緊迫したミラーゲームの勝敗は紙一重。チームとしての意思統一は課題に
明治安田J2第18節A愛媛戦は、我慢比べのミラーゲーム。一瞬の隙を見せたほうがやられるという硬い展開の中、決定機を逃すうちに、ミスの重なりからPKを献上し、悔しい敗戦となった。
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拮抗した展開の中、逃した決定機
怪我人やコンディション不良のメンバーが急に続出した今節。戦力のやりくりに少し苦心して、不慣れなポジションをこなす選手もいながら、チームは今節に臨んだ。
対戦相手の愛媛は21位とはいえ、監督交代により状態は上向きだ。川井健太新監督のためにとチームの結束も固く、ホームでの今季初勝利を狙ってきた。
川井監督になってからポゼッションスタイルに変わった愛媛は、攻守にコレクティブでまとまりがあった。3-4-2-1同士のミラーゲームは、互いに出方をうかがい、失点したくない気持ちも感じさせる硬いスタートとなる。一瞬の判断の遅れで相手にカットされてしまい、なかなかフィニッシュの形を作れなかった。降り続く雨にスリッピーなピッチもプレー精度の低下を招く。
それでも前半は相手の間を使ってボールを動かし、いくつかの決定機も作った。ただ、フィニッシュの精度を欠いて得点にはならない。13分に松本怜のクロスに頭で合わせた後藤優介のシュートはネットを揺らしたが、エリア内でファウルがあったと判定されゴールは認められず。
愛媛もスルーパスが合わないなどミスが続き、チャンスらしいチャンスに至らない。前半の終わり頃から少しワイドに張ってボールの動きにダイナミズムを生んできたが、前半はスコアレスで終了した。
PKで先制を許し均衡が崩れる
互いにパスミスからチャンスやピンチを迎えつつ、得点できない展開が続く。51分には右CKからの混戦でファン・ソンスがシュートチャンスを迎えたが、残念ながら枠の上へ。53分にはパスミスをさらわれて近藤貴司にシュートを打たれたが、高木駿のビッグセーブで事なきを得た。
この膠着状態を打開するスイッチは多分、選手交代でしか入らないのではないかという緊迫感が高まる。愛媛がしっかりブロックを構えてスペースを消している中で、大分としては川西翔太の投入で変化をつけたいところだ。だが、前半にイエローカードをもらっている宮阪政樹と代えるのか、それとも途中交代が通例となっている馬場賢治と代えるのか。
固唾をのんで見守っているうちに、58分、愛媛が先に動いた。トップの西田剛に代えて有田光希、シャドーの河原和寿に代えて丹羽詩温という二枚替えだ。
川西が交代の準備をしてピッチサイドに立っていた64分、前野貴徳にインターセプトされたところからカウンターを受け、後手に回った対応の中、エリア内で宮阪がハンドを取られる。近藤にPKを沈められ、先制された。
サイドを起点に狙うが、単調に終止
PKのタイミングで宮阪に代えて川西を投入すると、69分にはファン・ソンスに代えて國分伸太郎。右WBで先発した岸田翔平を右CBに下げ、松本を左WBから右へ移すと、國分を左WBに配置した。
片野坂監督は愛媛が中央を固めているのでサイドを起点に崩そうと指示。ブラインドサイドへの突破やクロスも試みたが、焦っているのか工夫がなく単調で、簡単に跳ね返されてしまう。「中も使わないと外が空かない、相手も動かない」と川西は何度か中へもスルーパスを送ったが、サイドへの意識を強めていたメンバーはそれに反応できなかった。
79分には馬場を下げて清本拓己を投入。松本を左SBに回し、清本が右SHで國分が左SH、後藤と伊佐耕平が最前線の4-4-2に変更してなんとか愛媛のブロックをこじ開けようと試みるが、松本のサイド深くからのクロスにも誰も反応できず、ボールは転々と逆サイドへと流れた。
結局、得点できないままタイムアップ。ホーム初勝利に沸く愛媛の前に屈辱的な敗戦となった。決定機を逃したこともミスから失点したことも残念だが、そこは精度を高めればいいだけの話だ。もう少し突き詰めなくてはならないのは、チームとしての意思統一の部分なのかもしれない。攻撃時の意思疎通をもっと高めることが、ミスの減少につながりそうな気もする。
次節の松本戦もミラーゲームが予想される。好調な相手とはいえ、連敗は避けたいところだ。選手のコンディション、スタッフのマネジメント、さまざまな角度から万全を期して臨みたい。