真綿で首を絞められるように、地力の差があらわに。逆転されて今季2敗目

　
前節の町田戦から中4日。次節は初の中2日の開催でアウェイ新潟戦という、日程的にも難しい状況で迎えた今節。主力の負傷やコンディション不良などもあり、これまでコンスタントに出場を重ねていた後藤優介、星雄次、伊佐耕平がメンバーを外れた。シャドーの右には今季初先発の清本拓己。頂点は三平和司。松本怜を左WBに回して、右WBにはやはり先発は今季初となる岸田翔平が入った。
　
大宮も、怪我明けから2戦連続クリーンシートに貢献していたCB河本裕之がメンバー外で、その位置には山越康平が復帰。ロビン・シモヴィッチはベンチスタートとなり、富山貴光が大前元紀と2トップを組んだ。
　
今季J1から降格してきた大宮の強さに備え、チームはトレーニングでWBの守備時のポジショニングを確認していた。守備に回る時間が多くなることも想定済みで、そこからシャドーがブラインドサイドを突く狙いも準備して臨んだ。
　
そういった狙いもそこそこ出せていたし、内容的にも悪くなかった。それでもじわりと力負けしてしまったという印象だ。大宮は特別なことをしたわけでもなく、ただ要所はしっかりと押さえる戦い方で、正当にこちらより上回っていた。たとえるなら、夢の中で必死に泳いでも体が重くて前に進まない、あの感じ。地力の差を見せつけられたようで、無念さがつのる。
　

　
どちらも慎重な入りを見せた中で、11分の先制点は爽快だった。三平が相手CBと競りながら触ったボールを清本が拾い、ドリブルで持ち上がるとその勢いのまま左足を振り抜く。打つタイミングの判断も良く、弾道は豪快にネットを揺らした。
　
その得点に勇気付けられた感触もあり、相手の攻撃も体を張ってしのぎながら、狙いどおりシャドーがブラインドサイドを使って攻めたが、守備に追われるボランチやWBがなかなか前に出ていけず、前線3枚もそれぞれの特長は出したがコンビネーションのアイデアやクオリティーはいまひとつ物足りない。
　
ひさびさの左WBでの出場となった松本は次第に左での勘を取り戻してきたようだったが、第3節の途中出場以来の公式戦となった右WBの岸田は試合勘不足。今季はサイド攻撃を松本と星の単騎突破に頼りがちになっていたこともあり、ボランチやシャドーと絡みながら攻めるタイプの岸田を、周囲が上手く生かせない。守備には貢献したが攻撃は孤立しがちであまりチャンスがなかった。
　
次第に大宮が間を使ってボールを動かし、大分が後手に回る場面が見られはじめていた41分。嶋田慎太郎があざやかな切り返しで福森直也を剥がすと、イメージどおりのシュートで同点弾。試合は1-1で折り返す。
　

　
後半も大宮のペースが続く中で、刀根亮輔が最前線まで駆け上がって三平とともにチャンスに絡んだりもしたが、相手守備陣の激しい寄せに遭って潰されてしまう。53分には清本が得意の無回転FKで直接ゴールを狙ったが、惜しくもポストに阻まれた。
　
好機をものに出来ず、逆に相手のCKが続いていた65分。ゴールマウスぎりぎりを狙ってきわどい弧を描いた大前の左CKが、高木駿にさわられながら直接ゴールに吸い込まれる。いつもセットプレーやクロスに対し、高木が果敢に飛び出して対応することを逆手に取られた形で、フィールドプレーヤーたちがニアに固まって高木のブラインドとなり、そこを正確に突かれた。その後も同じやり方で狙われたし、実は前半のCKも、結果的にキックミスになったがその狙いだったという。
　
71分、片野坂知宏監督は疲労の見えた馬場を下げて川西翔太をシャドーに投入。76分に大宮が奥抜侃志をマテウスに代えると、78分に大分は三平に代えて藤本憲明、宮阪政樹に代えて林容平と2枚替え。川西をボランチに配置してシステムを4-4-2へと変更し、リスクを負って攻める姿勢へと転じた。
　
だが、そうなると相手も守備をハメやすくなり、地力で上回る大宮が押し込む展開は変わらない。狙いは出せているのに歯が立たないというもどかしさの中で、試合はそのまま終わった。
　
選手層が厚いとはいえ、やはりまだ異なる組み合わせになると連係できなかったり、試合勘が戻るまでに時間を要したりする。中2日でアウェイ戦の次節に向け、指揮官もマネジメントに頭を悩ませているようだ。大宮をはじめとする地力のあるチームは、これから徐々に順位を上げてくるだろう。それでも上位をキープし続けられるよう、われわれも力を高めながら勝ち点を積み上げていきたい。