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試合レポート

G大阪の“後半勝負”に力量差を痛感させられるも、粘り強い戦いで貴重な+1

 

明治安田J1第8節AG大阪戦は、相手のゲームプランの中で上回られる時間帯が多くなりつつも、アウェイで強豪相手に貴重な勝点1をゲット。大きな力量差が明白になった一方で、可能性も感じられる一戦となった。

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G大阪が仕掛けてきた後半勝負のプラン

 
大分にとっては初めてのパナソニックスタジアム吹田。駆けつけたサポーターは1300人に上った。
 
左SBのレギュラーだった藤春廣輝の負傷離脱も影響したのかどうか。G大阪は大分戦に向け、明確なゲームプランをもって臨んできた。コンディションが万全でないアデミウソンをはじめファン・ウィジョや小野瀬康介らここまでの主力をベンチスタートとし、今季初出場の渡邉千真や藤本淳吾、田中達也の名が並ぶ。3バックとも4バックとも予想できる構成だったが、蓋を開けてみればやはり3-4-2-1。守備時に5-4のブロックでスペースを消すと、大分のサッカーを封じにかかった。
 
前からプレスに来ないG大阪に対し、大分は辛抱強くボールを回す。攻めあぐねつつもボールを保持している状況について、片野坂知宏監督は「これはこれで永遠にボールを回していればいい」と達観していた。むしろパナスタの独特な雰囲気の中、いきなり立ち上がりから激しく圧をかけられるよりも落ち着いて試合に入れたことは、大分にとってはメリットだったかもしれない。
 
互いに何度か好機を築く中、21分にG大阪にアクシデント。競り合いの際に足を痛めた渡邉が再び痛みを訴えて座り込み、担架で外へ。早々にファン・ウィジョとの交代となった。
 

後半は力量差を見せつけられた

 
G大阪のブロックに対し、長短のパスで少しずつ相手を動かしながらチャンスをうかがう。24分には島川俊郎からのアーリークロスをオナイウ阿道が狙うが東口順昭にキャッチされた。だが、その1分後、松本怜からのクロスを東口がパンチングクリアしたボールが、飛び込んできたオナイウに当たり、ゴールに吸い込まれる。多少ラッキーな形ではあったが、リードした状態で前半を戦えたことは大きかった。
 
だがそこからは一転、後半勝負と決めていたG大阪のゲームプランにのまれる。田中を下げてアデミウソンを入れ、システムを4-2-3-1に変更したG大阪は、前半の仮面を脱いでいつものG大阪に戻り牙を剥いた。激しいハイプレスで大分のビルドアップを阻み、縦パスの入ったところを狙って怒涛のように奪いにくる。ひとたびマイボールにすれば遠藤保仁が軸となってボールを出し入れしながら、アデミウソンや倉田秋らが絡んでスペクタクルな攻撃を仕掛けてきた。59分には藤本淳吾に代わって小野瀬がピッチに入り、攻勢を増す。
 
いつものように中を固めながらサイドに追いやってクロス対応に持ち込もうとするが、さすがの相手は単調にクロスを入れるような真似はしてくれず、サイドへ追いやったところから中央でフリーになった選手を使いながら分厚い攻撃を仕掛けてくる。一方的に押し込まれる展開の中、片野坂監督は小塚和季を一列下げた3-5-2に変更して相手の攻撃に対応。運にも助けられつつ、しばらくは高木駿のファインセーブ連発や守備陣のシュートブロックでしのいでいたのだが、ミスからボールを奪われると71分、遠藤のシュートをクリアしようとした鈴木義宜の足に当たったボールはゴールの中へ。こちらもアンラッキーな形で同点弾を許してしまった。
 

それでも勝点3を得る可能性もあった

 
それでも終盤になると、G大阪の勢いがやや落ちた。状況は変わらず苦しかったが、こちらも相手の背後を突いて藤本憲明にボールが入る機会が見えはじめた。76分、オナイウに代えて後藤優介。スペースが生まれた中でボールを引き出しつつ、藤本との関係を築いて得点を狙った。
 
90分に高山薫に代えて三竿雄斗を入れたのに続き、アディショナルタイムには小塚を下げて小手川宏基。疲労した小塚と交代することで守備の強度を落とさないことに加え、松本怜と岩田智輝の右サイドのコンビネーションからチャンスが生まれていることを踏まえて、小手川を絡ませることで勝点3も狙いに行った。
 
だが、両軍に追加点が生まれないままタイムアップ。G大阪は連敗を3でストップし、大分はアウェイで強豪相手に勝点1を積み上げた。
 
試合後にG大阪側の報道陣からは「大分の攻撃力を考えれば前半はもったいなかったのではないか」という質問も飛んだが、いろいろなチーム事情がある中でのG大阪のゲームプランは見事だったと思う。事故的に先制点を与えたことは誤算だったかもしれないが、後半の45分で十分に勝ちきれるという目算あってのプランだった。
 
一方で片野坂監督は「うちもそうやって対策を練られるということはだいぶリスペクトされてきたかな」と言いつつ、さらに厳しい戦いが続くであろう今後を思いやった。
 
1失点に抑え勝点1を取れてよかった試合でもあったし、終盤の好機をものに出来ていれば勝点3が取れたかもしれない試合でもある。すぐには埋められない力量差を見せつけられもした一方で、勝てる可能性が見えたとも言える。
 
2013年も、こちらが先制した後に相手がギアを上げて叩きのめされる試合が続いた。これぞJ1という、今季初の内容。このチームはこの一戦も間違いなく成長の糧へと変えていけるはずだ。