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試合レポート

90分からの逆転劇。大幅なターンオーバーもスタイル体現にトライして勝利

 

J1第2節H松本戦から中2日で臨んだルヴァンカップ第1節HC大阪戦。5連戦の2戦目ということもあり、大幅にターンオーバーしたメンバーでスタートした。

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5-4-1のブロックをサイドから攻略

 
蓋を開けてみれば先発11人のうち7人が今季初出場、4人が初先発。3人のルーキーも揃って出場し、うち2人はこれがプロデビュー戦となった。さらに、プレシーズンに左WBでしか試していなかった小林成豪を右WBに、これまでトップでしか起用していなかったオナイウ阿道をシャドーに配置するというサプライズな布陣だ。
 
対するC大阪もCB木本恭生を除く10人をJ1第2節A名古屋戦から入れ替え。右サイドの経験しかない松田陸を左WBに置き、ブルーノ・メンデスとレアンドロ・デサバトの新外国籍選手2人が揃って先発した。
 
両軍とも慣れないポジションや組み合わせのほとんどぶっつけ本番感もあり、立ち上がりはそろりと入ったイメージ。5-4-1のブロックを構えるC大阪に対し、縦パスやスルーパスを入れるが足元で潰され、サイドからの攻略に活路を見出した。4分に右CKからオナイウ、12分に馬場、20分に伊佐と立て続けにチャンスを迎えるが、フィニッシュの精度不足で得点ならず。
 
逆に23分、C大阪に先制点を奪われた。松田陸の高木俊幸とのワンツーからの鋭い縦パスを受けたブルーノ・メンデスが、岡野洵を振り切ってシュート。小島亨介も足を出したが、シュートはネットを揺らした。
 
36分には小林がゴール前に進入するビッグチャンスを迎えたが、木本のスライディングに阻まれる。度重なるCKからのチャンスも結実できない。
 

粘り強く戦った末に演じた大逆転劇

 
後半になるとC大阪にもやや動きが生まれ、互いに決定機を作るが、50分の伊佐のシュートはサイドネット、57分のCKからの木本のヘディングシュートはGK小島が好セーブ。C大阪は61分に松田を舩木翔、63分に片山瑛一を山下達也、70分に高木を福満隆貴へと早々に3枚のカードを使う。疲労した選手を入れ替えた形で、戦術的な変更はなし。大分は66分に小林を岩田智輝、70分に馬場賢治を後藤優介、75分に長谷川雄志を前田凌佑へと交代することで、追撃の勢いを増した。
 
C大阪は再びブロックを組んでスペースを消し、大分の攻撃を阻む。大分もサイドから崩しにかかるが、クロスの精度不足や連係不足でゴールは割れない。長谷川のFKからの岩田のシュートは逆サイドに流れ、伊佐のバックヘッドに岡野が飛び込んだ場面は相手に上手く守られた。
 
だが、0-1のまま終わるかに思われた90分、試合は大きく動いた。相手のパスをインターセプトした丸谷が後藤、伊佐とそれぞれパス交換しながら攻め上がり、その勢いのままにシュートをネットに突き刺した。土壇場での同点弾に、C大阪が意識を切り替える間もなく、小島のフィードを伊佐が落とし、星が出したボールを後藤が押し込んで、90+2分、逆転に成功する。
 
ビハインドの状態が長く続いても、焦ることなく粘り強く戦った選手たちと、交代策でチームの背を押したベンチワークとの合わせ技でつかんだ勝点3だった。
 

経験豊富な選手が新加入や若手を陰で支えた

 
「2得点とも狙った形ではなかった。まだアタッキングサードの判断や質に課題がある」と指揮官は試合後に話したが、リーグ松本戦から中3日、しかも同じホームでの勝利は、直近の敗戦の流れを断ち切った。
 
何よりも多くの選手が今季公式戦のピッチに立ち、実戦でプレーして結果を出したことは大きな収穫だ。新戦力や若手はそれぞれに自らの長所を出しながら、連係や組織的プレーでは未成熟な部分もあったが、それを経験豊富な丸谷、馬場、小手川宏基がフォローやサポートしながら試合をつつがなく進めていた。前線では伊佐が献身的に体を張った。
 
次は中2日でJ1、アウェイで磐田戦だ。その後はまた中3日でルヴァンカップのアウェイ名古屋戦。タイトなスケジュールでアウェイ連戦となるが、5連戦最後のJ1第4節H横浜FM戦まで、総力戦で乗り切っていきたい。