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試合レポート

三ツ沢の屈辱。追っ手を突き放せずまたも混迷の昇格争い渦中へ

 

今季最後の上位直接対決となった明治安田J2第40節A横浜FC戦は、痛恨の黒星。勝てばJ1昇格に王手がかかる状況だったが、大混戦のリーグは簡単にそれを許してくれなかった。

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激しいプレスと構える守備にハメられる

 
イバと野村直輝を出場停止で欠く横浜FCがどういう出方をするかが見守られた中、蓋を開けてみれば前節・徳島戦の終盤と同じメンバーでのスタートだった。個の力量を最大限に引き出して力強く攻める意図がうかがえる布陣だ。
 
横浜FCは反則ポイント数がリーグ22位、警告数もリーグ最多。そのデータが表すとおり、球際への寄せは迫力満点だった。自動昇格の可能性が十分にある4位からの“首位食い”の意気込みそのままの激しさで、勢いよくプレスをかけてきた。ただ、それは前線の選手たちのみ。中盤はそれに連動せず、ブロックを構えた。前線のプレスで大分のビルドアップに制限をかけると、苦しい状況で縦パスを入れさせてはそれをインターセプトして攻め返してくる。立ち上がりの戦況を見ながら間もなく片野坂知宏監督は、1トップの三平和司とシャドーの馬場賢治の位置を入れ替えた。
 
雨でスリッピーなピッチではいろいろなことが起きた。26分、田代真一のロングフィードの処理を誤った鈴木義宜の脇から戸島がそれを拾い、飛び出してきた高木駿の股を抜いてグラウンダーのシュート。ゴールは無人だったが軌道は枠の左に外れ、命拾いした形になった。
 
相手の精度不足にも助けられながら辛抱強くチャンスをうかがうが、前線にボールが収まらず、なかなか攻撃の形を作れずに劣勢を強いられる。前半終了間際には小手川宏基が右に流れていた三平に渡し、馬場が絡んで松本怜がマイナスのグラウンダークロス。相手にクリアされたこぼれ球を馬場がシュートするが、守護神・南雄太に押さえられた。苦しい前半を0-0で乗り切って、ハーフタイムの修正が待たれた。
 

伊佐のファインプレーから先制点を奪うが…

 
後半頭から、片野坂監督は三平に代えて伊佐耕平を投入。伊佐を頂点に据え、馬場を左シャドーに戻した。伊佐がフィジカルを生かしてサイドに流れながら起点を作ると、大分にも好機が生まれはじめる。
 
47分、セカンドボールを拾った丸谷拓也が馬場に託し、馬場は伊佐に当ててその落としからゴールを狙うが、南の横っ跳びセーブに阻まれた。56分にはこぼれ球を拾った佐藤に豪快なミドルシュートを放たれるが、クロスバーに当たって跳ね返る。
 
互いに攻め合う中、先にネットを揺らしたのは、押され気味だった大分のほうだった。59分、右サイドでボールを持った小手川が絶妙にタイミングをはかりながら、前方へ流れてくる伊佐へと浮き球のパス。伊佐は寄せてきた相手とうまく体を使って入れ替わり、エリア内に進入。出てきた南を引きつけてから折り返すと、走り込んだ馬場が押し込んで先制点を奪った。
 
ビハインドになった横浜FCは、ブルーノ・メネゲウを齋藤功佑へとチェンジ。齋藤は勢いをもって運動量豊富にピッチを掻き回した。通常なら前がかりになった相手の背後を突いて、さらなる大分ペースへと持ち込める展開だ。だが、横浜FCの個の能力は、それを許さないレベルの高さを見せつけてきた。
 

レドミの反則級ミドルとFKに逆転を許す

 
67分、一瞬の隙を突いたレアンドロ・ドミンゲスの豪快なミドルシュートはクロスバーを叩くが、そのこぼれ球にいち早く反応した永田拓也に頭で押し込まれた。追いつかれた大分は、2枚目のカードを切る。巧妙に位置を取りながらレアンドロ・ドミンゲスを抑えていた小手川に代え、國分伸太郎を投入することで攻撃の勢いを増し、追加点を狙った。
 
だが、その國分がまだ試合に入りきれていない72分、サイドの奪い合いの中でカルフィン・ヨン・ア・ピンを倒してしまう。FKキッカーはレアンドロ・ドミンゲス。その速く正確無比な弾道は鈴木の頭上を越え、ヨン・ア・ピンに頭で流し込まれて逆転弾となる。
 
首位に対してリードした横浜FCはさらに勢いづき、スローインを受けようとした戸島が岩田智輝に倒されて得たFKを、またもレアンドロが今度はニアで田代に合わせて3点目。
 
こちらも好機は築いていたのだが、フィニッシュの精度や迫力を欠いた。貫禄満点の南を上回れなかったこともある。横浜FCの経験豊富な個々のパワーにねじ伏せられるように、大分は敗者となった。
 
勝てばJ1昇格争いから頭ひとつ抜け出せる可能性もあっただけに、この黒星は痛い。東京Vを1-0で下した松本に首位を明け渡す形になった。福岡に2-1で勝利した3位の町田には勝点で並ばれ、混戦はさらにその度合いを増した。
 
ただ、大宮が金沢とドローに終わったため、今節をもって松本・大分・町田の6位以内は確定。町田がどの順位でフィニッシュするかでプレーオフにも影響が出ることになった。大分としては残り2戦で2勝すれば自動昇格枠は確保できるが、金沢と山形も難しい相手だ。「切り替えて次に向け準備したい」と、監督と選手たち。次節、ホーム最終戦で、チームは今節からの挽回を果たせるか。