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試合レポート

システム変更が分岐点。要素満載の熱戦で流れを手繰り寄せて勝利

 

明治安田J1第7節H仙台戦は、調子を上げてきた相手との狙いのぶつけ合いでスタート。戦況を見ながらシステム変更に踏み切ったことが相手の攻撃を抑え、リードを奪って試合の流れを手繰り寄せることにつながった。

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相手の起点を潰すシステム変更がカギに

 
前節、鳥栖を3-0で下して今季リーグ戦初勝利を飾った仙台は、今節も同じメンバー。こちらは負傷離脱から復帰した島川俊郎がリーグ戦初出場初先発。前田凌佑とのダブルボランチでスタートした。
 
仙台は守備時にはブロックを組んで5-4-1の形となり、ボールを奪って攻撃に移ると3-5-2のカウンターで勢いよく攻める。大分は仙台のブロックの間で細やかにボールを動かしながらゴールに迫った。
 
23分には岩田智輝が持ち上がったボールを藤本憲明が収め、小塚和季がつないで松本怜がシュートを放つが、最後の局面までを崩すには至らず、守護神シュミット・ダニエルにキャッチされる。32分には仙台が吉尾海夏の右CKから絶好機を迎えるが、立て続けのシュートもすべて大分にブロックされて得点ならず。34分には三平和司が小塚からの縦パスを受け、自らシュート。狙い澄ました弾道はわずかに枠の左をかすめた。
 
右サイドをストロングポイントとする大分と、左サイドから組み立てる仙台が互いに潰し合っていた中で、次第に仙台のアンカー・富田晋伍がフリーで配球するようになるとともに、仙台が優勢となった。その起点を抑えたい片野坂知宏監督は、小塚を一列下げてトリプルボランチとし、藤本と三平の2トップで富田をケア。この対応で、仙台に傾いていた流れは再び均衡を取り戻した。
 
43分にはハモン・ロペスが高木駿のビルドアップのミスを高い位置で引っかけ、失点のピンチに。だが、ジャーメイン良のシュートには高木が自ら足を出し、さらにそのこぼれ球を打ったハモン・ロペスのシュートも高木が手を伸ばして防ぎ、大きな見せ場を作った。
 

岩田とオナイウの初ゴールで2点リード

 
スコアが動いたのは47分。岩田のパスを受けた三平が右サイド深くからゴール前にボールを送ると、混戦の中で相手CBがクリアミス。パスを出したあとゴール前まで駆け上がっていた岩田の足元にそれがこぼれ、そのまま流し込んで先制点を奪った。岩田にとってはJ1初ゴール。試合の立ち上がりから相手のスペースを突いては繰り返し攻め上がっていた岩田の努力が、得点として実った形だ。
 
1点を追う立場になった仙台はギアを上げて攻め込むが、2度放ったハモン・ロペスのシュートはいずれも枠の上にそれる。仙台が前がかりになったことでオープンな展開になっていた61分、大分は三平に代えてオナイウ阿道。藤本との2トップで仙台の背後で起点を作ろうと狙った。
 
自陣でブロックを構える大分をこじ開けようと、仙台は70分、ジャーメインを石原直樹に、さらに73分には兵藤慎剛を梁勇基に交代。だが、大分の守備網は崩れず、逆に77分、追加点を奪われる。オナイウが抜け出して起点となり藤本が相手を引きつけて最後にオナイウ。2トップの見事な連係が、オナイウの移籍後初ゴールを呼び込んだ。
 

攻守のバランスを保ちつつ逃げ切り成功

 
リードが広がった直後に仙台は吉尾を下げて長沢駿を入れ、前線の強度を増した。だが、焦りからか仙台の攻撃は大味になり、むしろパスの精度不足を突かれて大分にボールを持たれることになる。
 
片野坂監督は80分、疲労を訴えた星雄次に代えて高山薫を投入。フレッシュな高山は仙台の右WB蜂須賀孝治からのクロスや、大分の左サイドに流れてくるハモン・ロペスの対応にあたりながら、相手の背後へと何度も抜け出した。89分には前田凌佑に代えて小手川宏基。最後まで繊細に攻守のバランスを取り、しっかりと攻めながら相手の時間を削って2点のリードを守りきり、今季5勝目を挙げた。
 
島川の戦線復帰、岩田のJ1初ゴール、オナイウの移籍後初ゴールとトピックの多かった試合。ここまで6得点を挙げてリーグ得点ランク首位につける藤本がぴったりとマークされ激しく潰しにこられた中で、他のメンバーが得点できたことは好材料だ。
 
次の試合は20日に開催される明治安田J1第8節。大分はアウェイでG大阪と対戦する。勝利にも緩むことなく、チームは次節に向けて、万全の準備に取り掛かる。