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試合レポート

5人を入れ替えてのチャレンジは、戦う姿勢を貫き相手の猛追を振り切っての勝利

 

変則的3連戦の3戦目にしてアウェイでJ1からの降格組と対戦するという難しいシチュエーション。大幅にメンバーを入れ替えて臨んだ明治安田J2第13節A新潟戦は、勝ち点3のほかにも収穫の多い試合となった。

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3連戦の3戦目に向けた、出来るかぎりの準備

 
負傷やコンディション不良により数名のメンバーが別メニュー調整中。連戦で戦力の疲労も蓄積しており、今節のメンバー選考にはかなり頭を悩ませたようだ。
 
片野坂知宏監督が戦いの中で実感してきたのは、サッカーのベースの部分での強度の必要性。前節の大宮戦でもJ1でのプレー経験を積んだ個々の戦力との力量差が、チームの地力の差につながっていることを認識せざるを得なかった。そこで「戦えるメンバーを選んだ」という。疲労していては戦う姿勢も十分に出せないとして、戦力の入れ替えを決断した。「これで負けても今後につながる試合になる」とも考えたようだ。
 
ゲームプランを練り、18名のほかに1名、前田凌佑を帯同させて、前日の朝には新潟入り。現地調整は相手にスカウティングされる危険性もあったのだが、選手たちのコンディションを優先させて敢行した。戦術確認はミーティングにとどめ、ボール回しくらいしかしなかったとのことだ。
 
そうやって選ばれた先発メンバーは、前節から5人を入れ替えた11人。1トップに林容平、右シャドーに今季初出場の國分伸太郎。左WBには第2節以来の出場となる那須川将大、最終ライン右には同じく第2節以来のファン・ソンス。宮阪政樹とボランチを組んだのは川西翔太だった。
 
相手はこの変更を予測していなかったようで、特に國分については情報がなく、慌ててスカウティングしたという。新潟のほうは前節負傷した河田篤秀の代わりに小川佳純をトップに上げ、右SHには戸嶋祥郎を配置してスタートした。
 

前半に狙いどおりの攻撃から2得点

 
攻守にわたり自分たちの戦術を表現しようと話して入った試合は、立ち上がりから大分が相手とのミスマッチを突きながら攻勢に出る。様子見の新潟がやや構えた影響もあったが、國分が持ち前のアグレッシブさとアイデアを披露しながら林とよく絡み、林は相手守護神を横っ跳びさせる鋭いシュートも放った。高い技術でボールを運ぶ川西が相手を引きつけて数的優位の状況を生み出し、そうやって動く布陣のバランスを取りながら宮阪が攻撃を組み立てた。
 
那須川が相手との駆け引きで上回り、クロスを供給して何度か好機を作ると、その形から7分に先制点。馬場賢治からのパスを受けた那須川のグラウンダークロスに、ゴール正面に飛び込んだ林は惜しくも合わなかったが、大外から走り込んできた松本怜がシュート。第9節の横浜FC戦に続きまたも両WB、今回は青森山田の先輩と後輩で得点した形だ。
 
だが、相手もこのまま許してはくれない。それまでも良い縦関係を築いていた戸嶋と原輝綺が連係して大分の左サイドを攻略し、後手に回った一瞬を突いて原がクロス。ファーで競ろうとした松本が届かなかった後ろで渡邊新太が収め、14分、鋭いシュートで同点に追いついた。
 
だが、29分には再び大分が突き放す。今度は松本がクロスを送ると、クリアしようとスライディングしたソン・ジュフンのオウンゴールを誘った。大分にとってはこの得点がJ2通算600ゴール目となった。
 

ギアを上げた新潟に押し込まれるも耐えて逃げ切る

 
リードして折り返すと、後半は新潟がぐっとギアを上げてくる。球際への寄せが早く激しくなり、前半以上に個々の力量差が感じられるようになった。
 
激しくプレスをかけ続けていた前線の選手たちに疲労が見えはじめ、それでも辛抱強く相手をかわしながらボールを動かしていたが、次第に押し込まれる時間帯が長くなる。新潟が61分に小川を下げて矢野貴章を入れると、大分も同時に馬場に代えて清本拓己を投入。さらに63分には負傷したファン・ソンスを下げて刀根亮輔を送り込み、戦力の強度を保った。
 
新潟はターレスが頻繁に左サイドに流れて起点を作ろうとする。このブラジル人FWはただ強くて上手いだけでなく、相手の意表を突くような独特の間合いや感覚を持っており、なかなか厄介だった。だが、辛抱強くそれに対応していると、新潟は76分、ターレスに代えて田中達也を投入する。田中の機動力により、大分のボール回しに走らされて運動量を落としていた新潟は、再び勢いを盛り返した。
 
新潟の迫力満点の分厚い攻撃は何度も大分ゴールを脅かすが、守備陣が体を張る。シュートを打たれる瞬間まであきらめずに体をぶつけていったことで、ポストに当たったラッキーな場面もありつつ、相手のシュートは枠を外れ続ける。完全に崩されてフリーで加藤大に打たれた場面では万事休すと思ったが、これも枠外に逸れて命拾いした。
 
新潟は89分、磯村亮太に代えてブルーノ・メネゲウを入れ、布陣を4-1-3-2として最後の猛攻に出る。同時に片野坂監督は最後の1枚をどこで切るか悩みつつ、疲労した國分を下げて丸谷拓也をボランチに入れ、川西を一列上げて中盤の強度を高めた。最後は林が倒されて得たFKから川西がコーナーでキープし、アディショナルタイム4分を乗り切り勝利。
 
運や相手に助けられた部分もあったが、メンバーを入れ替えて臨んだ試合で勝利できたことは大きな収穫になった。組織戦術の中で個々の特長が発揮されたことも、今後につながる。ハードな連戦を乗り切って、タフな戦いは続いていく。