構える相手に攻めあぐね、退場者も出して敗戦。後半戦への課題が浮き彫りに
出方を読めなかった徳島は、まさかの5-3-2のブロックでの守備固め。割り切った戦い方で大分の長所を消し、自らのストロングポイントである中盤の力をフルに活用してカウンターを狙ってきた。
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まさかのドン引き徳島に手を焼く
リカルド・ロドリゲス監督が指揮するようになってから、こんな徳島は見たことがなかった。立ち上がりから5-3-2のブロックでスペースを消し、自分たちからは仕掛けてこない。主軸だった大崎玲央が神戸に移籍しDFラインの顔ぶれが変わったことと、4連敗中でなんとしても勝たなくてはならなかったことが、徳島を消去法のサッカーへと走らせた。
徳島の出方が読めないため、片野坂知宏監督は、カードを切らずとも複数ポジションに変更できるメンバーを選んでスタートしたのだが、相手がここまで引いてくるとは予想していなかったという。確かに、試合前々日の攻撃練習でも、そういう形での狙いは準備していなかった。
こちらは第18節の愛媛戦で、ドン引きした相手につきあってしまった苦い過去がある。今節はそうならないようにと、立ち上がりからしっかりと仕掛けた。だが、相手は中盤に3枚を並べたブロックで中央を固め、大分がサイドにボールを入れる瞬間を狙って潰しにかかる。前線のメンバーが受けるスペースを消され、松本怜と星雄次の攻め上がりも阻まれてミスを誘われた。
そこからのカウンターが、失点につながる。12分、岩尾憲のシュートをエリア内でブロックした丸谷拓也がハンドを取られた。アンラッキーな判定により、岩尾のPKで先制点を献上する。
4バックに変更して活路を見出すも…
失点をきっかけに、片野坂監督はシステムを4-3-3へと変更。丸谷をボランチへと上げて中盤の枚数を増やすとともに、サイドで数的優位を作る狙いだった。
前半はなかなか機能しなかったが、後半頭から國分伸太郎を清本拓己に代えると、清本が右サイドを活性化。流れがこちらに傾くかと思われた49分、中盤でスライディングした丸谷の守備対応がファウルを取られ、イエローカードが提示された。窪田陽輔主審は丸谷が2枚目であることを失念していたようで、そのまま試合を続けようとする。その後しばらくして気づくと、高々とレッドカードを掲げた。このゲームでもそうだったが、窪田主審は日頃からカードを出しやすい傾向にあり、そのことをチームで共有できていればと悔やまれる。人一倍責任感の強い丸谷が、自分のハンドから失点したビハインドを取り返そうと頑張った結果が裏目に出てしまったのだと思われるが、窪田主審の特徴を押さえていればなおさら、無理して奪いに行くほどの場面ではなかった。
システムを4-4-1にして1点を追う中で、大分は右サイドからチャンスを構築。
相手のブロックが少し緩んできた64分、片野坂監督は馬場賢治を下げて伊佐耕平を投入。同時に徳島は広瀬陸斗を内田裕斗に交代し、左右WBを入れ替えた。
今後は現実的なチームが増えてくる
しかし69分、内田のグラウンダーパスをゴール前のスペースで受けた島屋八徳が、見事なシュートでネットを揺らす。81分には藤本を下げて三平和司を入れ、2点ビハインドになってもあきらめずに攻め続けていた84分には、シシーニョのスルーパスを裏へ抜け出した島屋がファーへと送り、山﨑凌吾に頭で合わされて3失点目。
リードを広げた徳島は、これまでの我慢を解き放ったように、のびのびと攻めはじめた。途中出場の清本と伊佐もこの展開の中では疲労が早く、割り切った徳島の牙城を崩すことは、最後までできなかった。
いろいろな要素が絡んでの敗戦。藤本は「10人になってからも、失点は防ぎつつ1点ずつ返していければよかったのだが、ちょっと焦って奪いに行って剥がされた感じもある」と分析して反省した。
次節からはシーズン後半戦スタート。混戦のリーグで、今後は次第に現実的な戦い方を選択するチームも増えてくるだろう。こうして守備を固められたとき、それをこじ開けていく力がなくては、勝ち上がることはできないと、片野坂監督は課題へのチャレンジを誓った。