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試合レポート

讃岐のポゼッションに苦しめられながらも+3。今季初の連勝を遂げる

 

今季からよりポゼッション志向を強めている讃岐とのマッチアップ。コンディションの良くないピッチで難しい展開となったが、宮阪と馬場の移籍後初ゴールもあり、したたかに勝ち点3を積み上げた。

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狙いどおりに攻めるも精度不足に悩む

 
センター部分の芝は今季張り替えられたが、前日に陸上の大会が開催されて部分的にボコボコになっていたピッチコンディション。それでもチームは序盤からいつものスタイルを表現しようとトライした。
 
スターティングメンバーは前節と同じ。立ち上がりから、2戦連続で古巣戦となった馬場賢治の前線からの激しいチェイスが目立った。シャドーへの縦パスが入ると細やかな動きから両WBも絡んでシュートを放つが、いずれも精度を欠いて枠をとらえきれない。9分には右CKに鈴木義宜がダイビングヘッドで合わせたが清水健太のファインセーブに遭う。16分には丸谷拓也が前線に浮き球を送り、後藤優介が抜け出して1対1の局面を作ったがシュートは枠上に逸れた。
 
今季の讃岐はフォーメーションは昨季と同じ4-4-2ながら、攻撃のスタイルはポゼッション志向を強めている。左SHで絶妙のポジショニングを取り続ける重松健太郎が、ボランチの永田亮太やこの日は2トップの一角に入った佐々木匠と連係して大分を引きつけ、ぽっかりと空いたスペースにフリーで顔を出した左SBアレックスへと展開する場面や、後方でのパス交換から右SB佐々木渉がインサイドを突いて攻め上がりスルーパスを出す場面など、これまでの讃岐とはひと味違う攻撃の形が多々見られた。
 

苦しい展開を切り裂いた宮阪のファインゴール

 
讃岐の守備の様子からは、高い位置でブロックを構え適宜ハイプレスはかけながら、相手陣内ではボールを回させてもいいという割り切りが見えた。攻撃においては、今季初先発の西弘則と重松の両SHが中間ポジションを取ることで、大分がマークを受け渡す一瞬の隙を突こうとしていた。そんな讃岐に何度か決定的な場面を作られたが、フィニッシュの精度不足に助けられたりゴール前で体を張ったりしてしのぎ続ける。
 
互いに攻め合いながら、先制したのは大分。32分、ハーフウェイライン付近で林容平が倒されてフリーキックを得ると、宮阪政樹が林に「どけ!」と言いながら走り込み、素早いリスタートから直接ゴールを狙う。完璧なループを描いたボールは、前に出ていた讃岐守護神をのけぞらせつつネットを揺らした。
 
宮阪は2014年、山形時代にもこのPikaraスタジアムで同様のゴールを決めている。そのときに倒されたのは川西翔太だった。そのこともあり「良いイメージを持っていた」と言う。このスーパーゴールで宮阪は、自身が持っていたセットプレーからの直接ゴールJ2最多記録を更新。輝かしい記録とともに、苦しい試合展開に光明をもたらした。
 

一度は追いつかれたが馬場の“恩返し弾”炸裂

 
しかし先制後は、讃岐に主導権を握られる。アレックスがさらに積極的に高い位置を取るようになったとともに、左サイドは流動的に動く重松とは対照的に右サイドの西は前線に出て、福森と星を押し込んでいく。後半に入るにあたり、軽く負傷した右SBの佐々木渉を武田有祐にスイッチすると、さらに西の単独での役割が増えた。
 
また、ボランチの永田が前線のスペースへと顔を出す回数も多くなる。これによりシャドーの後藤が守備に戻る必要性も生じ、讃岐の時間帯が続いた。
 
61分、大分は連戦で疲労の見える松本怜を岩田智輝に交代。その直後に、讃岐が同点弾を挙げる。武田のロングスローがクリアされたところを岡村和哉がミドルシュート。永田の足に当たってしまったが、こぼれ球に素早く反応した原一樹がゴールへと押し込んだ。
 
流れが讃岐に傾くのを阻止したのは、その6分後の恩返し弾だった。星が持ち上がって出したパスを受けた丸谷のミドルシュートは相手に寄せられたが、跳ねたボールが馬場の元へ。ダイレクトに振り抜いた右足からのシュートは古巣のゴールネットを揺らし、大分が再びリードを奪った。
 

指揮官はさらに骨太な試合運びを求める

 
オープンな展開になっていたことを受け、68分、片野坂知宏監督は1トップを林から伊佐耕平へと交代。伊佐が勢いを持って前線で駆け引きすることで、次第に讃岐のラインが下がり大分が押し上げた。讃岐も70分に西を高木和正に、73分に原を木島徹也に代えて攻めるが、流れもリスタートも大分の集中した守備に潰される。
 
大分もこの時間帯まで丸谷が運動量を落とさず、攻守を切り替えながら馬場や星が絡んで攻めたが、伊佐や馬場や岩田の迎えた絶好機はいずれも枠をとらえきれなかったり、清水の好セーブに阻まれたり。
 
終盤には武田のロングスロー連発で讃岐も前線にパワーをかけたが、わずかな精度不足で大分としては命拾い。1点のリードを守りきり、ほとんどの時間帯で苦しい展開だったゲームを制して今季初の連勝を遂げた。
 
試合後、片野坂監督は「相手の息の根を止めるくらいのゲームをしていかなくては」と、前節の水戸戦に続いて試合運びの課題を挙げた。ただ、こういう試合を勝ち切れたことはチームにとって大きな収穫のはずだ。