立ち上がりから主導権を握ったのは名古屋。下がって受ける杉森考起が軸となって組み立てながら、左右から中に切れ込んでくるメンバーも含めてスペクタクルな攻撃を仕掛けてくる。大分守備陣は時折、剥がされる場面もありながら粘り強く対応するが、そこから与えたセットプレーから先制点を献上。24分、前田直輝の右CKを杉森がニアで頭でそらし、最後は金井貢史が落ち着いて押し込んだ。
 

三平の今季初ゴールと相手の退場で流れが変わる

 
大分はティティパンが左手の包帯姿をものともせず獅子奮迅。攻守に頻繁にボールに絡むと守備ではボールを奪って攻撃へと切り替え、攻撃では三平との位置関係もよく相手を翻弄した。それでも苦しい時間帯だった前半終了間際、三平の頑張りからスローインのチャンス。さらにそこでFKを獲得すると45分、小手川の美しい弧を描いたキックに三平自らが高い打点で合わせ、目の覚めるようなヘディングシュートで同点弾を挙げた。2012年の三平を彷彿とさせるような、セットプレーからの今季初ゴールだった。
 
1-1で折り返した後半、片野坂知宏監督は左右のWBを入れ替え、三竿を右に、小林成豪を左に配置する。48分にはティティパンのスルーパスに反応して相手CBの間に抜け出した後藤がネットを揺らし、逆転に成功した。
 
そんな53分、名古屋にアクシデント。ティティパンに対応した千葉和彦のタックルが深くなり、この日2枚目のイエローカードを提示されて退場となる。風間八宏監督は即座に杉森を下げ、櫛引一紀を入れて最終ラインを整えると4-4-1の布陣でこの事態に対応した。数的優位となった大分へと流れが傾くと、さらに62分には榎本大輝をベンチに下げて相馬を左SHに移し、最終ラインには秋山陽介を入れて守備を整えつつ相馬の攻撃力に期待する。ここに来て、名古屋のバランスの悪いはずだったメンバー構成が、期せずしてこの展開に有利に運んだ形だ。もっとも風間監督の哲学では「ボールを持っていれば全員がFWになるし、ボールを持っていなければ全員がDFになる」のだが。
 

ホームで数的優位の利を生かせず

 
名古屋の個々の力量の高さも生きて、戦況は一進一退。それでも大分はいくつもの決定機を築くことができた。次第にスペースが生まれはじめた69分、片野坂監督は三平をオナイウ阿道に、ティティパンを小塚和季に二枚替えし、組織の強度を保つ。
 
だが、83分、名古屋に得点を許した。スローインに対応していた高畑奎汰の背後を突いた前田のシュートは、ここまで何度もファインセーブで貢献していたポープ・ウィリアムが弾き出すが、そのこぼれ球を左SHに移っていた相馬に拾われ、ゴール前に入れられて最後は赤﨑秀平。
 
指揮官は即座に三竿を岩田智輝に代えてもう一度勝ち越しを狙いにいく。最後はペナルティーエリア内に激しく攻め込んだが、名古屋の守備陣も必死で体を張り、2-2のまま長いホイッスルを聞くことになった。
 
試合後は指揮官も選手たちも「勝たなくてはならなかった試合だった」と悔しさを噛み締めた。決定機や好機でのプレー精度不足が悔やまれる。一方で、若手が並んだ3バックによるビルドアップ部分では、名古屋との前回対戦に比べてぐっと成長の様子が見て取れもした。
 
Cグループは他会場でC大阪が神戸を下したため、C大阪が首位に浮上し、名古屋、神戸、大分の順となった。グループステージ突破のためにはもう負けることはできない。次節の神戸戦もホーム。吉田孝行監督率いる豪華メンバーを、勇敢に迎え撃ちたい。
 

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